明治時代末期の北海道を舞台に、「アイヌから奪われた埋蔵金」を求めて冒険をする……。設定を聞いただけで、誰もがワクワクしてしまうこと間違いなしのTVアニメ「ゴールデンカムイ」。今回は、第3話「カムイモシ(リ)」をご紹介します。
脱獄王・白石と別れアシ(リ)パと合流した杉元は、狩猟小屋で夕食をとることに。なんと今回は、冒頭から今日の”アイヌご飯”が楽しめます! (∩´∀`)∩ワーイ
今回のメニューは、干しておいたエゾマツタケとオシロイシメジ、そして干した行者にんにく(プクサ)をウサギの肉に混ぜた「ウサギのチタタプ鍋」。「ん〜ッ! うまい! リスより油っこくなくてあっさりしてるな。ああ…身体が温まる〜生き返る〜」とモリモリ食べる杉元は、ふと妙案を思いつきます。「アシ(リ)パさん、このままでも十分うまいんだが、味噌入れたら合うんじゃないの? コレ」と提案するも、アシ(リ)パさんは味噌を知らない様子。「試しに入れてみようぜ」と杉元が取り出した味噌を見たアシ(リ)パは、「うわッ! 杉元それ……オソマ(うんこ)じゃないか!」と絶叫。杉元が「うんこじゃねえよ味噌だよ。うまいから食べてみろよ」と説得するも、「私にうんこを食わせる気か! 絶対に食べないぞ」と、アシ(リ)パ。
アシ(リ)パに味噌を勧めるのを諦めた杉元は自分のお椀(飯盒)に味噌を入れ、「んん〜うまいッ! 思ったとおりバッチリ合うぞ。やっぱり日本人は味噌だな」とご満悦。そんな杉元を冷ややかな目で見つめつつ「うわぁ…うんこ食べて喜んでるよこの男」とポツリ。「人を変態みたいに言うんじゃありませんよ」と反論しつつ、変顔で「ヒンナァヒンナァ」と鍋を堪能する杉元に、「だまれ」とアシ(リ)パ。第3話にして、早くも夫婦漫才が板についてきた杉元とアシ(リ)パさんなのでした(*´ω`*)
一夜明け、森の中を進む杉元とアシ(リ)パは、ヒグマが冬眠に使う横穴を発見します。「ヒグマは自分で巣穴を掘るが、誰かが掘った古い巣穴も再利用する。試しに見てこい」とアシ(リ)パ。杉元は「なんで俺が…」と反論しますが、「入口にツララがあったり、生臭かったらヒグマがいる可能性が高い。静かに近づけよ杉元」とたたみかけられ、「ぐっすり冬眠してるんだよねえ?」「うつらうつらして篭っているだけだ。うるさくしたら飛び起きるぞ」というやり取りのあと、しぶしぶ巣穴へ。
巣穴の入口にはツララ、そして穴の中には熊笹が丁寧に敷き詰められており、どうやら中でヒグマさんがお休みの様子。杉元が「いるかも」と伝えると、「捕まえるか?」とアシ(リ)パ。「どうやって?」と驚く杉元に、「穴の入口に杭を打ってふさぎ、警戒したクマが杭の隙間から顔を出した毒矢をうつ。勇敢だった私の父は毒矢を握りしめて巣穴にもぐっていき、ひとりでヒグマを仕留めた」とのこと。アイヌの言い伝えによると、「ヒグマは巣穴に入ってきた人間を決して殺さない」そうですが、杉元は心のなかで「絶対やだ」とつぶやきつつ、「今すぐヒグマを食わなきゃ餓死するわけじゃねえし、行こうぜ」と正論を語り、ヒクマ狩りを回避するのでした。
道すがら、「ヒグマってうまいの?」「脳みそに塩をかけて食うとうまいぞ」というお約束のやりとりのさなか、「杉元あれなんだろう? 何か光ってる。私たちが今朝まで泊まっていた辺りだ」とアシ(リ)パ。「やばい! ……あれは双眼鏡だ」その光が自分たちに向けられた双眼鏡の光だと気づいた杉元は、アシ(リ)パを抱えて走り出します。双眼鏡の光の主は、第2話で杉元と戦った尾形が所属する、陸軍第七師団の追っ手たち。懸命に逃げる杉元とアシ(リ)パですが、スキーで移動する追っ手からは逃げ切れないと踏んだ杉元はアシ(リ)パに刺青人皮を託し、ふた手に分かれて行動することに。
伍長の玉井率いる第七師団の追っ手4人は、ふた手に分かれた杉元たちに対して谷垣をアシ(リ)パの追跡に当てることに。東北マタギの生まれの谷垣は、追跡者をまくために自分の足跡を慎重に踏みながら後退し、近くの笹薮へ飛ぶ「止め足」を見抜き、木の枝に身を隠れていたアシ(リ)パを発見。「降りてきなさい。決して危害は加えないから」と、呼びかけます。谷垣に見つかってしまったアシ(リ)パは、アイヌ語しか話せないそぶりで「クトゥラ シサム オハウ オ(ロ) シ オマレ ワ エ」(一緒にいた男は汁物にウンコを入れて食べる)と返答。アイヌ語なら何でもよかったんでしょうけど……アシ(リ)パさん、味噌おいしいですよ?(;・∀・)
アシ(リ)パは杉元から預かった刺青人皮を枝に隠して投降するも、リスが枝に飛び移った際の振動で刺青人皮は谷垣の背後に落ちてしまい、アシ(リ)パは絶体絶命のピンチに陥りますが、そんな窮地を救ってくれたのは、エゾオオカミの「レタ(ラ)」でした。
いっぽうその頃、玉井たちに追いつかれ、逃げる理由を問われた杉元は、「なぜって……アンタら密猟者を捕まえに来たんだろ? 禁止されてるシカを撃ってたんだ。アイヌのガキに案内させてな」と、密猟者を装います。しかし、「その顔…旅順の野戦病院で見たことがある。第一師団にいた杉元…『不死身の杉元』だ」と即バレ。有名なのも大変ですねえ……杉元さん(;´Д`)
「不死身の杉元?」「こいつがあの…」と第七師団の追っ手たち3人の間で話題沸騰中の杉元さんですが、玉井伍長の「一度意識を取り戻した尾形上等兵が、力を振り絞って文字を書いた。『ふじみ』と。尾形上等兵を襲ったのは貴様だな? 杉元」という言葉で場の空気は一転。「腹ばいになって両手を後ろに回せ」「腹ばいになれと言っているんだ杉元!」「言うことを聞け!」と、大ピンチに陥ります。そんな杉元の背後には、運よく(?)先ほどアシ(リ)パと見つけたヒグマの巣穴が。ここでアシ(リ)パさんが言っていたアイヌの言い伝えを思い出してみましょう。
「ヒグマは巣穴に入ってきた人間を決して殺さない」
そうは言っても、なかなか飛び込む勇気が出ない杉元でしたが、玉井伍長の「面倒だ。両膝を撃ち抜いてしまえ」の言葉を耳にした杉元はついに覚悟を決め、「チクショウ! 俺は不死身だああッ!」と叫びながらヒグマの巣穴に飛び込むのでした。
「はあ?」「穴に逃げ込んだぞ」「見苦しい」と、杉元の行動にあきれ顔の第七師団の追っ手たち。部下の「煙で燻り出しましょうか」の言葉に、「あぁ…もういい撃とう撃とう」と玉井伍長。「しかし…死なれたら聞き出せませんよ」と心配する部下に「本物なら死なんのだろう? 確かめてみようじゃないか」と巣穴に向かって即発砲する玉井伍長。うーん、そのウィットに富んだセリフと行動力……私は嫌いじゃないですよ?(*´ω`*)
その瞬間、唸り声とともに巣穴から伸びる太い前脚と鋭い爪が玉井伍長の顔面を襲います。そう、冬眠中だったヒグマが目覚めてしまったのです。顔面を吹き飛ばされた玉井伍長は、受けた攻撃の衝撃で部下のひとりを誤射。そして残るひとりにヒグマが襲いかかり、第7師団の追っ手3人はヒグマと相討ちとなるのでした。
難を逃れた杉元は、巣穴で見つけた子グマを連れてアシ(リ)パと合流。子グマがチタタプにして食われると心配した杉元でしたが、アイヌでは猟で捕まえた子グマを村で大事に育てる風習があるとのこと。そこでふたりは、子グマを預けるためにアシ(リ)パが生まれ育ったコタン(村)に向かいます。
コタンでは、アシ(リ)パの母方の祖母・フチの家に泊まることになった杉元とアシ(リ)パ。日本語がわからならいフチは、杉元に「アシ(リ)パは山に入ってばかりで女の仕事ができない。縫い物や織物も、女の仕事ができない女はアイヌの夫を持つこともできない。杉元の旦那、この女の子を嫁にもらってくれ。孫が心配で、私はこの世を去ることもできない」と、アイヌ語で話しかけます。杉元は「おばあちゃん、俺になんだって?」と聞きますが、顔を赤らめながら「うんこ食べちゃだめだって…」と答えるアシ(リ)パ。アシ(リ)パを嫁にもらってくれと言われているとはつゆ知らず、自分がうんこを食べていると誤解されていると勘違いした杉本は、フチに向かって「うんこじゃないですよーおばぁちゃ〜ん。味噌なんですよー?」と、熱弁をふるうのでした。コレがアイヌのツンデレか!? アシ(リ)パさん、可愛すぎです(*´ω`*)
そして好奇心旺盛なアイヌの女の子に「変な耳だね」と声をかけられた杉元。アシ(リ)パさんいわく「アイヌの耳はまるくて厚い」とのこと。女の子に「俺は杉元ってんだ。お嬢ちゃんは?」と名前を聞くと、「あたしオソマ」との返事。「うんこだろそれ。バカにしやがって」とスネる杉元に、「本当だ」とアシ(リ)パ。アイヌでは、赤ん坊に病魔が近づかないように汚い名前で呼び、6歳くらいになると性格や、その子の起こした出来事にちなんでちゃんとした名前をつけるとのこと。ちなみにアシ(リ)パさんは、「エカシオトンプイ」(祖父の尻の穴)と呼ばれていたそうで、「そりゃ病魔も逃げ出すわ」と、納得する杉元でした。
連れてきた子グマに触ろうとしないアシ(リ)パに「子グマが苦手なのか?」と質問する杉元に対し、「べつに…杉元もあまり可愛がると情が移るからやめておけ」とアシ(リ)パ。含みのある言い方に「こいつは大きくなったら山に帰すんだよな?」と確認するも、アシ(リ)パの返事は「私たちの伝統儀礼で神々の国へと送る」というものでした。
「やっぱり殺すのか…」と落胆する杉元に、「殺すというより『送り返す』という考え方だ」とアシ(リ)パ。「アイヌでは、身の回りの役に立つもの、力のおよばないもの。すべてをカムイ(神)としてあつかい、感謝の儀式を通してよい関係を保ってきた」「狩猟を生業としている私たちにとって、動物のカムイは重要な神様。動物たちは神の国では人間の姿をしていて、私たちの世界へは動物の皮と肉を持って遊びに来ている」と説明。「なかでも位が高いのは、熊のキムンカムイ。その子グマを育てるのは名誉なこと。1〜2年の間大切に育てられる」とのこと。そして「飼っていた子グマを送るときは村をあげて『イオマンテ』と呼ばれる盛大な儀礼を行い、私たちのこの世界が、楽しい場所だとほかの神様に伝えてもらう。そうすればカムイたちは何度でも訪れてくれる」とのこと。
「アシ(リ)パさんはそれ信じてるの?」という杉元に、「信仰の中には私たちの生きる術が入ってる。たとえば捕まえた子グマを育てるのは、大きくなればそれだけ毛皮や肉がとれるからだと思う。私たちはそうして生きてきたから、正しいことだと私は信じてる」「でも別れるさびしさはどうしようもない。だから私は決して情が移らないように距離を置くんだ」とアシ(リ)パ。信仰を尊びつつも、物事の本質を理解するアシ(リ)パに「考え方が現実的だな。やっぱりアシ(リ)パさんってアイヌの中でもちょっと変わってるんじゃないの?」と杉元。「アシ(リ)パという名は父がつけた。『新年』という意味だが、『未来』とも解釈できる。わたしは新しい時代のアイヌの女なんだ!」と言い切るアシ(リ)パ。こう言い切れる人が、きっと本当に新たな時代を切り開いていくのでしょうね(*´ω`*)カコイイ
その頃、意識を取り戻した谷垣は、折れた足の応急処置をしながら、襲ってきたエゾオオカミに思いを馳せます。「美しい狼だった。あの白銀の毛並み…欲しい…」と、東北マタギの血を沸き立たせ、「どこまでも追いかけて必ずしとめてやる」と誓うのでした。 他方、日露戦争での功績に見合わぬ冷遇を受けている部下や遺族に報いるために「アイヌの埋蔵金」を狙う第七師団の鶴見中尉は、越権行為をとがめた上官の和田大尉を殺害。そして、いずれ第七師団と対決することを見越して、入れ墨の囚人たちを集める脱獄囚の親玉・土方歳三。「杉元」「鶴見」「土方」の3勢力が、それぞれの野望を胸に動き始めるのでした。
冒頭の「ウサギのチタタプ鍋」&「味噌≠オソマ事件」から、第七師団の追っ手たちとのスリリングな逃走劇、そして訪れたコタン(村)での出来事を通して語られるアイヌ文化まで、盛りだくさんの内容だった第3話「カムイモシ(リ)」。なかでも、(やや駆け足ながらも)しっかりアイヌ文化が紹介されていたのは、原作コミックのファンとしてもうれしい限り(*´ω`*) 「アイヌの埋蔵金」を狙う3勢力がそろい、本格的にストーリーが動き出した本作。次回第4話「死神」も楽しみですね!
(編集部・S)