シリーズ15周年記念『映画HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』公開記念! 引坂理絵×本名陽子インタビュー

プリキュア15周年記念作品『映画HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』が、現在、絶賛全国公開中だ。

『映画HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』は、放送中の最新作「HUGっと!プリキュア」のキュアエールと、初代「ふたりはプリキュア」のキュアブラックがミデンを倒すべく力を合わせて戦う物語。「想い出」をテーマに、歴代55人のプリキュアたちが総出演する。『映画プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪奇跡の魔法!』(2016年3月公開)以来、約2年半ぶりとなるオールスターズ作品だ。

 

今回は、本作の物語の中心キャラクターを演じるキュアエール/野乃はな役の引坂理絵さん、キュアブラック/美墨なぎさ役の本名陽子さんのお2人に、本作の見どころや収録秘話、そして15周年を迎えた「プリキュア」シリーズへの思いをたっぷり語っていただいた。

 

憧れの初代プリキュアとの共演!

――『映画HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』に先駆けて、テレビアニメ「HUGっと!プリキュア」第22話では、HUGプリメンバーと初代プリキュアである美墨なぎさと雪城ほのかが夢の共演を果たしました。初代プリキュアと現在のプリキュアが共演することについて、どのように思われましたか?

 

引坂理絵(以下、引坂) 最初聞いた時は、自分も「ふたりはプリキュア」を見ていたので、同じシリーズの中で、自分もキュアエールというプリキュアになって、視聴者として見ていた方々と共演できるなんて想像もしてなかったことでした。2人が変身する姿や声を聞いた時に、当時の自分に戻っていくような、すごい不思議な感覚でしたね。

 

本名陽子(以下、本名) これまでも、映画「プリキュアオールスターズ」シリーズに出演させていただいたことはありましたが、まさか55人ものプリキュアたちが揃って、しかも「ふたりはプリキュア」というタイトルまで付いた映画ができるとは! さらに、「HUGっと!プリキュア」にもおじゃまさせていただいて。想像を遥かに超えた事件のような感じでした(笑)。ぶっちゃけ、ありえな~い! っていう喜びでいっぱいでした。

 

『映画HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』の収録は、「HUGっと!プリキュア」が始まった当初の1月と、8月の2回に分けて収録をしているんです。その間に、「HUGっと!プリキュア」第21、22 話の収録もありました。

 

引坂 CGの映像を作る都合で、そのパートの部分は早く収録する必要があったんですよね。

 

本名 なので、(その後の収録では)「HUGっと!プリキュア」チームの団結力がどんどん高まっていくのがわかるんですよ。普段の「プリキュアオールスターズ」シリーズは2日ほどの収録で終わってしまうんですが、今回は長いスパンで作品に関われましたし、HUGプリめんばーと何度もご一緒できて、すごく嬉しかったです。

 

私には3歳の娘がいて、「HUGっと!プリキュア」からプリキュアを観始めました。だから、二重の意味で喜びがありましたね。娘の映画館デビューもこの映画になりそうで、一緒に楽しみたいです。

 

 

――お2人は収録の際に、なにかお話をされましたか?

 

本名 収録の時は人数も多いですし、とにかく必死だったので……!

 

引坂 必死でしたね……。自分の世界に入ってしまって、誰かとしゃべるのが難しかったりするんです。作品に対して、何ができるかというプレッシャーもあって、なかなかお話しできませんでした。

 

本名 なので、1月の収録のときは(この映画の初めての収録で)きっと緊張されていると思ったのと、余計な気を遣わせたくなかったので、ごあいさつ程度にとどめていました。収録が終わった後にお食事に行って、そこで少しお話ししました。その時も緊張してたよね?

 

引坂 緊張してました!(笑) 作品が始まった当初に「秋の映画には55人のプリキュアが出る」っていうのは聞いていたんですが、すぐに収録があって、しかも「ふたりはプリキュア」のお2人とご飯を食べられるなんて……。すべてに現実味がなくて、ずっと緊張しっぱなしでした。

  

――引坂さんから見て、「ふたりはプリキュア」はどういった存在ですか?

 

引坂 小さい頃からアニメは観ていたんですけど、正直、当時は女の子が拳で立ち向かっていく姿って見たことがなかったんです。自分自身、なぎさとほのかに年齢が近かったのもあって、等身大の中学生として自然に(彼女たちの存在を)受け入れながらも、その立ち向かう姿勢が格好よくて清々しいと思いながら見ていました。

 

キュアブラックとキュアホワイトどちらも好きなんですが、特にブラックに憧れを抱いていましたね。私はすごい引っ込み思案だったので、自分にあまりにもない、この格好よさがほしいなって。

 

――第22話などでは、引坂さんにとって憧れのキュアブラックと共闘することになったわけですね。

 

引坂 私にとって(キュアブラックとキュアホワイトの)お2人は憧れの存在ですが、はなちゃんにとっては、憧れというよりも“まだ見ぬプリキュア”なんです。なので、(はなちゃんを表現する上では)お2人をリスペクトするというよりも、その時にできるはなちゃんなりの戦い方や立ち向かう姿を表現することで、作品にアプローチしていきました。

 

2回のアフレコを通じて成長したプリキュア声優たち!

――本名さんは初代プリキュアとして、後輩たちの活躍をどう見ていますか?

 

本名 なぎさは皆さんと同年代なので、先輩後輩といった感覚はないのですが(笑)、最初に「HUGっと!プリキュア」を見た時に、「育児」がテーマということにびっくりしました。ストーリー展開が気になりましたね。これまでもプリキュアは既成概念を破ってきましたけど、この作品でも大胆なチャレンジをされているな、と感じました。

 

「ふたりはプリキュア」は、女児アニメでバディもの、かつアクションシーンがあるという、これまでにはなかったテイストでした。主人公の2人が黒と白というカラーリングも斬新で、アクションカットやセリフのひと言ひと言、音に至るまで、観てくれている子どもたちのためにこだわり抜いて作られているんです。これはシリーズディレクターの西尾大介さんならではの描き方。西尾さんから本当に多くのことを学ばせていただきました。

 

今は「HUGっと!プリキュア」を観ながら、シリーズが15周年を迎える感慨深さと、親御さんの気持ちになって「プリキュア」を観るという不思議な感覚を楽しんでいます。娘は「ふたりはプリキュア」や「オールスターズ」のDVDを毎日のように観ていて、寝ても覚めてもプリキュアという日々です(笑)。

 

――15年の時を経て、プリキュア同士が一緒に踊るまでになっていますからね。

 

引坂 すごいですよね!キュアエールも一緒に踊っていて……。しかも、楽曲が(「ふたりはプリキュア」のオープニング「DANZEN!ふたりはプリキュア」をリニューアルした)「DANZEN!ふたりはプリキュア~唯一無二の光たち~」ということにも感動しました。プリキュアみんなの踊ってる姿もかわいいですし、キュアブラックやキュアホワイトと一緒に踊ることができて、本当にうれしいです!

 

本名 実は、あのダンスの中には、「ふたりはプリキュア」当時、歌手の五條真由美さん自身の考えた手フリが取り入れられているんです。五條さんはよくアフレコを見に来てくださっていて、その時によくお話ししていて。だから、五條さんが今回のダンスを観て感動されていたのをSNSで知って、私もすごく嬉しかったです!

 

 

――それはすごいですね! アフレコの思い出をお話ししていただきましたが、今回の収録で印象的だったことはありますか?

 

本名 私たちの頃からそうだったんですが、プリキュアの現場はお菓子が豊富なんです。みんなで持ち寄って、収録の合間にエネルギーチャージしています(笑)。

 

あとは、今回「プリキュア」15周年で15作品目、過去作史上最多のプリキュアが出演するということで、よくぞ企画してくださったな、と思います。(この規模になると)「プリキュアオールスターズ」シリーズももうかなわないと思っていましたので、スタッフの皆様に感謝です。

 

家でリハーサルをする時、引き画になると圧巻なのですが(大勢のプリキュアが映り、小さく見えたりするので)「これ、誰?」ってなることも(笑)。だから、何度も画を確認しながら、縁者もスタッフもみんなで助けあってました。あと、マイクワークがすごかったですね。1本のマイクに何人も入りました。スタジオの中は、とにかく真剣でした。

 

引坂 テレビシリーズのアフレコの時から、物が食べられなくなるくらい緊張していました…。そんな中での映画で、しかも55人のプリキュアの先頭をきってがんばらないといけない。私ははなちゃんとして何ができるのか、はなちゃんを魅力的に見せられるのかって不安がいっぱいで、最初の頃はとにかく必死でした。

8月に収録をした際には、最初の頃と比べたら落ち着いて演じることができましたし、キャラクターとしても成長したはなちゃんに少し近づけたかなって。

 

でも、映画では大勢のプリキュアのみなさんと一緒の収録ということで、テレビアニメ「HUGっと!プリキュア」の収録とは雰囲気がガラッと変わるんです。その中で、私なりの一生懸命な表現、はなちゃんの成長した姿をどう演じればいいのか、ということで、やっぱり必死になってました(笑)。

 

――本名さんから見て、引坂さんの成長はどのように見られていますか?

 

本名 はなちゃんは最初から魅力全開だったので、いち視聴者として楽しんでいました!ただ、ここまで大きくなってしまったプリキュアというタイトルの重さや、15周年というプレッシャーは計り知れなかったので、心の中でエールを送っていました。

収録でご一緒するたびに「HUGっと!プリキュア」チームの団結力がどんどん強くなっていって、それを間近で見られたのが嬉しかったです。

セリフの合わせ方は本当に悩んだんだろうなって思います。私の時はほのか役のゆかなさんとふたりでしたが、今回は5人ですから。心を合わせていく空気感が大切ですし、それが本当に難しいんです。

 

1月の時は、TVシリーズの収録が始まったばかりでしたから「せーの」って言ってセリフを合わせていたんです。でも、その後、チームならではの合わせ方をするようになっていって。5人のチームワークや、はなちゃんあっての「HUGっと!プリキュア」という感じで、さすがだなって思いました。

 

プリキュアを演じてよかったこととは?

――話は変わるのですが、本名さんの今日のご衣装はキュアブラックを彷彿とさせますね。

 

本名 小学校の同級生にファッションデザイナーの友人がいて、声優の神谷明さんやロックバンド「MR.BIG」のギターの方の衣装も手がけているんです。いつも彼女にコンサートの衣装をお願いしているのですが「キュアブラックのイメージで」と頼んでみました。それが今日の衣装なんです!

 

引坂 すごい! 世界にひとつの衣装なんですね!!

 

――衣装からしてキュアブラック! まさにプリキュアと一心同体という感じですが、プリキュアを演じることで、お2人の日常生活になにか影響はありましたか?

 

引坂 ガチャガチャが好きなので、ガチガチャのコーナーに行って、プリキュアのグッズがあればすぐに回してます。行ける時にはプリキュアショップも覗いてみて、逃したらもう買えなくなっちゃうグッズを買ったり。なので、家にはプリキュアグッズがあふれてます(笑)。

 

本名 「ふたりはプリキュア」の当時、「なぎさっぽい」ってよく共演者から言われていたんですけど、そう言われれば言われるほど、わざと髪を伸ばしてみたり、すごくドレッシーな服を着てみたりしてたんです。照れくささもあったと思います。でも、それすらも「なぎさっぽい」って言われてたんですよね(笑)。

 

引坂 えー!?

 

本名 ね、なんだか面白いでしょう?(笑)

 

 

――ちょっと反抗心を見せるあたり、「なぎさっぽい」のかもしれませんね。

 

本名 自分がどんどんなぎさになっていくのが、うれしくもあり、照れくさかったんですよね。出逢った当初はなぎさに憧れていましたから。今は、「なぎさと共に生きている」という感じなので、自然体でいられるようになりました。

 

引坂 私も共演者の方から「はなちゃん、そのままだよね」って言ってもらえたりします。自分から見てると意外とわからないんですけど、そう言ってくださるから、私もはなちゃんに近いのかなって。

 

本名 最近、(引坂さんは)本当にはなちゃんにしか見えない。

 

引坂 最高の褒め言葉です! はなちゃんを目指してやっているので、そう言っていただけてよかった〜。

 

――なぎさは「ありえなーい!」だったり、はなは「めちょっく!」といった口癖が特徴的ですが、日常生活でも口癖になったりは?

 

本名 それはないです! たまに気づかないで言っちゃって、思わず笑っちゃうとかはあるかも(笑)。

 

引坂 私もなかなか「めちょっく!」とは言わないです(笑)。ただ、私は普通にしていても変顔をしてるって言われることがあって、はなちゃんと偶然一致しているのかも、って思ったりもします(笑)。

 

――お2人がプリキュアを演じていて、よかったこととは何でしょうか?

 

本名 子供が通っている保育園で、「大きくなったら○○になりたい」と書くコーナーが設けられていたのですが、たくさんの子が「プリキュアになりたい」って書いてくれたんです。しかも、その紙に保護者の方が描かれたプリキュアの絵も何枚もあって。

 

引坂 私も、「キュアエールになりたい」「プリキュアになりたい」って書いた七夕の短冊の画像が送られてきたりして。あ、みんな「プリキュアになりたい」って思ってくれてるんだなって。そういう反響を知れて、すごく嬉しかったです。

 

本名 まだ保育園で、私がキュアブラックってことは言ってないんです。「ふたりはプリキュア」が放送されていた頃、3〜4歳の子にプリキュアの声をすると「似てるー!」って言ってもらえて(笑)。それが今でも忘れられません。子どもたちの純粋な思いや夢を裏切らないようにがんばろうって思います。

 

引坂 素敵〜!!

 

 

――心温まるエピソード、ありがとうございます。それでは最後に、お2人から読者へのメッセージをお願いします。

 

本名 まず、15周年という節目を打ってくれたスタッフさんの思いが嬉しいです。

鷲尾プロデューサーからうかがったのですが、放送開始から15年ということは、「ふたりはプリキュア」を観ていた世代の人が、ちょうど今人生の岐路に立っている時期なんですよね。大学で悩んでいたり、職場で大変な思いをしていたり、ママやパパになっていたり……そういった人たちに、エールを送りたい、という思いで「プリキュア」15周年の企画ができたということでした。

 

そういう年代の方に向けても、メッセージ性のある映画になっていると思います。映画を見て、「明日からまた、ちょっとがんばってみようかな!」って元気や勇気、希望を生み出してもらえたら嬉しいです。ひとりでも多くの方に観ていただきたいですね。

 

引坂 15周年で多くのプリキュアが生まれてきて、その中に自分も関わらせていただきました。

今「HUGっと!プリキュア」を観てる子は「こんなプリキュアもいるんだ!」って知ることができますし、前まで「プリキュア」を観ていたけど今は離れてしまっている人も、この映画をきっかけに新しいプリキュアを観てもらえるんじゃないかなと、そんな架け橋のような映画になっていると思います。

 

55人ものプリキュアが揃うことはそうそうないですし、映画を観て、それぞれテイストの違った「プリキュア」に興味を持っていただけたら嬉しいです。ぜひ、映画館に足を運んでみてください!

 

――本日はありがとうございました!

 

 

(取材・文・写真/須賀原みち)