カノンの過去が気になる描写に注目! 「バミューダトライアングル~カラフル・パストラーレ~」ゆるふわ感想文第3話「5人いっしょ」

アニメ「バミューダトライアングル~カラフル・パストラーレ~」第3話、たぶんカノン回でした。

オープニング前のパートでは、マイクを持ってひとりでライブ会場のステージに立つカノンが、歌おうとしても声が出ない……というハラハラするシーンが描かれました(夢ですが)。

 

アンデルセンの童話「人魚姫」では、人魚は声と引き換えに人間の足を手にいれます。第1話と2話では人魚ではあるけれど普通の女の子たちなんだよ、ということを強調して描いていたように見えただけに、「人魚」「アイドル」というモチーフをいきなりぶつけてきたことにはびっくりしました。遠目のカメラから寄りのカメラに切り替えて、カノンの足元をあまり意識させない演出を冒頭の一瞬に入れてくるのが心にくいです。

 

 

このシーンは、カノンの夢なのでしょうか? 最後にカノンが心を閉ざして結晶化してしまったことを考えると、もしかしたらカノンがパーレル村に来る前の経験に関係があるのかもしれない……なんて、オープニングの間に考えさせられました。

 

ベッドに漂うクラゲに口をふさがれて悪夢を見せられて「すっぱい」と第一声を放ったり、村外れの映画館について都会生まれのリアリストとして「ボロい」と評価しながらもノリノリできれいなキネオーブを見つけてきたり、第3話はカノンの個性がさらに少しずつ見えてきました。

 

3話は物語の組み立てが繊細で、朝に弱いカノンが早く起きてくるぐらい5人の時間を楽しく感じていることや、5人で食べるごはんとひとりでする食事の違いを描いていきます。ささやかな好意のすれ違いは少し胸が痛かったですが、カノンがみんなと一緒にいる暖かさと心地よさを本当に実感するには、独りの時間が必要だったのだと思います。

 

 

パーレルでしか見られない素敵な景色のプレゼントをもらったカノンは、アトランティアでアイドルにスカウトされたことから逃げてきたことや、今はこの村と5人でいることに心地よさを感じていることを告白します。カノンは思ったこと、本音をそのまま口にする女の子だからこそ、とても大切な言葉ですね。

 

見ている僕らにとっても、この5人とパーレル村の中で流れる時間が心地よいものになっていってほしいという願いを感じるような、そんなエピソードでした。

 

 

さて、「ヴァンガード」におけるバミューダ△というクラン(集団)は、所属するみんなが人魚で、アイドルという存在です。初めて作中で語られた「アイドル」という言葉と、カノンの過去はどんな物語につながっていくのでしょうか。楽しみにしたいと思います。

(文/中里キリ)