名作アニメ「ふしぎの海のナディア」のメカニックをまとめて作って楽しめる! 「ナディア メカニックセレクション」を徹底レビュー!【泰勇気の週末プラモ 第51回】

社会人ともなると忙しい毎日の中で積みプラが増えてしまいがち……。そんなあなたに代わって、ロボット&プラモデル大好き声優の泰勇気がプラモデル製作に挑戦するのが、この連載!

コンセプトは「忙しい社会人でも、週末の休みを使えばここまでできちゃうよ」。ルールは素組みで、1~2日の制作期間の2点のみ!この連載を読めば、きっとあなたの作ってみたいプラモデルと出会えるはずだ。

 

というわけで、「声優・泰勇気の週末プラモ!」第51回スタート!

 

第51回 ナディアメカニックセレクション

 

昨年、放映終了30周年を迎えたTVアニメ「ふしぎの海のナディア」。ジュール・ベルヌの小説「海底二万里」を原作としつつも、物語終盤に近づくにつれて驚きのSF展開を見せたこの作品。主人公・ナディアやジャンをはじめ、敵も味方も印象に残る登場人物の多い作品でした。

 

そして、登場人物以外にも物語を盛り上げてくれたメカニックたちの存在も忘れてはいけません!

今回ご紹介するキットは、「ふしぎの海のナディア」に登場したメカから4種類がチョイスされセットになった豪華アイテムとなっております! パッケージイラストからは「4個入り」かと思われる方も多いかと思いますが、実はこのキットは4種類6個のセットなのです!!

 

パッケージにはノーチラス号、グラタン、ガーフィッシュ、ガーフィッシュIIのイラストが。

ベルファイン「みんこれ!」シリーズとしては、過去に「タイムメカブトン」などが発売になっており、今回のラインアップの中にグラタンが含まれていることにちょっとニヤっとしてしまいました(グラタンのモチーフは、庵野秀明監督いわく「タイムメカブトン」だそうです)。

 

パッケージサイドには塗装見本の写真や作品紹介など。

 

お店ではこの面を探すことが多いかな。

 

ランナーはノーチラス号で1枚、グラタンで1枚、ガーフィッシュとガーフィッシュIIのセットのランナーが白と赤1枚ずつ。

 

説明書とガーフィッシュおよびガーフィッシュII用の水転写式デカールが付属しています。

 

最初はノーチラス号からいきましょう。A1やA8のように、塗装しやすいように別パーツになっているところがあります。

 

また、各ランナーはご覧のように分割しやすくなっていて、かくはん棒として使用できたり、捨てる際にコンパクトにできたりと便利になっています。

 

ノーチラス号を完成させる前に、まずこの「メインブロック」を組み立てることになります。このブロックは艦橋や船長室を含む部分で、劇中ではノーチラス号が轟沈した際、脱出装置として使用されました。プラキットで再現されたのは当然、今回が初めてです。

 

ノーチラス号から分離するときは、艦橋後ろの甲板が排除されます。

 

裏返すと、ノーチラス号底面に覗いていた「潜水球」は、このメインブロックに接続されていたことがわかります。

 

スタビライザを収納してドッキング状態となります。完全変形です。

 

こちらがメインブロックを取り外した状態のノーチラス号の船体。こちらは「戦闘ブロック」とも呼ばれていました。

 

船体にメインブロックがぴったり収まり、艦橋と船長室の間の甲板を取り付ければ、ノーチラス号の完成となります。

 

力強さとやさしさを感じるラインの万能潜水艦。軍艦ではないので、ネモ船長を「艦長」と呼んではいけません。

 

格納庫や推力の集まる後部は構造物が多いのですが、塗装のしやすさを考慮していると思われるパーツ分割となっています。

 

台座もあるので、スケールモデルの艦船キットのようにディスプレイすることが可能です。

形状の再現は完璧なのではないでしょうか。

 

上下から見たところ。浮上・沈降に使用する上下のスクリューは比較的大きめに表現されているように感じますが、特徴がよく見て取れて好印象です。

 

海中を進むノーチラス号。OPでも印象的なアングルです。手ごろなサイズなので、海中を潜航する様子を再現したジオラマに挑戦してみるのも面白いかもしれません。

 

後部のメインスクリューも迫力があります。

 

艦首。飛行爆雷のハッチもディテールもくっきり。

 

艦橋周辺も、サイズの割にハッキリとしたディテールになっています。艦尾格納庫のハッチも別パーツになっているので、改造してハッチを開いた状態を作ってみるのもいいかも。

 

台座には「旧タルテソス王国」の紋章が彫刻されています。

 

メインブロックを取り外す時は、底面の潜水球部分を押し込んで持ち上げます。

 

ガーフィッシュ&ガーフィッシュII

続いてガーフィッシュ。海獣と恐れられたネオ・アトランティスの潜水艦です。船体側面には、劇中で海獣の目のように光っていた丸いディテールが並んでいます。
プラキットとしては初の商品化です!

 

艦首のラム(衝角)はノコギリのようになっていて、艦艇の底部を攻撃するのに使われるようです。魚雷発射管や注水口(?)の造形は、パーツ分割によりしっかり立体的に再現されています。

 

艦尾のほうが細いというのも潜水艦らしいですね。この艦首のラムで激突されたら、通常の艦船はひとたまりもないでしょう。

 

ノーチラス号とはまったく雰囲気の異なる潜水艦。まるで深海生物のようです。

 

上下から。宇宙船をベースに改造を施したノーチラス号より、実はこちらのほうが潜水艦らしい形状かもしれません。

 

こちらの台座にはネオ・アトランティスの紋章が彫刻されています。

 

ガーフィッシュは一部パーツの差し替えで、「速射砲」展開状態も再現可能です。

 

赤いランナーのガーフィッシュも作っていきましょう。艦上部のパネルを取り外して、速射砲を取り付ければ完成。

 

軸接続なので任意の方向へ向けての取り付けが可能です。ノーチラス号との海中戦でもよく使用されておりましたね。

 

こちらも初のキット化となるガーフィッシュII。初代に比べてとてもシャープで、洗練されたデザインの潜水艦です。こちらの艦首ラムは槍のように鋭い形状をしています。ノーチラス号への突撃も見せました。

 

細身のボディが、初代よりもお魚のガーフィッシュに近いように思えます。艦尾の大きな舵も特徴的です。

 

先ほどお魚のガーフィッシュに近いかなといいましたが、単体で見るとよりいっそう深海魚っぽいフォルムですね。

 

上下から。設定では初代より大型のガーフィッシュIIですが、こうして見ると「II」のほうが水中を進むには理にかなっている形をしているように見えます。

 

注水口の中も別パーツでしっかり再現されています。

 

こちらの台座にもネオ・アトランティスの本章が刻印されています。

 

グラタン

さぁ! 個人的にもっとも楽しみにしていたグラタンのご紹介です! 

過去にソフビキットと完成品玩具が発売されたくらいということで、今回、待望のプラキット化となります!

丸くて愛らしい姿が、バッチリ再現されています。

 

組み立てるうえで、1か所、説明書の補足として説明させていただきたいのが大砲の取り付け。《a》の部分を説明書の矢印通りまっすぐ下に下ろすと本体に引っかかってしまうので、赤い矢印のように《a》の突起をもぐりこませるように組み立てましょう。

 

リアアングル。グラタンもノーチラス号同様に塗装の工程を考慮したかのような、親切なパーツ分割になっています。

 

ボディの色分け部分やシリンダー、シャーシ、奥まったヘッドライト部分まで別パーツになっています。

 

丸っこいメカのアールのとり方って難しいのではないかと思うのですが、このグラタンのボディラインは僕的には超バッチグー!!です。

 

キュートなヒップ。こんなにキュートなグラタンですが、劇中においては数多くの大活躍を見せてくれました。そのギャップもグラタンの魅力のひとつなのかもしれません。

 

目のように見えるハッチ部分は別パーツになっているので、塗り分けをする際、とても助かります。

 

両サイドハッチは差し替えでマジックハンドを取り付けたりするので、爪などを引っかける隙間があります。ラッタルのディテールも再現されています。

 

後部のシュノーケルパーツも設定どおり再現。

 

さて「マジックハンドモード」へ組み替えてみましょう。まず車体サイドのハッチを取り外します。

 

ハッチの内側に現れる軸受けにマジックハンドを取り付けて、開いた状態のハッチを取り付ければ完成です。

最初に登場した時は、このマジックハンドでナディアやジャンを追い詰めますが、怖い雰囲気はなくどこかコミカルな姿でした。

OPに登場するリモコンカーグラタンも欲しかったですよね~。

 

ハッチの裏側にはハンドルのディテールも施されています。腕に覚えのある方は開閉式に改造してみては?

 

次は「水中(水上)モード」への組み換え。走行モードから、車体底部のタイヤ基部、大砲の砲身、サイドハッチ、シュノーケルパーツを取り外します。

砲塔部分を回転させて収納します。

 

シュノーケルパーツは伸びている状態のものを取り付けて、後部シリンダーはスクリュー展開状態のものと交換。

 

基部をタイヤ収納状態のものを取り付けて完成です。

 

そのままではまっすぐ接地させられないので、台座に取り付けましょう。丸いボディが耐水圧にもすぐれているような印象です。

当初は潜水することはできませんでしたが、劇中で潜水作業が可能なように改良されました。

 

今回のキットでは再現されていませんが、飛行モードや直立モードなど、このシリンダーパーツがグラタンの装備の中でももっとも重要なパーツとなっています。

ここまでキットとして再現されているのであれば、改造で各モードを作ることもできちゃいそうですね!

 

シュノーケルの吸気口の下は、肉抜き穴が板状パーツで埋められています。

 

サイドビュー。車輪が収納されたことでシルエットが大きく変わりました。

 

下からのぞいても抜かりのない完成度。

台座への接続は軸接続です。

 

リア。スクリューはそれぞれやや外側を向いているのがグラタン水中(水上)モードのポイントです。

 

走行モードの底面にも軸受け穴があるので、このモードでも台座に取り付けることも可能です。

 

その台座にはグランディスさんたちのマークが刻印されているのですが、写真だとわかりにくいので後ほどスミイレしたもので改めてご確認いただきましょう。

 

ズラリ! 今回の「ふしぎの海ノナディア メカニックセレクション」のセットとなっている全6体のメカたちです! たぶん「4体セット」だと思っておられる方も少なくないと思うので、この「4種6体セット」であることは、声を大にしてお伝えしたい!!

 

プラスひと手間で部分塗装!

ここで、毎回の「プラスひと手間」ですが、今回は初の「プラキット商品化」となったグラタンを、成型色を生かして塗装してみたいと思います!

 

赤い部分は成型色のまま、それ以外の色は全部塗装です。マスキングが必要なのは砲塔まわりとタイヤのみ。これくらいならお手軽と言える範囲なんじゃないでしょうか。
スミイレしてつや消し吹いて、ヘッドライトにはホイルシールを丸く切り抜いたものを貼り付けてあります。

顔、ではありませんけどやっぱりボディを塗りわけると一気に雰囲気出ますね。

塗装の様子は2回にわけてライブ配信しました。(塗料の乾燥の合間にグラタン以外も作ってたりしますが……)

 

いかがですか? 塗りたくなってきませんか?

 

後ろにコードでもつなげば、OPのリモコングラタンに見えなくもなさそうなサイドビュー。

 

マジックハンドもアームと手首で別パーツ。手首の指の部分のみ塗りわけが必要な個所になりますが、筆でちゃちゃっと塗っちゃいました。はみでたら削れば赤に戻りますので。

 

水中(水上)モード用のスクリューも塗装。

 

 

車輪基部はブラウンでべた塗り。かんたん!

 

先ほどの画像では見えにくかったマークにスミイレをしました。グランディスさんたちの服にもあしらわれていたマークですね。

 

そしてもうひとつ、ノーチラス号もざっと塗装。設定通りではありませんが、シルバーにしてみました。

 

艦尾周りの色分けが多いのですが、ほとんどパーツ分けされているので、各パーツごとに塗装するだけで済みます。

 

船体の色をシルバーにしたのは、「我らの万能潜水艦ノーチラス号」という歌の中に「銀に輝く鋼の巨体」という言葉があったことに由来します。設定だと2色のグレーで塗り分けられているようですが、これはこれでスペシャルバージョンぽくていいかなと。もうちょっとクロームなシルバーでもよかったかもしれませんね。

 

でもスペースチタニウムとか硬化テクタイトとか、未知の宇宙船の素材でできているのだから、どんな風にイメージして塗装しても正解でしょう!

 

グラタンとは違い、こちらはパーツ単位での塗装なのでマスキングテープで塗り分けるといった作業はしていません。それでもここまで塗り分けられるので、ぜひ塗装に挑戦していただきたいです。

 

ノーチラス号のほうはスミイレしていません。それでもメタリック塗装なら、光の反射である程度ディテールが目立つようになっています。

 

台座のマークもスミイレでくっきり。

 

ガーフィッシュはスミイレとデカールのみ。こちらも設定どおりに塗装しようとすると、土日の間に楽に完成させる……というわけにはいかなそうですが、塗装するならお時間のあるときにあわてずに挑戦しましょう。

 

この「目」のようなマークが不気味だし、設定の配色も毒蛇みたいな毒々しさがあってさらに不気味なので、ぜひ塗装したいところ。幸い塗り分けのラインでディテールが入っているので、筆での塗装でも思っているより難しくないかも。

 

うん。きっと塗装したら艦船モデルの模型として、とてもよい見栄えになりそうな気がします。

 

速射砲もスミイレをすることで、前後の区別があることがわかりやすくなります。ちなみに上の画像のほうが前(発射するほう)です。

 

ガーフィッシュIIは赤いほうにスミイレ。白いランナーよりもどちらかというとこちらの色のほうをベースに塗装したほうが楽かも。

IIにも「目」のようなデカールを4か所に貼り付けます。

 

艦尾は舵の部分にデカールを貼り付け。

 

ネオ・アトランティスのメカは、白よりやっぱりあの毒々しさが印象的ですし、せっかく塗装の発色のよい白ランナーと成型色生かしでもいける赤ランナーが用意されているので、ぜひ塗装挑戦のきっかけにしていただきたいです。

 

台座のネオ・アトランティスのマークもスミイレするとくっきりします。

 

ここまで、部分塗装したグラタン、全塗装したノーチラス、スミイレしたガーフィッシュとガーフィッシュII、2隻ずつを並べてみました。ひとつの商品でこの数を並べられる幸せ。皆様にも味わっていただきたい……。

 

ベルファインさんの「みんこれ!」シリーズは、序盤は「タイムボカン」シリーズのメカが続いて、今回、いよいよ別作品のキットも発売となったということで、今後はどんな作品からキット化されるのかが楽しみです。

それでは、次の記事まで「Bye Bye Blue Water」を聴きながら、お待ちください!

 

【商品情報】

■ナディア メカニックセレクション

・発売中

・価格: 5,500円(税込)

・ノンスケール

・商品サイズ

ノーチラス号:全長約135mm

グラタン:全長約65mm

ガーフィッシュ:全長約130mm

ガーフィッシュII:全長約130mm

・材質:PS

・設計製作:瑞穂町デザインチーム

・パッケージイラスト: BellPalette (水無月徹)

・対象年齢:15歳以上

・メーカー:ベルファイン

 

【泰勇気の出演情報】

・ NETFLIX海外ドラマ「Locke&Key」シーズン1、2配信中(タイラー役)

・ 橘猫工業「ハンドレッドエッジ」PVナレーション

・ YouTubeガンダムベースライブch川口名人のすいプラ」毎週水曜18時配信(アシスタント)