ReoNaインタビュー! 神崎エルザを経て、「ハッピーシュガーライフ」ED「SWEET HURT」で待望のデビュー!【新人さん、いらっしゃい!第8回】

日々多くのアニメソングが発表される今日この頃、アニメソングを歌う期待のニューカマーも続々登場している。そこで、アキバ総研的に気になる「新人さん」に突撃インタビューする連載! それが「新人さん、いらっしゃい!」。

今回登場するのは、現在放送中のアニメ「ハッピーシュガーライフ」のEDテーマ「SWEET HURT」でデビューを飾るReoNaさん。TVアニメ「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」にて、劇中歌アーティスト「神崎エルザ」の歌唱を担当。7月に「神崎エルザ starring ReoNa」としてCDデビュー。大きな注目を集めた期待のニューカマーだ。

 

2018年8月29日にCDリリースされる「SWEET HURT」は、優しくはかなげな歌声とメロディと、時折どきっとするような歌詞のギャップが強い印象を残す1曲。

今回、満を持してReoNa名義でデビューを飾る彼女に、自身の音楽的なルーツやレコーディング秘話を語ってもらった。

 

好きな音楽とアニメに携わりたくてアニソンシンガーに

――デビューシングルが完成した今の気持ちからお願いします。

 

ReoNa ReoNaとしてこういう音楽をやっていきたい、こういう歌を歌いたいというひとつの自己紹介的な、名刺のような1枚ができたんじゃないかなと思います。

 

――もともと今回のシングルのような音楽を歌いたいという思いがあったんですか?

 

ReoNa そうですね。アッパーなサウンドじゃなくて、歌詞に意味がある歌を歌いたいという思いがありました。だから今回は自分の理想とするようなものができたと思っています。

 

――満足いく1枚になったみたいですね。では、改めてデビューに至るまでのお話をうかがいたいと思います。いつ頃から歌手になりたいと思うようになったのでしょうか?

 

ReoNa (歌手に)なりたいと思い始めたのはけっこう小さい頃だったんですが、あまり外に出て行く性格じゃなかったので、あまり人には言わずにいたんです。その後、SNSなどを通して自分のペースで発信できるようになってきて、カバー曲をYouTubeなどにアップしたり、ライブハウスでのイベントに出たりして、徐々に「自分は歌を歌いたい」と発信できるようになっていったという感じです。

 

――もともと何か音楽を習ったりはしていたんですか?

 

ReoNa 小さい頃、ピアノの習い事をしていたんですが、その時は音楽を仕事にするとは思ってもいませんでした。好きな洋楽やアニメソングをカバーしていくうちに、音楽にもアニメにも関われる職業ってアニソンシンガーだけじゃないか、ってだんだん思うようになったんです。だから自然とアニソンシンガーを目指そうという気持ちになっていきました。

 

――ちなみにどんな曲をカバーしていたんですか?

 

ReoNa けっこういろんな曲を歌っていたんですが、洋楽だとエド・シーラン。あとはガンズ・アンド・ローゼズをアコースティックアレンジで、ちょっとしっとりした感じで歌ったりとか。ほかにはビートルズとか、洋楽だと長く聴かれている曲を歌っていました。

アニソンもいろいろ歌ったんですが、私が小さい頃に見ていた「電脳コイル」の「プリズム」とか「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」の「again」とか。

ジャンルとか関係なく、自分が聴いてきたものを中心に歌っていました。

 

――憧れのシンガーなんかはいたんですか?

 

ReoNa 尊敬する方は本当にたくさんいるんですが、「この人になりたい」と思ったことがなくて。どうがんばってもその人そのものにはなれないじゃないですか。そこも含めて、私が初めて、私だけ、私だからっていう風になりたいと思っていました。

影響を受けたという意味ではエド・シーランです。明るくはないけどけっこうアップなメロディに、わりと暗い歌詞が乗っていたり。

 

 

――その後、2017年開催の「SACRA MUSICオーディション」に挑戦されるわけですが、それまでにも何かオーディションなどに挑戦されていましたか?

 

ReoNa それまでオーディションというものに参加したことがなかったし、漠然と自分が一生の中で経験することもないものと思っていました。やったことがないからその場の空気感とか、怖い大人が並んで威圧されながら歌うのかなとか(笑)、そういうこともわからなかったです。でも、結果的に挑戦してよかったです

 

――みごとファイナリストに残ったわけですが、結果を見てどう思われましたか?

 

ReoNa やったー!っていうよりは、本当ですか?という気持ちのほうが強かったです。それと安心感じゃないですけど、認めてもらえた、という感覚が強かったです。それまで人にはっきり評価される場所を避けて生きてきたので、誰かに認められるという経験はそれが初めてだったんです。だから、これからも歌を歌っていくうえで大きな経験だったと思います。

 

まずは神崎エルザとしてプレデビュー

――今回のデビューに先駆けて、「神崎エルザ」名義でプレデビューをされたわけですが、キャラとして歌うというのは今まで自由に歌ってきたのとは違う感覚がありましたか?

 

ReoNa ガチガチに「こういうキャラでこういう性格と設定なので」、という感じでもなく、原作者さんやアニメの制作サイドの方から「ReoNaさんの思い描く神崎エルザで大丈夫です」って言っていただけたので、私が何かに寄せるとか何かを演じるというよりは、ReoNaとして最大限歌える歌を歌って、それが神崎エルザの歌になるという感覚でした。

 

 

――自分の歌がアニメで流れた気分はいかがでしたか?

 

ReoNa その時は事務所でスタッフさんと見てたんですけど、リアルタイムでは今私が見ている映像をたくさんの人たちが見てるんだ、って言う実感はわきませんでした。ツイッターで「今の曲が神崎エルザか」って発信している方を見て、初めて歌がいろんな人に届いたんだなって実感するようになりました。

 

――神崎エルザの歌には満足できた感じですか?

 

ReoNa こう言うと変ですけど、もう自分以外の神崎エルザは考えられないです!

 

――7月25日には、「神崎エルザ starring ReoNa × ReoNa Special Live “AVATAR”」を開催されましたが、いかがでしたか?

 

ReoNa 今までに経験したことのない規模のライブハウスで、本当に私の歌だけを聴きに来てくださってる方がこれだけ集まってくださるんだなと目の当たりにしました。改めてアニメと歌のつながりの深さを感じました。

 

――デビュー前に歌っていた会場とは全然違いましたか?

 

ReoNa 違いますね。今までライブをやっていた様な規模のライブハウスって観に来てくださった1人ひとりと距離が近いのは嬉しいんですけど、歌を純粋に届けづらいというか。私のパーソナルな部分を知らない状態で聴いてもらって歌を好きになってもらえるっていうのが、私にとってすごく嬉しかったです。先に「この子が歌っているんだ」と思って聴いてもらうのと、「この歌を歌っているのは誰なんだろう」と思って聴いてらもうのは全然違うと思いますから。

 

毎回発見のあるデビュー曲「SWEET HURT」

――そして今回、満を持してシングル「SWEET HURT」でデビューされるわけですが、最初にこの話を聞いた時はどう思われましたか?

 

ReoNa 「この作品のEDテーマが決まりました」と原作を見せていただいたんですが、最初は本当に実感が湧かなかったんです。でも原作コミックを読み進めていくうちに、「この作品のEDがReoNaの初の曲になるんだなと思うと、どんな歌が歌えるんだろうという期待がすごく出てきました。

 

 

――ReoNaさんのキャッチフレーズが「絶望系アニソンシンガー」なんですが、「SWEET HURT」もメロディは明るい感じなのに歌詞はかなりダークな世界観です。もともと、こういった世界観を目指していたんですか?

 

ReoNa そうですね。私自身が、辛い時とか悲しい時とかにキラキラした明るいものを見ると疲れちゃうんです。自分自身無理をしたくないので。本当に疲れた人がいたらそういう人に寄り添いたいし、無理して明るくするんじゃなくて、私本来の持っている暗さが歌に表現できたらそれに共感してくれる人がきっといるんじゃないかなって思っています。

 

――「SWEET HURT」を最初に曲を聴いた時の感想を教えてください。

 

ReoNa 私はレコーディングにすごく時間がかかって悩むほうなんですが、「SWEET HURT」に関してはインプットするのがすごく早かったし、原作を読んでいたせいもあってイメージが固まるのも早かったのでスムースに収録できました。自分に通じるものがある1曲だと思いました。

 

――歌ううえで印象に残っている個所や、制作時のエピソードなどはありますか?

 

ReoNa この曲を歌った時は原作コミックの5~6巻が出ている頃だったんですが、今出ている最新刊の8巻まで読んでも、この「SWEET HURT」という曲は不思議と作品とマッチしているように感じます。この作品を最初に読んで感じたのが、かわいくてキラキラした絵柄と中身の暗さのギャップで、「SWEET HURT」も曲調や歌はフワフワしてるんですが、歌詞はよく見ると暗いという風に作品との親和性を出せたら、という部分を意識しながら歌いました。

歌詞についても1つひとつにすごく意味があると思っていて、皆さんも毎週聴き込んで「こんな歌詞だったんだ」って、毎回新しい発見があったり、こういう意味なのかもって感じていただきたいです。聴き手側にも変化がある楽曲になっていたら嬉しいです。

 

――まさにこういう世界がReoNaさんの歌いたい世界観ということですね。

 

ReoNa そうですね。明るい歌を歌うというのが、私の中であまりしっくりこなくて。でも明るい曲でも歌詞にほの暗さがあったりするとすごく気持ちが乗せやすいので、明るい曲、アッパーな曲を歌う時も歌詞は自分の気持ちに寄り添ったものにしたいです。

 

――カップリング「カナリア」は「ハッピーシュガーライフ」挿入歌ということで、こちらも世界観に沿った曲になってます。なんとも言えない閉塞感にあふれているというか。

 

ReoNa この曲はデモの段階だともっといろんな音が入ってたんですけど、いざ歌うとなったらシンプルに歌とアコギだけ。最初に聴いた時と完成した時で全く違う曲だったので、私の中でもちょっとずつ固まっていくというか。ライブのような感覚でレコーディングしました。

 

――かなり「ハッピーシュガーライフ」の世界観に寄せた楽曲だと思うのですが、アニメソングを歌う中で、シンガーとして得るものはありましたか?

 

ReoNa たくさんありました。今まで歌っていたカバー曲は他人のものを借りて歌うという感覚だったんですが、自分の曲となると自分から発信していかないといけない。なおかつアニメソングなのだからアニメの世界観、登場人物にも寄り添わなきゃいけないと思っていて、難しいのではと構えていたんですけど、いざ作品を読んでみて、ちょっとでも自分に通じるものを見つけられると、そこをきっかけとして作品に寄り添える歌が歌えるんだと気づきました。

 

――そしてもう1曲、「おやすみの詩」はアップテンポな曲です。

 

ReoNa 激しめの曲を歌うのはあまりもともと得意ではなく、あえておとなしく歌おうかなって最初は思っていたんです。ただ実際にバンドの方に演奏してもらって、ほんとうに激しくてかっこいいサウンドができあがったので、これに歌が負けちゃいけないと思って、あまり激情型にしすぎず、それでも声を張り上げて叫んでいるような歌を歌おうと、途中からちょっと進路変更した感じです。何かを訴えかけている感じが出たらいいなと思って。

今回のCDに収録された楽曲は、1曲1曲ジャンルは違うんですが、どの曲にも私が歌いたいことが詰まっている曲になりました。この3曲を聴けばReoNaってこういう子なんだなとわかってもらえるような1枚になったと思います。

 

緊張しつつリラックスしつつ……のMV撮影

――「SWEET HURT」ではミュージックビデオも撮影されていますね。

 

ReoNa  撮影はすごく緊張しました。写真を撮っていただくことは経験がありましたが、動画に私が出るという機会がほとんどなかったので……。ましてやMVということで、私の歌の後ろでこの映像が流れているんだ、これが本当に人の目に映るんだと思うとずっとドキドキしてました。

 

――ちょっとした演技もされていますが、演技の経験はありましたか?

 

ReoNa ありません。中学校の時は演劇部だったんですが、その時は音響だったんで(笑)。だからお芝居の経験もなかったんですが、初めてMVを撮るセットや機材を見て、すごく楽しくなりました。セットはマンションのひと部屋をお借りして、家の中を再現したセットだったんです。おうち選びの打ち合わせから参加させていただいて、「この部屋がいいです」みたいなのを選ばせていただきました。よくよく見ると私の家でも使ってそうな物が部屋の中にあって、「こういう風に作り上げているんだ」と本当に我が家のような気持ちで、ドキドキしながらも落ち着いて撮影ができました。

 

――ジャケット写真では透明なケースに入っていています。

 

ReoNa このケースに入るのは大変でした。当日は雨も降っていたので中が曇ったりしましたし、密閉されているのでどんどん酸素も薄くなるから、何回か換気しつつの撮影でしたけど、楽しみながらできました。「神崎エルザ」の時と同じカメラマンさんに撮影してもらったんですが、こういう風に映りたいとかこういう風な顔が得意というのをわかってくださっていたので、リラックスしてできました。

 

――今後の活動ですが、10月19日には早くもワンマンライブ「Birth」が決定しています。

 

ReoNa デビュー前にもワンマンは何回かやらせていただいていますが、改めて「神崎エルザ」で私を知ってくださった方々もきっと来てくださると思うし、今まで以上に私の歌を楽しみに来てくださる方も多いと思うので、責任重大ですね。それにこのワンマンが10代最後のライブなんです、翌日には20歳になるので(10月20日が誕生日)。だから10代の全てを詰め込めるようなライブにしたいと思ってます。

 

――では最後にデビューから1年後、ReoNaさんはどうなっていたいですか?

 

ReoNa ん~! 1年後ってわりとすぐですよね。20代最初の1年目だし……。できることなら私、死ぬ瞬間まで歌っていたいので、当たり前のようにみんなの中に私の歌があって、当たり前のように歌えている状況があればいいなと思います。

 

――何か挑戦してみたいことはありますか?

 

ReoNa 歌を追求しつつ、自分の言葉で歌詞をかけるようになるのが何よりだと思います。今は「私がこういう歌を歌いたい」とわかってくれている、デビュー前からお世話になっている作詞家さんの言葉を借りて歌っているので、いつか私から出てきた言葉で歌えるようにもなりたいです。

 

――期待しています。ありがとうございました!