2023年最後の「最新ガチャ探訪」は、毎年恒例のMVC(Most Valuable Capsuletoy)を決める年末特別企画です。
一年の総まとめをするこの時期、毎年「カプセルトイの今年のトレンドは?」と聞かれることが多いのですが、今年は地方分散傾向が顕著で、ご当地でしか買えないオリジナルガチャの展開が増えた感じです。そのほか地球にやさしい紙製カプセルやカプセルレスのガチャも多く登場したほか、新しいガチャ専門店も続々オープン。メディアで取りあげられる機会も増えました。
また、アフターコロナのインバウンド需要で海外からの旅行者によるSNSを通じたカプセルトイの拡散も増え、ますます市民権を得たようにも思いました。
私的ニュースは、12月2~3日に池袋にあるサンシャインシティで、私のカプセルトイコレクションを展示するイベント「昭和レトロガチャガチャ展」を開催したことです。80坪の敷地に8万点のレトロガチャを展示し、皆様をお出迎えしました。2日間で延べ14,000人近くの方にお越しいただいたのですが、その客層はリアルに当時を知る私と同世代のみかと思いきや、なんと6割が20~30代の方だったのです! 昨今のエモい昭和レトロブームも影響も多分にあったかと思いますが、若い世代のカプセルトイへの感心の高さも実感しました。
それでは、そんな若い世代も大注目の「カプセルトイアワード2023」を発表していきましょう! 今年も、独断と偏見で各賞を選ばせていただきました!
ナイスファンシー賞
俺、今日からかえる/ジェンコ/全7種/300円
連載第78回に登場。アニメ企画・プロデュースで知られるジェンコが放ったカエルのフィギュアが、ナイスファンシー賞を受賞しました。
(昨日までぎりオタマジャクシだった子が)目を覚ましたら、“しっぽ”が取れてカエルになっていた! その瞬間を切り取るという斬新なアイデアで、瞬く間に大人気に。一気にSNSを通じて拡散していきましたね。私も、独自の世界観が世に拡散していくのを喜んで見ておりました。
ぺロ~ンとした造形に心をつかまれる方も、日々増殖中。あなたはどんな写真をパチる? じわじわとくるかわいさにナイスファンシー賞、決定です。
<コメント>
・原作者 ボンゲ式さん
受賞、光栄です! 自分の生み出した子がたくさんの人の力で世に出て、たくさんの人にかわいがられて、こんなに幸せなことはないです。皆様いつもありがとうございます!
・プロジェクトリーダー秋田さん
どこに連れて行っても「え! かわいい!」と二度見してもらえるかえるちゃんたち。造形師・ボンゲ式さんによる、つるん&ぽよんな愛らしいフォルムに骨抜きにされる人が続出しています。私もそのひとりなので、このたびの受賞はとても嬉しいです。
今後もさまざまなかえるちゃんたちが登場の予定ですので、ぜひ楽しみにお待ちください!
ナイス話題賞
ナイツ土屋がザ・ラジオショー芸人で 勝手に消しサカ選手作っちゃいました!/スタジオソータ/全15種/300円
節目となる第 80 回に登場。小学生時分のナイツ・土屋少年が本格的なオリジナルルールを作り、実際に楽しんでいた「中二病的卓上ゲーム」が、ニッポン放送の番組「ザ・ラジオショー」内コーナー「ガチャガチャの森 presents ガチャガチャしまショー!」とタイアップしてまさかのガチャ商品化。
事務所の枠を越え、番組出演中の個性的な芸人たちが消しゴム人形になりました。超絶そっくり&誇張された造形の人形に、感動の涙が!
本商品は、当初カプセルトイ専門店「ガチャガチャの森」のみでの展開でしたが、ナイツ単独ライブでも出張販売されました。当日は私も楽屋におじゃまして、フィギュアと一緒に記念撮影させていただきました! 個人的な思い出も含めての話題賞です。
<開発者コメント>
各選手(商品)のポージングやフォルム、硬さなどはすべて消しサカのために計算されつくした仕様となっております。もちろん、消しサカ初心者の方も楽しめるルールブック付きなのでご安心ください!
ナイスアイデア賞
消スライディング/パンダの穴・タカラトミーアーツ/全5種類/300円
こちらは連載初登場。年の瀬に「これ考えたねぇ~」と、思わずうなるアイテムが登場しました。
カプセルの中から躍動感あふれる純白ユニフォーム姿の選手が登場。この時点では、まだこのガチャは完成形とは言えません。消しゴムは字をこすって消すもの。すると、当然真っ白なユニフォームは鉛筆で黒く汚れちゃいます。これで、この「消スライディング」はめでたく完成です!
常識を覆す、この発想が素晴らしい! 「その汚れこそが、活躍の証。」「どんどん汚していこう。」というキャッチコピーがさらに気分を盛り上げます。
ラインアップも、熱気に満ちたスポーツのワンシーンを想起させてくれるニクい内容。世界一に輝いたWBC!怪我をも恐れぬスライディングキャッチ! 猛烈な暑さの中、前身全霊でがんばった高校球児のヘッドスライディング! サッカーだと、三苫薫の「奇跡の1ミリ」を思い出しますね。ラグビーも、ワールドカップでの激闘を思い出させます。
ちなみに真っ白な成型色を生かして塗装すれば、好きなチーム、選手にカスタマイズすることも可能ですね。
今回はパンダの穴さんに、イマジネーションをグリングリン掻き立てられました。これは、間違いなく、ナイスアイデア賞でしょう。
<開発者コメント>
消スライディング企画者 電通プロモーションプラスアートディレクター
乃坂 夏美さん
「ナイスアイデア賞」に選んでいただき、ありがとうございます! アイデアで賞をいただけたので、この「消スライディング」の制作秘話を書こうかなと思います。学生のころ、弟が野球帰りの汚れたユニフォームでリビングに来て床を砂だらけにすることが何度もありました。どうにかしてほしかったのですが、親からは「がんばったんだからしょうがないじゃない!」と言われました。希望に満ちあふれた「消スライディング」はこんな思い出からできました。
今回は消せるガチャを作りましたが、私のガチャへの愛は消えないので、誰かに面白いと思ってもらえるようなものをこれからも作っていきたいです。
ナイス衝撃賞
暇つぶし スクイーズマスコット/Qualia/全6種/300円
第77回に登場。Qualiaといえば愛くるしいフィギュアが得意のメーカーさんという印象ですが、まさかの一発ギャグ系カプセルトイを発表!
いや~、目を疑いましたよ。だって「暇」という漢字一文字だけプリントした得体のしれないスクイーズなんですもの。しかも、ゴシック体や明朝体といったフォントや文字色の違いだけで、バリエーション展開! 文字の太さで、暇の度合いが少し違うのかな……?
何はともあれ、「暇」一文字だけで勝負するのはいさぎよし! ちなみにやわらかい素材が使われていて、容易につぶせます。暇という漢字をつぶせる。暇……つぶし……。
なんですかこの衝撃は……。カプセルを開けてポカ~ンとしてしまいました。
堂々の衝撃賞です。おめでとうございます!って言いながら、モミモミしている私がおります。
<メーカーコメント>
昨年に引き続き選出いただき身に余る光栄です。2024年もワッキーさんのお目にかかれるようなガチャガチャを展開したいと思っておりますので、引き続きクオリアをよろしくお願い致します。
MVC
オールナイトニッポン×ガチャガチャの森 ニッポン放送技術部監修 ミニチュアラジオブース/トイズスピリッツ/全4種/500円
それでは、2023年度MVC(Most Valuable Capsuletoy)の発表です。
本年のMVCは「オールナイトニッポン×ガチャガチャの森 ニッポン放送技術部監修 ミニチュアラジオブース」!
今年最初の第72回に取り上げたカプセルトイが見事MVCに輝きました!
青春時代に熱狂しつつ聴いていた深夜放送の雄「オールナイトニッポン」。そのラジオブースで使っているアイテムがミニチュアで登場したのですから驚きです。しかも、実際に携わった技術部の方監修ですから再現度もバッチリ。実際にカフを上げ、「ON AIR」のランプが点いた時には、自分の高揚スイッチもオンになりましたよ。
ミニチュアのデジタル時計やマイクをぼんやり眺めれば、憧れのパーソナリティの顔が浮かんできます。
まさにあの頃にタイムスリップしたような気分です! カプセルトイ専門店「ガチャガチャの森」限定販売商品ということもあり、売り切れが続出しました。さらに夏には文化放送バージョンも登場し、多いに楽しませていただきました。ここまで本格的な大人のごっこ遊びって、あんまりないんじゃないでしょうか?
そういった意味でも、唯一無二のカプセルトイでした。というわけで、文句なしのMVC決定! パチパチパチ~。
<開発者コメント>
開発担当 西村さん
この度は2023年の年間MVCに弊社商品「ニッポン放送技術部監修 ミニチュアラジオブース2」が選出されたこと、とても感激です。ラジオは聞くもののため、ラジオブースを直接見る機会のない中、少しでもリスナー様に、その臨場感等が伝えられるよう、素材、ギミック、デザインに徹底的にこだわり、作成したのが伝わった結果だったのかなと思っております。本当に喜んでいただけて嬉しいです。
ニッポン放送の関係者様、ガチャガチャの森様、たくさんご購入いただきましたお客様に、この場をお借りし、心より感謝申し上げます。誠にありがとうございます。
さて、いかがだったでしょうか? 皆様お気に入りのカプセルトイはエントリーしていたでしょうか?
2024年も自分好みのガチャを探訪し、楽しくレビューしてまいります。どうぞお楽しみに~。
それでは皆様、素敵な年越&新年をお迎えくださいませ!!!
フリータレント兼ガチャガチャコレクター・研究家(カプセリスト) 7歳からガチャガチャを集めだし、10万個所有。「愛しのインチキガチャガチャーコスモスの全て」などガチャガチャに関する著書も多数。