「機甲界ガリアン」の1/100 ウィンガル(タカラ製)を組み立てて、‟甲冑ロボ”の重々しさに陶酔してみた!【80年代B級アニメプラモ博物誌】第10回

「機甲界ガリアン」、見てました? 1984年10月放送だから、「機動戦士Zガンダム」の前年か。夕方17:30って、高校生にはちょっと見づらい時間帯だった。……と言うかねえ、俺は「装甲騎兵ボトムズ」があまりに面白くてプラモデルの出来もいいので、「もうロボットアニメはこれで卒業!」って決めてたんだよな。
「ガリアン」のプラモは、「アンティボーグ」という仮題で模型雑誌にモックアップが掲載されても、あんまりピンとこなかった。ただ、テレビでガリアンと敵ロボの機甲猟兵ザウエルがローラーダッシュしながら剣戟を展開するシーンを見たとき(「卒業」とか言いながら、やっぱり見てたんだな……)、とりあえずザウエルのプラモだけは買った。そしたら、端正な出来のいいキットでね。そういう甘い記憶とともに、「アニメスケール1/100 ウィンガル」(タカラ製)の箱をオープン! 箱絵は、巨匠・高荷義之氏です!

▲ 塗装説明図の裏は、セル画の下にストーリー解説とジオラマ制作のすすめが刷られている。「上のイラストを参考に、イメージを自由にふくらませて、あなたの機甲界を再現してください」……「イメージ」と「自由」、80年代プラモ文化の常套句ですね。それにしても「あなたの機甲界」ですか!

でもね、1984年ってMSV(モビルスーツバリエーション)の展開も終わりが見えはじめて、ちょっとリアル系ロボ全体に疲れが見えていたと思うんだ。この「ガリアン」シリーズも、1/100スケールのみで、大きめサイズの別ラインが売られていたわけではない(クラウンモデルから、低価格キットが何種類か出てたけどね)。
一騎当千というか、ひとつの商品にどれだけプレイバリューを多く持たせて、充実感のあるキットにできるかが問われていた時期だと思うんだよな。

▲ 箱に入っていた「ガリアンお年玉プレゼント」の応募券。タカラの発行していた模型情報誌「3Dジャーナル」と連携していてがんばっているのだが、肝心の景品の中身が書かれていない

さて、やられ量産ロボのウィンガルだけど、キットは濃淡のグリーン、2色で成形されている。ランナーを見ていこう。

▲ どうして頭部だけ、別枠のランナーになっているのか? ハイ・シャルタット(ガンダムで言うシャアみたいな敵役)が使うウィンガル・ジーとランナーを共有してるからだろうね。奥に長い頭部は、左右分割するとカッコよくなるよね

▲ そして手首は、親指とほかの指が別パーツ! ガンプラ的なグーパンチではなくて、なんか平べったい手だ! あと、排熱スリット的なディテールが、丸っこくていい雰囲気だね!

やっぱりイイですね、機甲兵(「ガリアン」に出てくるロボットの総称)は! モコモコした、重たい鎧の質感が出てるでしょ? 胸や腕のエングレーブ(唐草模様みたいな彫刻)も、シャープではないんだけど、これぐらいヌルいモールドのほうが、重量感が出ている。
いやいや、今回はバッチリ、良キットでは?

▲ 最高にクールなのが、この板みたいなパーツ類。なんと、飛行形態でディスプレイするための飾り台なのだ! このキット、絶対渋いよね? やられメカのウィンガルに、飾り台まで付けるのかよ!

ではキットを組み立てて、機甲界に突入! この「機甲界」ってのが、また渋い肩タイトルだよね。「界」って、ロボット単体のことじゃなくて、作品世界全体を指してるのが渋い。いや、高橋良輔監督の言語センス、最高ですね! 万歳! 80年代ロボアニメ万歳だ!!