ホビー業界インサイド第8回:日本文化と調和する3Dフィギュアの可能性 ドゥーブスリーディー社長 ジョン P.イーサム、インタビュー!

自分の姿をスキャンし、3Dフィギュア化するサービスが、日本にも増えてきた。ドイツに本社を持つドゥーブスリーディー株式会社は、0.01秒というスキャニング速度、最短2週間の納期、最安値9,800円という価格をセールス・ポイントに、業界トップを走りつつある。

かつては日本マンガ・アニメのライセンス事業に関わっていたというドゥーブスリーディーの社長、ジョン P.イーサムさんに、日本独自の3Dフィギュアの受け入れられ方、将来の発展性について、縦横に語っていただいた。

アドバンテージは、「早い・安い・上手い」?

──ジョンさんは、西アフリカのセネガル出身なんですね。

ジョン はい、生まれは西アフリカですが、国籍はアメリカで、大学卒業後は日本に滞在しました。2000年ごろ、サンフランシスコで“小学館プロダクションUSA”という会社を立ち上げました。その後、小学館プロダクションUSAは、小学館・集英社グループの“VIZメディア”に合併されまして、私は日本のマンガ、アニメなどの営業、マネージメントなどを7年ほど担当しました。さらに、“VIZメディアヨーロッパ”を5年間ほど経営してから、2012年に日本へ戻ってきました。

──3Dフィギュアと出会ったキッカケは、何だったんですか?

ジョン ドイツの友だちが「3Dフィギュアの会社をつくったんだけど、日本で需要あると思う?」と、電話をしてきたんです。その会社がドゥーブスリーディー本社だったわけですが、3Dフィギュアがどういう物なのかわからなかったので、ドイツのデュッセルドルフまで見学しに行きました。それが、2年半ぐらい前です。その後、日本国内で簡単なリサーチをしたところ、周囲から「とても面白い」と言ってもらえたので、2014年11月に、このお店(ドゥーブスリーディー渋谷店)をオープンしました。

──オープン当初、日本に3Dフィギュアのサービスはなかったのですか?

ジョン いえ、何社かサービスを開始していました。しかし、多くの会社は、ハンディ・スキャンを使ってデータを取っていたのです。ハンディ・スキャンだと、被写体が数分間、ずっと同じポーズで止まっていないといけない。時間がかかりすぎるので、一瞬の表情をスキャンできません。それと、ペットのフィギュアが欲しくても、犬はジッとしていてくれませんよね。小さな子供に、ずっと同じ姿勢で止まっていてもらうのも、かわいそうです。納期も1か月から2か月かかるし、値段もとても高かったんです。それでは、問題が多すぎると感じていました。

──すると、他社にくらべて、ドゥーブスリーディーにはアドバンテージがあったわけですね?

ジョン はい、弊社には、いくつかアドバンテージがあります。一瞬でスキャンが終わるので、何度もポーズを変えてデータをとることができます。その中から、お客様の気に入った写真を3D化するので、自分の納得のいくフィギュアを作れます。

もうひとつは、ソフトです。スキャンしたデータをフィギュアにするとき、どうしても手作業で調整する部分が出てきます。たとえば、肩を組んだ2人の人をフィギュア化する場合、体が重なっている部分はスキャンできません。その調整に時間がかかってしまうのですが、弊社の場合、プロセスが半自動化されていて、高いクオリティの3Dデータを得ることができます。効率がいいので、私たちは「2週間以内にフィギュアをお届けします」と、お客様に約束できるのです。特急プランなら、1週間以内に届けられます。極端な場合、「明後日どうしても欲しい」と言われても、対応できます。

ですから、まずは完成までのスピードが早いこと。もうひとつ、コストがかからないので、3Dフィギュアの中で最も価格が安いと言われています。それでいて、ディテールの再現度が高く「早い・安い・上手い」がポイントかもしれません(笑)。

──お店には、どういうお客さんが来るんですか?

ジョン 一番多いのは、家族で来られる方たちです。お子さんの七五三とか結婚式、お嬢さんの着物姿だとか、フォトスタジオで記念写真を撮るような感覚で、フィギュアを作りたいという方が、一番多いですね。

次に多いのが、カップルです。先日まで“バレンタインデー・キャンペーン”を開催していまして、今は“ホワイトデー・キャンペーン”中です。バレンタインデーとホワイトデーは、アメリカやヨーロッパにはありませんから、日本の渋谷店だけのキャンペーンです。その次が、ペット。犬は人間より寿命が短いので、フィギュアにして手元に残しておきたいというお客様ですね。それと、自慢のスノーボードやスケボーを抱えた自分のフィギュアを作りたいという、スポーツ好きな方たちが、意外と多くいらっしゃいます。弊社の場合、ヘルメットなどの細部も再現できますので、とてもよろこばれています。