1~2話のインパクトがすごかったので、少し冷静になれた気がする第3話。甘粕ひそねという強烈な個性にやっと慣れてきたというか耐性がついてきたというか……甘粕ひそねと共に、この物語を駆け抜けてやる!という覚悟はできた。
さて3話は航空祭に備えて訓練する岐阜基地の話。このへんの飛行描写の緻密さは、きっとミリタリーファンの心をくすぐるものだったのではないのだろうか。ちなみに私はそんなに詳しくはないので、それほど掘れずにスミマセン。でも、いろんな趣味の人に引っかかることはいいことだと思う。それにしてもGで白目をむいちゃうところなどは、一応ヒロインのひそねにそこまでさせるのかという描写で、めちゃめちゃ面白かった。
ひそねにTACネーム(パイロットに付けられる戦術上[Tactical]の愛称)を付けることと、前のDパイ“フォレスト”こと森山さんが気になっちゃうまそたんが気に入らないひそね、という回だったが、ここまであえて触れないでいた「まそたんがかわいい」件についても少し語っておくべきだろう。“フォレスト”という言葉に「どこどこ?」って反応しちゃうまそたんが犬みたいですごくかわいかったのだが、声もすごくかわいい! この声は講談師の神田松之丞さんが担当していて、声優さんではない。だからなのか、こんなドラゴンの鳴き方があるんだという斬新さがあった。彼にピンときた樋口真嗣総監督の感性も、やはりすごいなぁと思う。講談師なのにしゃべってないというのもシュールで面白いのだが、鳴き声だけで、まそたんの気持ちが表現されている気がして、これまでもよかったが3話のまそたんは特によかった。
パイロットの尾長の担当するプログラム最後の機動飛行で聴衆の度肝を抜く予定が、エンジントラブルで飛行が不可能に。その原因はOTFとの訓練だったので責任は取ろうねってことで、ひそねが単独飛行することに。同時に、まそたんが実は人見知りということが森山さんによって判明。航空祭で萎縮してしまうまそたんに、ひそねが得意の内心をぶちまけるマジレッサーっぷりを発揮して、まそたんが(心を打たれて?)復活。機動飛行を見事乗り切るというのがクライマックス。飛行中の柿保さんと森山さんのシーンもすごくよくて、二人には二人にしかわからない過去があるというのを匂わすくらいの会話というのが見事だった(ここは釘宮理恵さんと斎藤千和さんの演技という面でも見応えがあった)。もちろん、巫女に関係するような伏線も混ざってはいるのだけど。
TACネームを付けてほしいとひそねに頼まれた森山だが、自分の“フォレスト”も、柿保の“パーシモン(柿の木)”も安直だったので、甘粕は“スウィート”ではなく、そのまま“ひそね”にしたというのが最後のオチ。それだけなのにピアノと“ララララーラーラーラー♪”というBGMでウルッと来ちゃうのはなぜだろう。
ということで、本日の一言は「今更なんだけど、ダミーコックピットが無人ってまずくない?」(by曽々田)……それ、ずっと思ってた!ってことで、3話も面白かった。
(塚越淳一)