おかげさまで、このコラムも50回目を迎えることができました。大好きなカプセルトイの世界をこんなにも書かせていただけるなんて、幸せ者でございます。
そんな今回は番外編! 初心に戻って、自分が小学生の頃から大事に持ち続けているガチャガチャ8選をご紹介。子供だから「やっちまった~!」的なアイテムや当時のあるあるネタグッズも多数登場します。なんか自分の恥部を見せてしまっているようで恥ずかしくもありますが、思い切ってレビューします。それでは昭和レトロの世界へ……。
■その1 スーパーカー消しゴム(ジャンボ) コスモス 1977年 20円の当たり賞品
1970年代後半、漫画「サーキットの狼」のヒットを受けて、日本中に空前のスーパーカーブームが到来しました。夢また夢のマシンがお小遣いの範囲内で手に入るというのだからドキドキが止まりません。
このブームの中で、特に小学生からの人気を集めたのが「スーパーカー消しゴム」。消しゴム、と言いつつも塩化ビニール製のおもちゃで、実際に鉛筆の文字を消すことはできないという代物でした。
駄菓子屋の軒先のガチャガチャから出る3センチ弱のスーパーカー消しゴムは、安いしいろんな種類がありました。
ちなみに本当に字が消えるスーパーカー消しゴム(字が消えなければ「消しゴム」とは言えないのですが……)は文房具店で売っていましたが、そこでは「ボクシー」のボールペンのみを購入。カチっとボタンを押すと、ペンのお尻の部分が飛び出すアレです。
私の通っていた小学校では、特に男子の間でスーパーカー消しゴムが大流行。休み時間はボクシーのお尻で消しゴムを弾いて、カーバトルに勤しんでおりました。そのルールも多彩で、スーパーカー消しゴムが机から落ちたりひっくり返ったら負けであったり、一番早くゴールラインに到達したら勝ちなどさまざまなアイデアを出して楽しんでいたものです。
レースに勝ちたいがゆえに、タイヤにホッチキス針を刺したり、裏面をセメダインでツルツルにしたり、ガンプラ作りで余ったパテをくっつけたりと、各自さまざまな趣向をこらしたチューニングを施していました。もしカスタマイズにクレームが入れば、今度はボールペンのバネを2倍し、弾く強さを増すという具合に、独自のチューンアップを行う輩も現れました。
そんなスーパーカー消しゴムブームの中でお目見えしたのが、写真のランボルギーニ・イオタ。大きさはなんと通常サイズの10倍強。「ジャンボ消しゴム」と印刷された大きな紙が出たら、お店で交換してもらえるシステムでした。ゲットした時の優越感と、「これで休み時間の戦いに勝てる!」という期待感で、ウキウキしながら学校へ!
その存在感のインパクトに最初はみな大興奮! やがて、どんなに弾いても微動だにしないウドの大木ぶりで、瞬く間に笑いの種に。あげくの果てに、先生に没収されるという悲しい結末を迎えてしまいました。
あまりの悔しさに、なぜかフロントガラスをマジックで塗りつぶし、スモークグラスにするという暴挙を起こしたのでした。
■その2 飛べ!孫悟空消しゴム コスモス 1977年 20円の当たり賞品
ニンニキ二キニキ~♪でおなじみの、ザ・ドリフターズが演じる人形劇「飛べ!孫悟空」。その消しゴムです。
もともとは文房具店で正規品が販売されていたのですが、より安く手に入る!ということで、駄菓子屋へ向かった貝山少年。
冷静に台紙を見ればパチモンだってわかるんですが、「ん?なんか違うぞ~」って気づくのって、たいてい、ある程度お小遣いを散財させてからなんですよね。胴体がひん曲がっていたり、輪郭がぼやけていたり……。
悔しさのあまり、またも暴挙発動! 猪八戒の武器はもぎ取られ、孫悟空の口は黒く塗られ、三蔵法師のビローンと出た下唇は無残にも切り取られるのである。そうやって少年は大人になっていくんです。
■その3 ミニBOOK・ノート コスモス・今野産業 1979年 20円の当たり賞品
印刷技術が今ほど高くなかった当時は、多少粗い印刷でも、カプセルから出てきたミニBOOKは神々しかった~。「機動戦士ガンダム」の「ホワイトベース」が真っ青に塗られているといった具合に、多少ヤバメな部分はありましたが。
この2センチほどの豆本には、「はちゃめちゃ辞典」や「ギネス認定本」なんてのもありましたが、大切に持っていたのは、写真の2冊でした。
紙の質がわりと残念な感じで、すぐに裂けたり、こすり傷がついたり……。当時、どのように扱っていたかを物語っております。
絵本の表紙と裏表紙だけ印刷されたミニノートには、オリジナル漫画を描いちゃってます。若気の至り? 超絶恥ずい!
■その4 ビックリ水道 コスモス 1978年 20円の当たり賞品
昭和レトロな蛇口です。
当たりと引き換えに駄菓子屋のおばちゃんから蛇口だけを渡された時、2人の間に何とも言えない空気が流れたことを覚えています。
後ろの吸盤でどこにでも付けられますが、回しても水は出ません。ドッキリグッズです。こんな子供だましにひっかかる人いないよと子供心に思いつつ、お風呂場の2層式洗濯機の側面にペタっ。
……数分後、「キャー! ナンダ~これ」とおばあちゃんの声が。大爆笑した思い出が蘇ります。
■その5 ユーホーミーバ― コスモス 1978年 20円の当たり賞品
スライムと人気を2分していた「ミーバ」。そのガチャ版「ミーバー」。今でも「アミーバー」で展開しているあれです。粘土質で少し弾んだり光ったりと不思議系のオモチャです。当時大人気の「UFO」も光るということで、便乗して登場したのがこれ!
アダムスキー型の期待感をあおる造型です。
しかし肝心のミーバーの容量が極端に少ない! しいていいところを言うなら、クルクルとよく回るくらい……。どっちかっていうと、これは「ユーホーコマ」だろ!ってツッコミを入れていました。
そして次の日には、ミーバーはカラカラに干からび、無用の長物に。これを当てるのに、どんだけお小遣い使ったんだか……。
■その6 ピンクレディー ポーズ人形 コスモス 1978年 20円の当たり賞品
当時のガチャは何が出るのかわかりません。その中でも特に驚いたのがこれ!
「金色夜叉」の1シーン?と思ったのはかなり経ってからで、幼いころは何か見てはいけない呪いの像だとずーっと思っていました。練り込まれているラメがなんだか不気味です。
そのうち、ようやくこれが「ピンクレディ」だと理解。あのラメは「スター」をイメージしているってことでしょうか?
よく見ると台座の裏に「カルメン」の刻印が。
見逃しますよ、これ! 「カルメン’77」の振りの一部だそうです。何の説明もなくカプセルにインされて、「はい、どうぞ」ってあんまりですよね~。
■その7 バイ菌軍団 今野産業 1978年 20円
クラスに必ずいるような個性派を、そのままバイ菌の世界に置き換えた吸盤付きフィギュア。
これを友達の顔に付けて大笑い。今だとコンプライアンス的に問題になりそうですが、当時はSNSなんてないので、記憶にインストール。思い出としてずっと残ってます。
この「バイ菌軍団」は、実は初めて大ヒットしたガチャオリジナルキャラだったりします。その人気はガチャだけにとどまることなく、後にコミックスまで出版されています。
さて、バイ菌軍団フィギュアの種類は42種。何が出るかわからないガチャの性質上、ダブリも多数存在しました。たまに出てくるスプレー塗装済みのフィギュアが出てきて、新鮮な気持ちにもなったり。
友達とトレードを繰り返すことでフルコンプした時は、オリジナル台紙も作成しちゃうほど、嬉しかったな~。
お気に入りはこの3つ。オナラ菌をセンターに水虫菌、うんち菌と、昔からお下劣系が好みでした。
■その8 キャラクタースタンプ コスモス 1977年 20円の当たり賞品
信じられないと思いますが、1970年代のガチャは台紙に載っていない商品のほうが多かったのです!
これらはその台紙未掲載のスタンプです。当時の人気アニメのキャラクターたちで、当たりといえば当たり景品ですが、立て続けに出てくるのです。それが10や20どころじゃないから、思わず「もうやめてくれ~!」と言いたくなってしまいます。
上下が透明ではないカプセルが出たら、もう確定! お小遣いは湯水のように消えていきました。
この辛さを乗り越えてお目当てのガチャをゲットした時の喜びといったら……。苦しみを越えたところに、本当の嬉しさがあることを教えてくれました。
今回は、原点回帰ということで、私の著書にも載せられないような、ちょっとヤンチャなアイテムなども含めて紹介させていただきました。これでスッキリとした気持ちで、また新たなカプセルトイに向き合えそうです。
ガチャ探訪の旅はまだまだ続く……。次回は通常営業の「最新ガチャ探訪」でお会いしましょう~。
<プロフィール>
ワッキー貝山
フリータレント兼ガチャガチャコレクター・研究家(カプセリスト)
7歳からガチャガチャを集めだし、10万個所有。「昭和レトロガチャ 最強コレクション」(グラフィックス社)、「愛しのインチキガチャガチャーコスモスの全て」「素晴らしきインチキガチャガチャの世界―コスモスよ永遠に」「最終決定版!インチキガチャガチャの真相―コスモス、その愛」(双葉社)「日本懐かしガチャガチャ大全」(辰巳出版)関連本5冊出している。
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