大ヒットを記録している『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の公開を記念して、アキバ総研ではメインキャストのインタビューをお届け。第1弾は主人公、竈門炭治郎(かまどたんじろう)役の花江夏樹さん!
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は、2019年に放送され幅広い層から人気を博したTVアニメ「鬼滅の刃」の続きとなる物語。原作でも人気の高いエピソードのひとつだ。新たな任務のために乗り込んだ“無限列車”を舞台として、炭治郎ら鬼殺隊の仲間たち、そして鬼殺隊最高位の剣士<柱>のひとりである炎柱・煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)の活躍やさまざまな想いが、迫力の映像・音楽とともに紡がれる。
インタビュー第1弾となる今回は、花江さんに本作の見どころや炭治郎を演じるうえで意識した点、さらには煉獄さんの印象まで、いろいろなお話をうかがった。
※本稿には内容についてのネタバレが多少含まれます。まだ本作を観ていない方や原作未読の方はご注意ください。
列車のシーンは普段の距離感をあえて無視した声の張りを意識
――「鬼滅の刃」はTVアニメの時点から劇場レベルと言っていいほどのクオリティでしたが、やはり大画面で観るのを楽しみにしている人も多いと思います。まずは、劇場版だからこそ堪能してもらいたいポイントについてお聞かせください。
花江 まず“音”ですね。音が本当にすごい。列車の中を歩く音や、列車の上で戦っている時の周囲の音とか、本当にこだわって作られています。すごく立体的に聞こえるのは、劇場ならではだと思いました。TVアニメからさらに突き詰められた映像を大画面で観られることも、本当に素晴らしいですよね。予告映像をテレビやスマホで観るだけでも十分ワクワクしますが、実際に劇場で観ると迫力が段違いで圧倒されると思います。
――「無限列車編」が劇場版になったというのも大きいですよね。
花江 そうですね。原作でも人気がありますし、僕自身もすごく好きなストーリーなので、それを劇場で見られるのは嬉しいです。
――炭治郎的には本作はどのように感じていますか?
花江 今回はより家族の絆というか、大切な人を想う気持ちが出ているので、かなり感情が揺さぶられる話だと思っています。すごくつらい思いもありますが、今後の成長にも繋がる欠かせない話です。
――演じるうえで、列車が舞台だから意識したことはあったのでしょうか?
花江 結構ありました。特に列車の上でのシーンですね。列車の上ってかなりうるさくて、近くですらちゃんと叫ばないと伝わらないと思うんですよ。なので、普段の距離感をあえて無視した声の張り方を意識しました。このシーンでは松岡さん(伊之助役)と一緒に演じることが多くて、2人ともずっと叫んでいましたね。
――そんなアフレコで思い出に残っているエピソードがあれば教えてください。
花江 炭治郎の家族は第1話で鬼に殺されてしまうんですけど、今回、その声優さんたちが久しぶりに集まって、本当の家族みたいな温かい気持ちになりました。でも、「炭治郎につらい思いをさせるために演じてください」みたいなディレクションがあるぐらい、(家族たちが)炭治郎に結構ひどいことを言うシーンもあるので、気持ちがボロボロになりましたね(苦笑)。演じている皆さんも、本当は言いたくないんだけど……って困っているくらいでした。
僕自身、何度も見返したいところがたくさんあります
――「無限列車編」は煉獄さんがメインと言っていいぐらいの物語だと感じます。炭治郎目線でも花江さん目線でも構いませんので、煉獄杏寿郎という人物の率直な印象をお聞かせください。
花江 柱である煉獄さんは、いわば炭治郎たちの上司的な立場なんですけど、柱の存在意義、心構え、強さ、そういったものを態度で見せてくれる人だなと思いました。だからこそ、言葉のひとつひとつが重くて、鬼殺隊になりたての炭治郎たちの今後を示してくれる存在ですね。
――もし煉獄さんが実際に花江さんの上司や先生といった立場だったらいかがですか?
花江 煉獄さんは(行動や考えに対して)ちゃんと理由を言ってくれるし、実力もともなっているのでいいなと思います。もし、理由もなく、ただ声がでかかったり、理不尽なことを言ってきたら違うと思いますけど。そうではなくきちんと行動で示すし、後輩のために自分を犠牲にできる人なので、すごく信頼できますね。
――では、柱の中で誰かの下につけるとしたら、煉獄さんを選びますか?
花江 柱は全員そういう人だと思うので、誰かってことはないですけど、煉獄さんはすごくついていきたいと思わせてくれる人ですね。
――本作では「夢」や「無意識領域」がキーワードとして出てきます。ということで、花江さんの心の中に広がっている無意識の世界があるとしたら、どんな世界だと思いますか?
花江 どうですかね。あまり自分ではわからないですけど、きっと欲望の強い世界じゃないかなと(笑)。ああしたい、こうしたい、という欲望はありますので。色で言ったら黒かな。
――こうだったらいいな、という希望で言ったらどうですか?
花江 希望で言えば炭治郎みたいだったら一番いいんだろうなと思います。でも、(僕の心の中は)澄み切ってはいないと思います(笑)。
――そんな本作は、1度観に行った人でも、きっと2度、3度と観たくなる作品だと思います。ですので、最初は気づかないかもしれないけど、ここにも注目すると面白い、というところをお聞かせください。
花江 僕も観た直後にもう1回観たいと思ったぐらい、見返したいところはいろいろありますね。たとえば、それぞれの呼吸、技を繰り出すところは本当にすごい描き込みで、一瞬のカットが連続で続くハイクオリティな映像になっているので、そこは何回も観たいです。最初は圧倒されちゃって見逃すところもあると思うから、改めてゆっくり見返してもらいたいですね。
――ありがとうございました!
(取材・文・撮影/千葉研一)
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