TVアニメ「牙狼 -紅蓮ノ月-」キャスト対談! 雷吼役・中山麻聖×袴垂役・浪川大輔――2人の魔戒騎士が激動の平安活劇を語る

2015年10月にスタートし、現在2クール目に突入しているTVアニメ「牙狼 -紅蓮ノ月-」。大人向けヒーロードラマシリーズ「牙狼〈GARO〉」のアニメ第2弾となる本作では、マンガ家・桂正和さんをメインキャラクターデザインに迎え、平安時代を舞台にした”牙狼平安活劇”が描かれている。
黄金騎士ガロの称号を受け継ぐ主役・雷吼を演じるのは、実写版「牙狼〈GARO〉-魔戒ノ花-」で主演を務めた中山麻聖さん。貴族・藤原保輔から盗賊に身をやつした後、白蓮騎士ザンガの称号を受け継いだ袴垂を演じるのは、TVアニメ「牙狼〈GARO〉-炎の刻印-」で主演を務めた浪川大輔さん。時にライバル、時に仲間として戦う魔戒騎士対談が実現した!

時代やキャラが変わっても、”牙狼らしさ”は変わらない

──お2人とも以前「牙狼〈GARO〉」シリーズにご出演されたことがありますが、今回のTVアニメ「牙狼 -紅蓮ノ月-」の感想を教えてください。

中山 僕は初めてアニメの世界に来たので、実写版といろいろ違うのではと考えていたのですが、「牙狼〈GARO〉」の世界観としては通じるものがたくさんありました。それでいて平安時代のテイストが入っているのが、とても魅力的だと思います。

浪川 僕が以前出演した「牙狼〈GARO〉-炎の刻印-」は中世ヨーロッパを舞台にしていたから、印象としてはかなり違います。でも今麻聖くんが言ったように「牙狼〈GARO〉」の熱さは変わらないし、特に黄金騎士ガロが出てくるとひとつにまとまる感じがします。

──時代ものらしい言葉や描写も多いですよね。

浪川 言いづらいんだよね、名前が(笑)。

中山 口にするのが初めての単語も多くて。

浪川 読むことはできても、うまく言えないんです(笑)。僕たちは言い慣れてないけど、雷吼も保輔も言い慣れているわけだから、そう演じるのが大変なところ。

中山 家でシナリオを読んでいるときも、口が回るように練習しています。

──しかも、中山さんは声優初挑戦です。

中山 アフレコ中はいつも心臓がバクバクしていて、震えを抑えながらマイクの前に立っている感じです。いい意味で慣れていきたいと思ってはいても、まだ緊張のほうが大きいかな……。

浪川 すごいと思いますよ。声優初挑戦でいきなりあれだけの量のセリフをこなし、あれだけの感情を動かしているんですから。実写版では、マイク前で動かずに「牙狼〈GARO〉」のセリフを言うことなんてほとんどないと思いますし。お芝居としての共通点はあっても、普通はまず違和感でとまどいそうだし、身体が動いてしまいそう。

中山 最初は神経を張りつめていました。実写のアフレコでは多少動いても大丈夫だったのですが、アニメのアフレコではどんな小さな音も出してはいけない、と……。今はなんとなく力を抜いても、自然に芝居ができるようになってきたと思います。

浪川 本当に立派です。しかも、声優界でも濃いめのキャラクターに囲まれていますからね(笑)。ここをクリアできたら、どこに行っても大丈夫だよ。

 

雷吼は太陽、袴垂は月

──中山さん演じる雷吼について、お2人はどんな印象をお持ちですか?

中山 雷吼はまっすぐで、男らしい魔戒騎士というところに重きをおいて演じはじめていたのですが、回を重ねていくごとに、若干ヘタレな部分が見えてくるんですよね(笑)。星明や金時とやりとりをする時はコミカルで人情味あふれる感じがして、とても好きです。このギャップはアニメだからこそできる表現だと思うので、面白いな、と。

浪川 麻聖くんとはこの作品で初めて会ったのですが、その前に出演作を見て、「熱いけどクール」という印象を受けたんです。実際に会ったことがなかったから、役のイメージで。でも雷吼がふざけていたり、振り回されたり、そういうコミカルな部分も思いっきり表現していくのを見て、雷吼と麻聖くんは意外と似ているような気がしてきました。

中山 本当ですか(笑)。

浪川 いい意味で「調子いいな」って(笑)。かわいげがあって世渡り上手な感じがするのだけど、それを自然にやっているのが雷吼ぽい。たとえば、朴(璐美)さんには綺麗にいじられているし、(堀内)賢雄さんのハイレベルな冗談にも一緒のテンションでついていっているし、僕とは普通にゲームの話をしたりするし、うらやましいぐらい自然体なんです。 で、いざマイク前に立ったらビシッと決めますからね。

──演じる際に意識されていることはありますか?

中山 話す相手が対面にいるお芝居をずっとやってきたので、画面を目の前にしながら隣の人と会話するのが大変で……。心の距離感とはべつに、実際に相手がどれぐらいの距離にいて、それをどう表現すればいいのか、アニメの中での距離感に気をつけています。

──では、浪川さん演じる袴垂(藤原保輔)の印象はいかがでしょうか?

浪川 彼は難しい。まず袴垂がなぜ雷吼とは仲がいいのかを考えると、雷吼の分け隔てないところに賛同しているのかな、と。ただいっぽうで、ツンケンした態度で接している部分もありますよね。そのあたりはまだまだ若さゆえだと思いますけど、ザンガになった時はタッグを組んで共闘するし、保輔、袴垂、ザンガで3つの面がある感覚なんです。

中山 ガロとザンガ……雷吼と袴垂の違いは、雷吼はすべての人を守ることを優先する、袴垂はすべての「火羅」(ホラー)を討滅することを優先するところだと思います。それで意見が食い違ったり、口論したりするのではないでしょうか。

──ポリシーが少し違う、と。

中山 そうですね。袴垂を見ていて、同じ「守りし者」でも何をモットーとするかで考え方が変わることに気づきました。

浪川 たぶん最初は袴垂も雷吼と同じだったのですが、保輔から袴垂になる発端の事件があって、「火羅を討滅すれば人々を守れる」という考え方になった。でも雷吼は「なにがなんでも全員を守る」という感じがします。

中山 攻めるか守るかの違いですかね。袴垂は「自分がいるから火羅を討滅できる」と、自分がどれだけ大切な存在かをわかっていると思うんですよ。いっぽうで雷吼は「自分はどうなってもいいから、すべての人を守る」と自己犠牲の精神を持っている。……星明に言わせれば、それがダメなわけですが。

浪川 すぐに命と引き換えにしようとするからね。雷吼は根からの熱い男、陰と陽だったら陽、太陽のほう。袴垂は月で、イメージとしては半月以上に細い、縁みたいな月だと思う。

中山 同じ存在だけど、真逆。裏を返せば対をなしているということなので、だからこそ背中を預けられるのかもしれません。

──保輔と袴垂とで、演じ方にも大きな変化があったように感じました。

浪川 そこはかなり気をつけました。検非違使というお堅い仕事についてお給料で生活していたのに、いきなり髪をほどいて、古着のような服を着て、話し方も変わります。なにより表情が変わったので、覚悟がけた違いなはず。ただ、人はすぐに全部は変われないはずですから、段階を踏んだ変化を意識しています。そういう意味では、やっぱり雷吼は一貫していると思う。

中山 ずっと変わらないですよね。

浪川 雷吼はこの「紅蓮ノ月」の中で、唯一変わらない強さを持っている存在だと感じています。