気がつけば、2021年ももう終わり。今年もいろいろなアニメが私たちの目を大いに楽しませてくれました。昨年2020年は、唐突に始まったコロナ禍でアニメの本数も激減しましたが、今年2021年はほぼ元通りといった感じで、放送されるテレビアニメの本数もほぼ以前のような状態に戻ったほか、劇場版上映が延期されていた大作作品が公開されるなど、アニメ映画も大いに盛り上がったとしになったように思います。また、「Netflix」を中心にオリジナルの配信作品の数も増加し、そのクオリティもだいぶ上がってきたようにも感じました。
そんな2021年のアニメを総括する意味で、アキバ総研のスタッフそれぞれに、個人的によかったと思う推しアニメを5本あげてもらいました。アニメの好みはそれぞれ別々ですが、どれも今年を代表するようなアニメ作品になっていると思います。見逃した作品があれば、ぜひ年末年始の空き時間に、配信などでおさらいしてみてください。
では、アキバ総研編集部による、私的2021年ベスト5アニメ、行ってみよう!
編集長K(♂)のベスト5
1位:シン・エヴァンゲリオン劇場版:||(春映画)
もはや説明の必要もない、劇場版新エヴァシリーズの最終作。話の展開がどうとか細かい部分はどうでもよく(いや、どうでもよくはないが)、とにかくあれだけ大きく広げてしまった風呂敷を庵野監督がよくしっかりたためたな、というところに感動してしまった。見終わった後、これで僕もやっとエヴァから卒業できる、と感じたのは、僕だけではないはず。
2位:ゆるキャン△ SEASON2(冬アニメ)
独特なゆるふわ感と美しい風景。この手の作品は、続編になればなるほど面白さが減じていくものだが、本作は2期でも面白かった。むしろ2期のほうが面白かったかもしれない。野クル部・各メンバーにもきちんと光が当たっていて、それぞれにドラマもあった。
3位:スーパーカブ(春アニメ)
どこか叙情的な雰囲気の中、少女がスーパーカブと出会い、成長していく様を見事に描いた。背景美術が非常に美しく、山梨県北杜市あたりの雰囲気をうまく出していたのも見もの。ちょっとマニアックなメカ話も楽しかった。ゆるキャン△といい、本作といい、山梨県が舞台の作品の当たり年だった。
4位:月とライカと吸血姫(秋アニメ)
旧ソ連を彷彿とさせる共和国とその宇宙開発の描き方がうまい。そして、そこに吸血鬼というファクターをからめることで、単なるファンタジーでもリアル物語でもない、いい感じのラブストーリーに仕上がっていた。主人公であるイリナ役の林原めぐみさんの演技も光った。
5位:かげきしょうじょ(夏アニメ)
最近この手の歌劇団ものみたいなの多いような・・・・・・と思ったが、本作はいたって本気(マジ)の歌劇団を目指すガチなやつだった。白泉社系コミックが原作だけあり、ストーリーは骨太。各キャラの設定や人間関係も面白く、作画もそしてもちろん音楽も素晴らしい出来だった。
ディレクターK(♀)のベスト5
1位:機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(春映画)
ガンダム最新作。期待以上の内容でまるで海外ドラマを見ているようでした。主役や取り巻く人が大人しか出てこないガンダムは大好きです。
2位:ゆるキャン△ SEASON2(冬アニメ)
きれいな風景と癒やしキャンプは最高です。キャンプもいいですが、リンちゃん家族のバイク愛もみていると、自分もバイクに乗りたい気持ちにさせてくれます。
3位:極主夫道(春アニメ)
ローカロリーな作画なのに、テンポのよいストーリー展開は見ていてとても面白いです。1話が短いため、疲れているときにさくっと観ることができるのは、ショート動画が好きな今のZ世代にはぴったりな気がします。
4位:異世界食堂2(秋アニメ)
ひたすらにおいしいご飯がでてきます。お客さんは異世界の人ですが、非日常と日常が合わさったいい作品になっています。
5位:無職転生 ~異世界行ったら本気だす(1期:冬アニメ/2期:秋アニメ)
1期より2期は話が若干ハードになり、シリアス展開ですが、とても面白いです。マイナスポイントは、時々出てくる主人公の前世姿が裸であるという点。これがちょっと嫌です。
編集A(♂)のベスト5
1位:シン・エヴァンゲリオン劇場版:||(春映画)
とにかく終わってくれてよかった…、このひと言に尽きる本作。エンタメとしても十分に魅せるし、考察班の深読み欲をあおる思わせぶりな演出もしっかりとあり、そしてちゃんと未来に向けて前向きなフィナーレを迎えられたことにとにかく感謝。今、のびのびと大好きな特撮映画を撮りまくっている庵野監督の姿も含めて、ひとつの時代を終わらせた一本だと思います。
2位:劇場版『Gのレコンギスタ III』「宇宙からの遺産」(夏映画)
「Gレコ」映画第3弾。今回は、TVシリーズでもっとも物議をかもした、ラライヤの意識が戻るシーンを含む、物語の折り返し地点。その処理の仕方は、やっぱり力業な感じもぬぐえないが、それ以上に注目すべきは、ベルリと姫様が兄妹だと判明するシーン。
TVシリーズでは、わりとヌルっと、アイーダが姉ということを受け入れた感のあるベルリですが、本作では抱いてしまった恋愛感情ゆえに、地面を転がりながら煩悶する姿が描かれ、ノレドもノレドでポツリと「嫌な女」全開の本音を漏らすという、新規カットが追加されているのです。
全体からすると非常に短いシーンですが、キャラのセリフひとつ、行動ひとつに胸をつかまれる感覚にゾッとさせられました。この生々しさこそまさしく富野アニメ!
3位:オッドタクシー(春アニメ)
動物擬人化物、吉本芸人といった要素からサブカルアニメ臭がそこはかとなく漂ってくるのですが、最終回を見終えた時には、それは完全に読み誤りだと痛感しました。
芸人による「作られたキャラクター」と「リアルな人間」の狭間を行き来するような演技は、本作になんとも形容しがたいリアリティをもたらしているのですが、そういう作品全体を覆う違和感こそが最終話の伏線となっていることに衝撃を受けました。
バラバラに散りばめられたピースが次々とはまっていく終盤は、一瞬も目を離すことができないパワーと勢いに満ちています。文句なしで、今年のTVアニメのNo.1です。
4位:ゾンビランドサガ リベンジ(春アニメ)
お待ちかねの第2期。毎回ジョーカーを切り続けるような作風で、誤解を恐れずに言うなら、ずるいヒットの仕方をした第1期に対し、手の内をすべてさらけ出した状態でスタートせざるをえない2期は、非常に厳しい戦いだったと思います。
その実、第2期は前作のようなびっくり箱を開け続けるような作風から一転して、よりキャラクターを掘り下げる方向に転換。第1期のような「何が起こるかわからない」ノリを期待していると肩透かしを食らうのですが、第1期から応援し続けてきたファンにとってはより楽しめる作品になっていました。
もちろん過剰とも言える佐賀県愛は健在。佐賀県の幕末史や自然災害などシビアな側面にも真摯に取り組むことで、その愛情はうわべの物だけではないことがうかがえます。
そんな艱難辛苦を乗り越えてたどり着いた最終話の盛り上がりは異常でした。現実のフランシュシュのライブ演出を取り込んだり、CMを一切挟まない特殊な放送フォーマットだったりと、作品に没頭できるお膳立てはばっちり。見事にリベンジを果たしたフィナーレは、熱い涙なしには見れませんでした。引き続き劇場版にも期待です!
5位:機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(春映画)
まさかの映像化に誰もが驚愕した本作。でき上がった作品は、これまたかつてないガンダム作品になっていました。
原作は富野由悠季氏の小説ということで、なかなか癖の強い文体や、「トミノセリフ」ゆえに難解な(しかし、氏の小説としてはかなり読みやすい部類だと思うけど)作品でしたが、それを換骨奪胎し、現代に作られるべき映像作品としてリブートした村瀬修功監督以下、アニメ制作スタッフにはスタンディングオベーションです。
「迫力がある」「見づらい!」と賛否両論飛び交う夜間の戦闘シーンですが、個人的には巨大な物体が夜の闇の中でガッツンガッツンやりあってる中、逃げまどう市民としては本当に恐ろしいだろうし、その得体のしれない恐怖がひしひしと伝わる演出は、これまでのガンダムにはあまりない視点だったと思います。
第2次世界大戦の匂いを強く残した「ロボットアニメ」であるファーストガンダムと、その影響下にあるシリーズ作品では、どうしても大規模な戦闘だったりモビルスーツの活躍をしっかり魅せるという、ある種フォーマットにのっとった派手な戦闘シーンが作られがちでした。しかし、本作では、テロ時代ならではの日常のすぐ隣にある戦争の恐怖を生々しく描いています。
そこでは、「映画」としてガンダム世界を切り取ろうというアニメスタッフの苦労がしのばれるいっぽう、30年以上前にテロ時代の到来を見越した舞台設定を用意した富野氏の先見性にも驚かされました。
編集H(♂)のベスト5
1位:プリンセス・プリンシパル Crown Handler(第1章:冬映画/第2章:秋映画)
コロナの影響で公開が延期され、主人公の声優が変更されたりと、公開前にいろいろな山を乗り越えようやく公開された「Crown Handler 第1章・第2章」。TVシリーズ同様、アクションのキレや話のテンポもよく劇場で見たときは「え、もう終わり? 続き早よ!」と思ったほどで、続きの第3章の公開が待ち遠しい……。
2位:機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(春映画)
モビルスーツが動いたときの重量感や空中を移動しているときの浮遊感など、今までのシリーズでは見られなかったリアルな表現をプラスしたことで、ロボットアニメならではのメカメカしくカッコいい映像を、これでもかと、すさまじいクオリティで堪能できる「閃光のハサウェイ」。まだ未視聴で年末に見ようと思っている方は、ぜひ、大画面+よい音響の環境で観ていただきたい。また、本作の音楽は、ガンダムUCとNTの音楽も担当した澤野弘之氏が手がけており、すでに発売中のサウンドトラックも聴き応え抜群なので、合わせて聴いてほしい。
3位:かげきしょうじょ(夏アニメ)
女性のみで構成される「紅華歌劇団」に入団するために、紅華歌劇音楽学校で歌とお芝居を勉強する少女たちが描かれる本作だが、メインキャラの過去が語られるシーンでは、なかなか衝撃的なシーンが描写されてネットでも話題になった。だが彼女たちが自分の過去を乗り越え、先に進む姿を見ると思わずじーんとくる。また本作の音楽は、宝塚歌劇団宙組公演「激情」などを手がけてきた作曲家・斉藤恒芳氏が手がけているため、作品にあった楽曲も楽しめるので、「かげきしょうじょ!! 音楽集」もぜひ。
4位:スーパーカブ(春アニメ)
主人公の小熊たちがスーパーカブで日々の出来事を解決するのを見ていると、まるで往年のアメリカのTVドラマ「ナイトライダー」や「エアーウルフ」を見ているかのような印象を感じたのは自分だけだろうか?
5位:ガールズ&パンツァー 最終章 第3話(春映画)
おおよそ年1ペースで公開されている「ガールズ&パンツァー 最終章」。全6話で完結する予定とのことだが、今のペースだと3年以上かかりそう……。残りの3話は矢継ぎ早の公開を期待したいが、11月に配信された「ガールズ&パンツァー 最終章 生配信特番 重大発表スペシャル!」で、自分も含めたガルパンおじさんたちの期待も高かったであろう、第4話の公開時期に関する情報が、無情にも発表されなかったことは記憶に新しい。年末は今月発売される第3話のBlu-rayを見返しつつ、プリプリと同様、続きの一刻も早い公開を期待したい。
デザインM(♀)のベスト5
1位:オッドタクシー(春アニメ)
友人に勧められるまでまったくノーマークだったが、見てみてびっくりの本気サスペンス。芸人を起用したりゆるい印象とはかけ離れたオチに驚いた。
2位:鬼滅の刃 無限列車編(テレビアニメ版)(秋アニメ)
劇場版再編集+αだがやはりクオリティが高い。ちなみに遊郭編でOP・EDがAimerに変わったのが少し残念(Aimerは好きだけど)。やはり鬼滅はLiSAが盛り上がると思う。
3位:機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(春映画)
大きめサイズのガンダムがもっさりせずによく動いていて、メッサーの街中戦闘もかっこよかった。ギギがクェスと違いかわいげがあってよかったと思う。
4位:不滅のあなたへ(春アニメ)
やや暗めのストーリーながらオムニバス風で見ていて飽きなかった。先も読みにくいので続きがとても気になっている。
5位:かげきしょうじょ(夏アニメ)
少女漫画らしい元気で爽やかなアニメ。登場人物もいいキャラばかりで、見ていて嫌な気持ちがしないのがとてもいい。主人公の快活さに元気をもらえた。
編集U(♀)のベスト5
1位:リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様(秋映画)
「テニスの王子様」という、なんでもありでアニメのさまざまな歴史をいろんな意味で塗り替えた(ギネスに載るほどのキャラクターソングの数、今や定番と化したアニメや漫画作品の2.5次元ミュージカル化の基盤を築き上げた金字塔的)作品が、「これがテニスの王子様だ」と突き付けてきた、初の3DCG劇場アニメ。
映画界の常識を破る2タイプ上映、「テニプリ」の名曲を存分に楽しめる特別LIVEメドレー「シアター☆テニフェスpetit!」が本編終了後に上映されるなど、原作者であり製作総指揮を務めている許斐剛さんの、サプライズ精神あふれる、何も考えずに楽しむための映画。疲れた現代人に、頭を空っぽにして一度見てほしい。
2位:蜘蛛ですが、なにか?(冬~春アニメ)
主人公の蜘蛛子さんを演じる悠木碧さんの演技力、歌唱力にひれ伏す作品。
俺強ぇな転生ものがちまたにあふれる中、底辺から這い上がり生き残る蜘蛛子さんを応援したい。
3位:魔王イブロギアに身を捧げよ(秋アニメ)
BLマンガ原作のショートアニメ。
ショートアニメゆえに30分作品によくあるダルさもなく、僧侶枠ならではのお色気規制でテンポよく笑って楽しめる。ストーリーも「ゲームの主人公ではなく、敵方の、しかも魔王ではなく魔王に惚れる」人物が主人公なのがいい味を出している。
4位:シン・エヴァンゲリオン劇場版:||(春映画)
現代でオタクになってしまった者として見ないわけにいかなかった。
何か語れるほどエヴァンゲリオンという作品に触れたことがなくても、編集Aさんがおっしゃるように「ひとつの時代を終わらせ」、編集長Kさんのおっしゃるように「これでようやく卒業できる」と感じさせる、なにかこう、さまざまなものに終止符を打った作品だと思う。
5位:キングダム 第3シリーズ(春アニメ)
2012年放送の1期から約9年、途中何度も挫折しそうになりながらも追いかけ続けてきて、やっとここまで来た。
窮地に陥った秦への助っ人「山の民」の登場シーンには胸が熱くなった。
本当に途中何度も視聴を辞めようと思ったが、政と信という2人の主人公たちの成長と、秦の始皇帝の天下統一までを見守りたい気持ちに、改めてさせてくれた。
編集K(♀)のベスト5
1位:古見さんは、コミュ症です。(秋アニメ)
OP・EDだけでもセンスの塊で、映画を観ているようなクオリティ。
作画崩れも一切なく、日常の物語をとてもきれいに、ときめきを交え表現している。
友達と夏休みを過ごすことができた……といった些細なシーンで泣ける。
2位:東京リベンジャーズ(春アニメ)
ストーリー構成がよくできており、誰が黒幕か全くわからない展開に引き込まれる。ただのヤンキーものかと思ったら全く違う。自分のダメさ加減に奮闘する花垣武道の気持ちにも共感できる。
3位:ひぐらしのなく頃に卒(夏アニメ)
伏線を多々残して終わったため賛否両論あるが、前作の大団円をくつがえすエグい展開など、なんだかんだ放送中の盛り上がりは一番すごかった。OP・EDも相変わらず凝っている。
4位:「鬼滅の刃」無限列車編(テレビアニメ版)(秋アニメ)
LiSAのOP・EDだけでも観る価値はある。劇場版ですでに多くの国民が観ていたが、石田彰さんの猗窩座のハマり具合に改めて気づいた人も多く、劇場版より1シーンずつをゆっくり観られた。
第1話のオリジナルエピソードで描かれた、煉獄さんの父の過去もファンの期待に応えていた。
5位:天空侵犯(冬アニメ:Netflixオリジナル配信)
デスゲームの中にパンチラなどコミカルな要素があり、気軽に楽しめる。
梅原裕一郎さん演じる「スナイパー仮面」がかっこよく、男女ともにキャラクターの魅力が出ている。EMPiREのOP「HON-NO」も、スリリングなアニメのテイストに合っておりよい。