毎クール多数発表されるアニメを、ことごとくデータベース化しているアキバ総研では、各アニメ作品の感想を書き込めるレビュー機能がある。
実はそこでは、ライター、アニメ好きのミュージシャン、タレントなど一家言ある「プロレビュアー」たちもレビューを続々と投稿しているのである。
そこで、今回は2023年に彼らプロレビュアーたちが投稿したレビューの中から、自身で選んだ「特におすすめするアニメ」のレビューを紹介しよう。レビューの抜粋で、どんなアニメなのかが気になったら、ぜひリンク先で全文を読んでいただき、そしてアニメ本編を視聴した後に、皆さんもレビューを書きこんでほしい!
箭本進一/ライター
<プロフィール>
個性とパワーのほとばしりを愛するフリーライター。著書に「超クソゲー」「超ファミコン」(ともに共著)など。「アキバ総研」ではゲーム系の記事でも活躍中。
アニメ、ゲームをはじめとするサブカルチャーシーンで活躍する箭本さんのレビューは、まさにストロングスタイル! アニメファンが選んだアニメファンのためのアニメ、という感じでレビュー作品ならどれを観てもハズレなし。新旧作品からバランスよくチョイスしていただいた。
機動戦士ガンダム MS IGLOO -黙示録0079- 第1巻「ジャブロー上空に海原を見た」
(レビュー抜粋)本作は滅びの中であがく人々の物語だ。「機動戦士ガンダム」の戦争はジオンの敗北に終わっており、奇想兵器たちが華々しく活躍することはない。
これはガンダムファンの視聴者たちにとっては改めて語るまでもない史実である。試験部隊のメンバーや奇想兵器に携わったテストパイロットたちはいずれも人間臭く共感できる人々である。滅びの史実を知るがゆえに、彼らの放つ輝きが愛しく感じられるのだ。
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風
(レビュー抜粋)まっとうに生きられぬ者たちにも信念や意地があり、私闘という闇の中で煌めく。そこには哀愁を帯びたドラマがあり、この哀愁こそがこれまでの「ジョジョ」と本作の明確な違いだ。
原作者である荒木飛呂彦氏は映画に関する著作があるほどの映画マニアだが、今回はギャング映画的なムードを少年マンガに持ち込んだわけで、そうした意味で氏の趣味性が全開しているのが第5部といえるだろう。
チャージマン研!
(レビュー抜粋)制作費が格安であったためか、10分というショート番組であるにもかかわらず、冗長な尺あまりや不自然な尺稼ぎが頻発。短時間でストーリーを決着させるため、あらゆる点に影響が及んでいる。
最も顕著なのが、研の人物像。小学生らしき場所に通う児童だが、殺人歴のあるボクサーを素手で圧倒し、相手がジュラル星人となれば(例え直前まで人間に化けていても)容赦なく射殺でき、爆弾を仕掛けられた人間を飛行機から即座に捨てられるのだから恐ろしい。侵略者であるはずのジュラル星人の方が人間味に満ちているという有様だ。
鮫島一六三/芸人・DJ
<プロフィール>
お笑いコンビBAN BAN BANの「フリーザじゃない方」。2010年、アニソンDJイベント「アニソンディスコ」をコンビで立ち上げ国内外、会場の大小問わずさまざまな場所でアニソンを鳴らす。吉本興業所属。
芸人として活躍する鮫島さんは、アニソンDJイベント「アニソンディスコ」の主宰でもある。毎シーズン、アニメをていねいにチェックし、DJプレイの際にもアニメ本編をリスペクトしたパフォーマンスを取り入れている。そのレビューは、基本的にお母さんにアニメをおススメするという独特のスタイルで書かれている。「え!? これを親に勧めるの!?」という笑撃のレビューから、ちょっぴりホロリときちゃうような泣かせるレビューまで、変幻自在の筆致で読者の心を揺さぶるレビューは要チェックだ!
とんでもスキルで異世界放浪メシ
(レビュー抜粋)このアニメ見てさ、料理の本質?とかをなんとなく感じれたよ。相手が喜んでくれるならなんだっていいんだな。
今、お父さんも亡くなってずいぶん経つけど、毎晩お母さんは何食ってるのかね。何か楽しんで飯食ってくれてると嬉しいよ。
全然帰れてないけど次帰ることがあったら友達とかとメシ食いに行くんじゃなくてお母さんとメシ食おうと思ったわ。
Buddy Daddies
(レビュー抜粋)このアニメはさ、「殺し屋」の男二人が主役なんだけど、ひょんなことから4歳の女の子を預っちゃうことになるのよ。
設定が面白そうでさ、見始めたんだけどもさ。予想してたのは男二人がっちり力を合わせてこの女の子を守る!みたいなそんなストーリーだったんだけどさ。 ちょっと違ったわ。
最初の方は、早く育児から解放されたい、て二人とも思ってるんだけどだんだん父親になってくんだよね。父親としての自覚が芽生えてくるわけよ。
俺はちゃんと「親」をやってるかな、なんてこのアニメ見て心配になってきたよ。アニメ見てそんな気持ちになるなんて思ってもなかったよ。
お兄ちゃんはおしまい!
(レビュー抜粋)お母さん。ちょっとこれ見た?
もしよかったら見て欲しいんだけど。
いや、見て欲しい、てのもちょっとためらったんだけど、こういうのを勧めないと俺のレビューはダメな気がするんだ。意味がないんだ。
めちゃくちゃいいよ。「お兄ちゃんはおしまい!」これはめちゃくちゃいいよ!
このアニメをお母さんが見たくなるような文章を書いて、初めて俺のレビューに意味が出てくると思うんだ。
坂本夏樹/ミュージシャン
<プロフィール>
チリヌルヲワカ、She Her Her Hers、Over The Topでのバンド活動を経て、スタジオ・ミュージシャン、プロデューサーとして、Creepy Nuts、DE DE MOUSE、HOME MADE 家族、reGretGirl、酸欠少女さユり、新山詩織、星街すいせい、美波など、様々な音楽制作に参加している。
音楽業界の第一線で活躍する坂本さんは、アニメにも精通している。特に2023年はSubway Daydreamが手がけた「もういっぽん!」OPテーマ「Stand By Me」の編曲を、バンドと共同で担当。実際にアニメソングを手がけた彼だけあって、そのレビューもまたアニメソングをフックとしたものとなっている。アニメ本編とアニメソングの関係について、改めて気づかせてくれるレビューは必見!
地獄先生ぬ~べ~
(レビュー抜粋)友情、努力、勝利というジャンプ従来のコンセプトに加え、ホラー、都市伝説、怪談、ラブコメディ、教養、お色気など様々な要素を採り入れ、バリエーションに富んだ展開と個性豊かなキャラクターが繰り広げるストーリーに、当時は広や郷子の生徒達の目線でドキドキハラハラし大人になった今ではぬ~べ~の目線で、熱くなり、その時々、いつも新鮮な感動をもらってきました。
そんな、音楽用語で例えるならばミクスチャー的な世界観は、OP曲「バリバリ最強No.1」にも強く表れています。
かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-
(レビュー抜粋)本編ストーリーとは別に特別に構成されたED映像の作り込みの力の入り様には感嘆の息が洩れてしまいます。
一般的には、ED曲の歌詞や内容にリンクさせた映像をあてられていることが多いですが、かぐや様シリーズの場合は 映像を彩る楽曲、という組まれ方になっていると感じます。 だからこそ、単なるEDではなく、映像作品という領域で楽しめるのです。
無職転生II~異世界行ったら本気だす~(第1クール)
(レビュー抜粋)LONGMANが、足掻き、苦しみながらも、一歩踏み出した、主人公ルーデウスの心情を、バンドだからこそと感じさせられるリアルな熱さで歌い上げます。
とにかくサビがめちゃくちゃ良い! 誰がどう聴いてもサビと感じ惹きつけられるメロディー、そんなメロディーを、口ずさみたくなる語感で更に心地よくグルーヴさせる歌詞、これらが、これ以上ない硬度に突き詰められ融合しているからこそ、メッセージが深く浸透する。 突き抜ける、ではなく、浸透する、なんです。満ち広がり留まるからこそ、身体が芯からじんと熱くなってしまうんです。