最後は「やっと戻れた!」と泣き笑い!? 「青ブタ」瀬戸麻沙美×内田真礼×久保ユリカ振り返りインタビュー前編!

いよいよ、TVアニメが最終回に近づきつつある「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」。

今回、アキバ総研では大きな話題を呼んだ「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない。」

(以下、青ブタ)のキャスト鼎談を実施。前編では、姉妹である桜島麻衣と豊浜のどかの外見が入れ替わってしまった9話、10話のエピソードを終えての感想を、麻衣役の瀬戸麻沙美さん、のどか役の内田真礼さん、さらに咲太の妹・梓川かえで役の久保ユリカさんに振り返ってもらった。

  

のどかを演じた感覚は、もはやなかったんですよ(笑)!(内田)

ーー瀬戸さんと内田さんは、あまり共演の印象がないのですが。

 

内田 なかったことはないんですけど……。

 

瀬戸 メインキャラで、というのはなくて、しかもこんなに真礼さんとしゃべったこともなかったです。だから正直最初は緊張してたんですけど、ご飯に誘うぞ!という決意は固めてたんです。収録終わりで、主人公の石川界人くんたちとみんなでよく食事に行っていたので、石川くんが「俺が声かけようか?」って言ってくれたんだけど、「いや、私が真礼さんに声をかける!」と言って、自分で声をかけました(笑)。

 

内田 あったね。そして行ったね、ごはん。

 

瀬戸 別にどっちが声をかけてもいいんですけどね。

 

内田 「青ブタ」に関しては、私は参加が遅くて、8話が最初だったんです。だから2か月くらいアフレコには行ってなかったんですよ。

 

ーーそのわりには上映会や電撃祭には出てましたよね(笑)。

 

内田 そうなんですよ! 出てないのにいたので、のどかを今後演じますと(笑)。そんな感じだったので、8話で出番が来たときは、現場はどういう感じなんだろう、瀬戸さんはどういう人なんだろうというのがあったんです。私の瀬戸さんの記憶が、初期も初期の「放浪息子」だったので。

 

ーーお2人は、デビューが同じくらいなんですよね。

 

瀬戸 あの時期は、だいたいみんな同じスタジオにいたんです(笑)。

 

内田 オーディションに呼ばれてね。

 

瀬戸 はい。たぶんいるだろうなと思って行ってたんです。だから名前はもちろん知っていたんですけど、なかなかお話する機会がなかったんですよね。

 

内田 そういう声優同士もいるんですよ。

 

 

ーーしかも今回はがっつり共演するというレベルではなく、外見が入れ替わるという話でしたから、そりゃあご飯も行かないとですよね?

 

瀬戸 演じる前に行くべきだったのかな……、結局演じた後に行ったんですけどね(笑)。

 

内田 だから9話は、ドギマギしながら収録しました。

 

ーー入れ替わるって、どんな感じなんですか?

 

内田 入れ替わるにしてもパターンがあると思うんです。たとえばモノローグになると本人に戻るとか。でも今回は、それも一切なしで、2話まるまる反対だったから(笑)。

 

瀬戸 反対でした。

 

内田 だから、のどかを演じた感覚はなかったんですよ! もはや(笑)。

 

瀬戸 わかりやすいように脚本には、麻衣(のどか)って書いてくれてたんだけど、どっちだろうっていう。

 

久保 中身を先に書いているのか、外身を先に書いてるのかわからないもんね(笑)。

 

瀬戸 台本をチェックしてるときに、たぶんこれで合ってるんだけど、現場に行って逆ですと言われたらどうしよう、という不安はギリギリまでありました。

 

 

ーー久保さんは2人のアフレコを後ろで見ていたと思うんですけど、どうでしたか?

 

久保 絶対に自分はやりたくないなと(笑)。でも、すごいぞ!と思いながら見てました。

 

内田 しんどかった~(笑)。

 

久保 なかなかそういう収録に立ち会うことも、やることもないと思うから、見てる側としては面白かったですけどね。映像が付くと、より説得力も出るし、お客さんにもわかりやすいものになるんだろうなと思いながら見てました。台本だけだとかなりこんがらがったので。

 

ーーマイクに入るときも混乱しませんでした?

 

内田 というより、どんな気持ちでマイクに立てばいいのかが難しかったです。(麻衣さんの)咲太への気持ちとかもあるから。とりあえず感情はいったん全部殺して(笑)、麻衣さん的にのどかを演じることに集中してる!みたいな感覚というか。

 

ーー入れ替わってるから、演じ方も似せる必要がありますよね?

 

瀬戸 めっちゃ似せようとしました。真礼さんのしゃべるテンポを真似ようと。家で準備しているときから想像したり、真礼さんの声の素材を聞いたりして。そして、自分の役を真礼さんが演じるということで、ディレクターさんが、瀬戸の芝居ってこうだよって真礼さんに説明しているときに、私の芝居ってこう思われてたんだっていうのがわかるという(笑)。「ほら、瀬戸ちゃんはもっと、ツンデレな感じじゃん」と言ってたり。

 

内田 あったね~。もっと語尾を落とすというか。私がやりがちなのは、「そうじゃん」だったら語尾を上げるんですよ。でもそこを下げるというか。ツンデレのときによりローに行く感じなんですよね。それは難しくて。

 

瀬戸 絶対に自分の癖ってあるし、それを殺すのって難しいな~って。でもそれをやることで、見てる人は入れ替わったと思うから、ていねいにやろうと思いました。

 

 

ーー久保さんから見て、入れ替わってました?

 

久保 入れ替わってましたっ!

 

瀬戸・内田 ありがとうございますっ!

 

内田 でも不安だぁ、早くオンエアを見たい……。

 

瀬戸 ファンの人たちの反応が楽しみだし、不安……。

 

内田 予告では「ブタ野郎ね」ってのどかで言ったんですけど、そののどかは出てこないですからね(笑)。

 

ーーでも、これは10話以後に掲載されるので。

 

瀬戸 じゃあ皆さんは見終わったあとに、この葛藤を読んでるんですね。

 

内田 10話で最後に元に戻って抱き合うじゃない。あのときの安心感すごかったよね? やっと戻れたー!!っていう。

 

瀬戸 戻ったー!! けど、わからない、あれ? みたいなのもありました(笑)。

 

内田 これで合ってる? 麻衣っぽいのどかになってない?みたいな(笑)。

 

瀬戸 テンションが上がってるから、また普段とも違ってて、“のどかみ”が出てるかもしれないけど、もう私は麻衣!みたいな。わからなくなっちゃって、そんなソワソワした感じの泣き笑いっていう感じでした。

 

久保 (喜びが)リアルだったね。

 

瀬戸 そうですね。あそこの笑いはアドリブだったので。

 

ーーお互い、入れ替わったらどうですか? 真礼さんは歌やダンスもしてるから、結構役柄の状況にも近いのかなって。

 

瀬戸 あぁ確かに。でも、私は麻衣さんのようにはこなせないと思います。ダンスレッスンに急に参加するなんて恐ろしですよ。

 

ーーしかもできないのかなと思いきや、できちゃうっていう。

 

内田 完ぺきにできるからね。

 

瀬戸 完ぺきな人なんですよね、麻衣さん。

 

内田 でも、実際に入れ替わったらストレスがすごいかもなぁ。

 

瀬戸 これは変態じゃないと思ってるから言うんですけど、入れ替わったらクローゼットを見たい! 入れ替わってお洋服を選べるのは楽しみ。真礼さんおしゃれだから服選びするのが楽しそうで。

 

内田 なるほどなぁ~。パーカーとジーンズばかりだよ(笑)? 私は、瀬戸ちゃんがアクティブだから、その身体能力を使って海に飛び込みたい! 泳げないからさ。スキューバダイビングがしたい。

 

 

ーー物語的には、姉妹の話でしたけど、いかがでした?

 

内田 姉妹の話って、あまり見たくない部分というか、触れられたくない部分だったりもするんですよ。恋愛って誰しも経験することだし、ほっこりしたり悲しかったりするけど、そのすべてがいいことのように思えるんです。でも、兄弟・姉妹間の話ってすごくナイーブな話な気がするんですよね。

 

瀬戸 どんなに喧嘩したとしても離れないというか。許してもらえるというか。確かに兄弟・姉妹とか家族って不思議なんですよね。他人じゃないからどこかで甘えてるし許しちゃうし…。私は姉がいて、私は完全に女王様に従うだけだったんですけど、お姉ちゃんのことが大好きなので、不思議だなって思います。

 

ーー両方兄弟・姉妹がいるから、何となくその気持ちはわかりながら演じてたんですね。でもこの姉妹も事情が複雑でしたが。

 

内田 気まずいでしょうね。

 

瀬戸 2人とも芸能活動をしていて、お母さんが違うというところで、ちょっとだけ複雑ではあるけど、麻衣さんはポジティブにとらえていたというか。それはのどかに不安にさせないようにするために明るく声をかけたのかもしれないけど、麻衣さんはやさしい人だなって思ってました。

 

内田 すごくやさしいよね。結果的に、(9~10話の)のどかの話って、咲太も助けてくれたけど、麻衣とのどかの姉妹の話だったなと思いました。だからお姉ちゃんとうまくいってよかったという思いはありますよ。なので「青ブタ」を思い出すときは、咲太よりも麻衣さんになるんです。

 

ーー麻衣さんが、絶対棚を開けるなと咲太に言いましたけど、それは開けてねってことですよね。

 

瀬戸 絶対にそうですよね。そうしないと話は進まないでしょうし。でも、すごい振りでしたね。言わなきゃ絶対にわからないのに、わざわざ言いますからね。

 

内田 人の家の棚の扉なんて、まず開けないもんね。

 

ーー咲太のことをわかっていますよね。久保さんは、この2話を見ていて、印象的なシーンはありました?

 

久保 海の中にのどかが入っていくシーンがあって、外見は麻衣なんだけど、中身はのどかじゃないですか。ここのシーンこそ両方の声で見てみたいなと思いました。まんま真礼ちゃんがやったのどかも聞いてみたかったなって。きっと、外見が麻衣さんだから、咲太もすぐに止めに行ったんだろうし。あそここそ、2人の声が聞こえてきたら、面白いシーンだったんじゃないかなって想像しちゃいました。

 

内田 確かに、全編まるっきり逆のバージョンは見てみたいかも。

 

瀬戸 麻衣さんの口から、真礼さんの声が聞こえるみたいな感じだったら、印象も違いますよね。

 

久保 いろいろな想像ができちゃうのも面白かった。

 

ーー脚本のセリフだけ見ると、のどかのセリフは、真礼さんが言ってそうな感じの口調なんだけど、それを言ってるのが、瀬戸さんでしたからね。

 

内田 オーディションでは、のどかのいいシーンがあったんですけど、実際そこは、内面麻衣として見守ってましたから(笑)。

 

瀬戸 のどかのいいシーンは、全部私が演じてしまいました(笑)。

 

 

ーーでも結果、感動的に終わる話だったと思うんですけど、のどかの登板回は2話だったんですよね。でも2話が限界ですかね?

 

内田 限界かもなぁ~。

 

瀬戸 あと1話続けろと言われたら、キツかったかも。

 

内田 キツいなぁ。

 

ーー確かに……。でも、お互いの関係も修復できて、次につながった回でしたね。

 

内田 姉妹の結びつきも深くなり、「青ブタ」の世界の中でのキャラクターの結びつきもよくなったので、私にとっても、のどかにとっても大事な2話でした。

 

後編に続く!

 

(取材・文/塚越淳一)