【Steam】家にいながらワイワイ楽しめる!PCボードゲーム特集

アキバ総研をご覧の皆さま、いかがお過ごしでしょうか。ゲーム買いすぎちゃう系ライターの百壁ネロでございます。突然ですが、ボードゲームはお好きでしょうか。筆者は、秋葉原でボードゲーム、通称「ボドゲ」を買い込んで友人の家に行き、「夜通しアナログボドゲ会をやる」という定例イベントを、ちょくちょくやっていたのですが、このコロナ禍のご時世、開催できなくなって久しく、寂しさを感じている今日この頃です。

そんなわけで今回は、家にいながらオンラインでワイワイ盛り上がれるSteamのボードゲームをご紹介していきます!

1.金と権力で他人を蹴落とせ!生々しさがクセになるボードゲーム「Gremlins, Inc.

  • メーカー名:Charlie Oscar Lima Tango Interactive Entertainment
  • 発売日:2016年3月11日
  • 価格:1,680円(2020年5月24日現在)

みんなで遊んで盛り上がるボードゲームの定番と言えば、やっぱりすごろくは外せません。コンシューマーゲームでも、「桃太郎電鉄」(桃鉄)、「いただきストリート」(いたスト)、「マリオパーティ」など、みんなで遊ぶ定番のすごろく系ボドゲは数多くリリースされているので、何かしらプレイしたことがある人は多いのではないかと思います。

本作「Gremlins, Inc.」は、Steamにおける定番とも呼べる、みんなで遊べるすごろく系ボードゲームです。

(C) 2016 Charlie Oscar Lima Tango Interactive Entertainment

本作は、スチームパンクの世界を舞台にグレムリンたちが戦うボードゲーム。グレムリンとは、機械にイタズラをするという、ゴブリンに似た、見た目の伝説上のモンスターで、その昔、同名の映画もありました。「Gremlins, Inc.」に登場するグレムリンたちはみな、かなり人間くさく味のあるタッチで描かれており、ついつい「こういうおじいちゃんっているよな……」などと思ってしまいます。

さて、そんな人間くさいグレムリンたちが何を求めて盤上で戦うのかというと、ずばり「金と権力と名声」です。なんて生々しい! ですが、これはあくまでもストーリー上の設定。実際にゲーム中で集めるのは「スコア」と呼ばれる、勝利のためのポイントです。「桃鉄」や「いたスト」ではお金が勝利に直結しますが、本作ではお金は、カードを使うためのコストとして支払ったり、ワイロとして支払ったりする際に使います。

……今、なんだか不穏な言葉が出てきましたよね? 
はい、それについては、のちほど説明します。

本作の盤面は、モノポリーのように、ひとつのマップをぐるぐると周回するタイプとなっています。

ですが、移動手段はサイコロではありません。本作は、手札として配られるカードに数字が振ってあり、カードを消費して移動をするシステムとなっています。しかし、カードにはそれぞれ、スコアを獲得したりほかのプレイヤーを妨害したりというアクション効果も備わっているので、「カードを移動用に使うか、それともアクションのために温存するか」という悩ましい選択が発生します。

 

「温存しないで、使いたいカードはすぐに使っちゃえばいいじゃん!」と思うかもしれませんが、カードはすべて使用可能なマスが決められているので、使いたければ指定のマスまで移動しなければならないのです。本作は、このあたりのバランスが非常にすぐれており、新しいカードを引くたびに、戦略をアップデートするべく頭をフル回転させることとなります。

すごろく系ボードゲームで勝負を分ける重要な要素は「マス」。というわけで、本作の主なマスをご紹介していきましょう。

 

お金がもらえる「収入マス」や、マイナスイベントが発生する「不幸マス」は、ボードゲーム系では欠かせない定番のマス。本作におけるマイナスイベントとは、お金を失ったり、「悪意」というネガティブステータスが上昇したり、逮捕されたりと散々です。……そうなんですよ、このゲーム、逮捕されたりもするんですよ。

 

「警察マス」は、止まるとサイコロを振らされ、1が出たら逮捕となり「刑務所マス」に送られてしまいます。ですが、ワイロとしてお金を支払えばダイスロールを免れることができます。地獄の沙汰もなんとやら……!

「刑務所マス」は、刑期として定められたターンが終わるまで出られない、○回休み系のマスです。しかし、ただ休むだけではありません。刑務所では服役中、看守に対して悪い態度・良い態度・中立の態度を選ぶことができ、良い態度を取ると刑期を縮められる可能性が高くなります。……なんだか生々しいですね!

 

ちなみに悪い態度を取ると、刑期が延長する可能性がある代わりに「刑務所ランク」の上昇を早められます。刑務所ランクが上がると、なんと刑務所にいるだけで、勝利に必要な「スコア」が獲得可能に! 悪い態度を取りまくって手のつけられない囚人になると、「アイツはマジやべえ……」という風に名声が得られるイメージでしょうか。これはこれで、なんだか妙に生々しい……!

「ワイロマス」は、通過する度にお金を払わなければならないマイナスイベントマス。しかし、カードやマスで「票」をかき集め、20ラウンドごとに開催される「選挙」に勝って知事になると、ワイロを支払う必要がなくなります。

さらに、ほかのプレイヤーが支払ったワイロを奪うこともできてしまいます。

さらにさらに、警察に逮捕されることもなくなります。知事の権力、おそるべし……! 

警察、刑務所、ワイロ、選挙など、生々しくてブラックな味付けが面白い本作ですが、極めつけは、ほかのプレイヤーのいるマスに止まることで勃発するバトルです。内容は、実に単純明快。各プレイヤーそれぞれ、オークションのように金額を提示し合い、より高い金額を提示したほうが勝ちとなります。勝者はお金を失い、敗者はお金は失わないものの逮捕されて刑務所送り! 金で殴り合うとは、まさにこのことという、生々しさと潔さが光るバトルシステムです。

本作は、「桃鉄」や「いたスト」などのボードゲームと比べると、妨害要素やマイナス効果マスが多いため、他人の足を引っ張り、他人の不幸に大喜びするという、攻撃的なプレイ感覚が楽しい作品となっています。

カードやマスの種類が多く、若干ルールが複雑に思える本作ですが、ゲーム中いつでもカーソルを合わせてマスやカードの説明を確認できるので、想像よりもずっと遊びやすい仕上がりとなっています。アナログボードゲームなら、プレイをちょくちょく止めつつルールブック片手にあれこれ調べるところですが、カーソルひとつでサッと確認できるのは、まさにデジタルボードゲームのよさと言えるでしょう。

そんな本作、もちろんSteamのフレンドと一緒に遊ぶこともできるので、ぜひ仲のいい友だちと思いっきり足の引っ張り合いをして楽しんでみてください。友情を壊さない程度にね!

2. 運の良さが明暗を分ける! ゆるかわバトルすごろく「100% Orange Juice

  • メーカー名:Fruitbat Factory
  • 発売日:2013年9月10日
  • 価格:698円(2020年5月24日現在)

ゲームは、運と戦略性のバランスが面白さを決めるとも言われますが、運のほうが重視されるゲームというのも、何か自分の中に眠る底知れない能力を試されているようで面白いものです。

ご紹介する「100% Orange Juice」は、戦略の要素もありつつ、どちらかと言えば運がキーとなるゲームです。

(C)2013 Fruitbat Factory, Ltd. All rights reserved.

本作は、4人で遊ぶすごろく型のボードゲーム。まずなんと言ってもやはり、ゆるくてかわいい雰囲気のイラストに目がいきます。本作は「橙汁」という日本の同人サークルの作品であり、「橙汁」のキャラクターたちが、大集結してワイワイすごろくバトルを繰り広げるというゲームになっています。

どことなく深夜アニメを思わせるテイストのビジュアルは、筆者の推測ではありますが、アキバ総研ユーザーの方ならグッとくるところがあるのではないでしょうか! かく言う筆者も、遊んですぐにキャラの魅力にハマってしまった人間のひとりです。

本作の勝利条件は、設定されたノルマをクリアして、ノルマレベルを上げていき、誰よりも早くレベル6に到達することです。

ノルマは、レベルが上がるたびに「スターを集める」か、それとも「バトルの勝利数を増やす」かをプレイヤーが選択できます。スターは特定のマスに止まるか、もしくはほかのプレイヤーとバトルをして勝つことで得られます。

バトルの勝利数は読んで字の如く、ほかのプレイヤーか、もしくはフィールドに現れるモンスターとのバトルで勝利することで獲得可能。この「バトル」こそが、本作の肝のひとつとなっています。

「バトル」は、サイコロの出目でお互いのHPを減らし合うという形式です。

先攻がまず攻撃ダイスを振り、防御側は防御か回避を選択してダイスを振ります。

回避の場合、うまくいけばダメージをゼロにできますが、失敗するとフルダメージを受けてしまうというリスクも。
また、RPGのようにキャラクターにもモンスターにも攻撃力や防御力などのステータスが設定されているので、サイコロの出目にそれらが補正として加わります。

 

とにもかくにも、バトルを制するために大事なのはサイコロの出目。リアルのボードゲームなら、思わずサイコロを投げる手に力が入りまくってしまうところです。

また、本作にはカードがあるという点も大きな特徴です。

すごろく型ボードゲームでカードというと桃鉄をイメージしがちですが、本作は、自分が所持しているカードの中から10枚を選んで勝負に持ち込むという、デッキビルド的なシステムになっています。

しかし、この10枚がそのまま自分のデッキになるというわけではなく、ほかの各プレイヤーが持ち込んだ30枚と、強力な効果を持つハイパーカード8枚を足した計48枚がデッキとなり、カードマスに止まることで、そこから1枚を引く形になります。

 

カードの効果は、移動サイコロが倍になるものや、バトル時のステータスにバフやデバフをかけるもの、マスにしかけて踏んだプレイヤーに効果を与えるトラップカードなど多種多様。ゲームを遊ぶことで得られる通貨を使って、カードがランダムで入っているパックを購入するという、トレーディングカードゲーム的な要素も備わっています。カードにはイラストやフレーバーテキストがしっかりと付いており、集めて眺める楽しさもあるのがうれしいですね!

本作は、デッキビルドなど戦略的な要素もありつつ、バトルをはじめ、さまざまなことがサイコロの出目次第で決まるという、かなり運の要素が強めのゲームです。

ひとりで戦略を練って黙々と遊ぶのももちろん楽しいのですが、本作の醍醐味は、リアルの友人やオンラインで見知らぬ相手と一緒にパーティーゲーム感覚でワイワイ遊ぶことにあると筆者は感じました。「運も実力の内」という言葉を胸に、ぜひ、自分のサイコロ運を試してみてください。

3.推しのプリンセスを皇帝にせよ! デッキ成長型カードゲーム「ハートオブクラウンPC

  • メーカー名:illuCalab, FLIPFLOPs, Japanime Digital
  • 発売日:2017年12月13日
  • 価格:2,570円(2020年5月24日現在)

ボードゲーム界では、すごろくやチェスのような盤を使うゲームだけではなく、カードゲームも含めて広義でボードゲームと読んでいます。これからご紹介する「ハートオブクラウンPC」もカードゲームであり、アナログボードゲームとして発売されている「ハートオブクラウン」のデジタル版となっています。

(C) 2017 illuCalab, FLIPFLOPs, Japanime Digital

 

本作は、とある帝国の皇位継承争いをモチーフにしたファンタジーカードゲーム。

プレイヤーは帝国の有力者のひとりとなり、後継者候補の中から意中の姫を皇帝へ即位させるべく、ライバル候補たちを打ち破る、というストーリーとなっています。

 

そんな本作、まず目を引くのは美麗でかわいらしさ抜群のイラスト。特に、本ゲームの要となるプリンセスたちは必見のかわいさです。筆者は、双子のレイン姫&シオン姫推しですね! 魔女っ子かわいい!

本作は、「デッキ成長型」や「デッキ構築型」と呼ばれるカードゲームです。

プレイヤーは全員、同じ10枚のカードで構成されたデッキでゲームをスタートし、ゲーム中にカードを買い集め、自分のデッキに組み込んでいきます。
自分のデッキをどんどん理想の形へ作り上げていく感覚は、「マジック・ザ・ギャザリング」や「遊戯王」のようなTCGを思わせますが、本作のデッキ作りはリアルタイムでスピーディー。毎ターン、カードを使ってコインを獲得し、そのコインでマーケットからカードを買って、デッキに組み込んでいくというサイクルを繰り返して、ゲームを進めることとなります。

本作のクリア目標は、ストーリーにもあるとおり、姫を皇帝へ即位させることです。

 

即位の条件は、6コイン支払って姫を擁立し、勝利条件である継承点を20点以上獲得すること。継承点を獲得するためには、コインを使って、継承点を得る効果を持つカードを購入する必要があります。

購入したカードはデッキに組み込まれるので、手札に来なければ使えません。しかし、デッキの枚数が増えれば増えるほど、当然、手札に欲しいカードが来る確率は減ってしまいます。なんというジレンマ!

そこで、最初からデッキに入っている、弱い土地カード「農村」や、継承点マイナスカード「見習い侍女」などの不要なカードをデッキから、排除していくというアクションが必要になります。

この、カード購入とデッキ圧縮の思考こそが本作の肝であり、面白さのポイントであるように筆者は感じました。

擁立する姫には、それぞれ固有の能力が備わっており、これもまた、戦略の大きな要となっています。

擁立すると即座に継承点を6点得られるルルナサイカ姫、カードの購入コストがマイナス1減らされるクラムクラム姫など、その能力は個性的でバラエティ豊か。
ルルナサイカ姫は、前皇帝の第1子。人望が厚いため、最初から継承点のアドバンテージがあり、クラムクラム姫は帝国最大の商家の強力なバックアップがあります。そのため、本人も商人であるためにカードを安く買える、といった風に各キャラクターの設定に基づく能力となっているのも面白いポイントです。

能力の強さや立てたい戦略で姫を選ぶのもよいですが、シンプルに、見た目の好みで推しの姫を選んで擁立するのもまたよし! キャラ愛で勝利できるとうれしさもひとしおです。かく言う筆者は、推しのレイン姫&シオン姫では全然勝てず、試しにルルナサイカ姫をチョイスしてみたところ、なんと初勝利。勝てたのに、なんだかちょっと悔しさが残る結果となりました……!

オフラインでもひとりで遊べるCPU戦、見知らぬ誰かと戦えるオンライン戦、対戦で貯めたポイントを使ってショートストーリーが読めるキャンペーンモードなど、さまざまなモードが用意されている本作。1ゲーム10分程度でサクサクと遊べるので、もう1戦、もう1戦と止まらなくなること請け合いの高い中毒性が魅力です。本作を思う存分楽しんだら、アナログ版も購入して、実際のカードならではの手触りを味わってみるのも一興かもしれません。

4.デジタルボードゲームにはデジタルならではの「良さ」がある

というわけで、Steamで遊べるおすすめのボードゲーム3作をご紹介しました。

ボードゲームは、気の合う仲間とテーブルを囲んでワイワイと楽しむのが最高ですが、デジタルボードゲームにも、オンライン対戦があったり、ルールを容易に確認できたり、遊ぶ前の準備や遊んだあとの片付けが不要だったりと、「デジタルならではのよさ」が詰まっています。ぜひ、Steamでお気に入りのデジタルボードゲームを見つけて、友だちやオンライン上のツワモノたちとワイワイ遊んでみてください!

筆者:百壁ネロ
ゲーム買いすぎちゃう系フリーライター。現在積みゲー300本以上。小説家でもあります。著作は「ごあけん アンレイテッド・エディション」(講談社)、「母の嘘(「悪意怪談」所収)」(竹書房)。