2018年1月に放送がスタートしたTVアニメ「りゅうおうのおしごと!」のOPテーマを歌うのは、TVアニメ「この素晴らしい世界に祝福を!」シリーズのオープニングテーマを担当したMachicoさんだ。表題曲の「コレカラ」は爽快な応援ソング、そして新たな顔をのぞかせた「ギミー・ラブ」は実は擬人化ソング!? 楽曲にこめた思いや自身の青春の思い出、デビュー5周年を迎えた彼女の「コレカラ」に迫った。
「コレカラ」は背中を押していくタイプの応援歌
──表題曲の「コレカラ」は将棋がテーマの作品、TVアニメ「りゅうおうのおしごと!」の主題歌となりますが、今回の楽曲は作品にあわせて書き下ろされたものなのでしょうか。
Machico 最初、私は「りゅうおうのおしごと!」を知らなくて、主題歌のお話をいただいてから原作を読ませていただきました。あいちゃん含めかわいい女の子たちが出てくるシーンもありながら、読み進めていくと熱い将棋のシーンが描かれていて、私みたいに、将棋になじみがない人もやさしく将棋の世界にいざなってくれて、構えずに楽しめる作品でした。最近、将棋というものが世間的にも注目されていますし、「りゅうおうのおしごと!」という作品自体も待望のアニメ化ということで原作ファンの方もたくさんいらっしゃって。そんな注目されている作品のオープニングを歌わせていただけるということで、本当に光栄です。
──「コレカラ」に込めた思いをお聞かせください。
Machico タイトルからもわかる通り、「コレカラ」はとっても前向きでさわやかな楽曲になっています。また、1月クール作品の主題歌ということで、皆さんに素敵な新年を迎えてもらったり、これからの1年を前向きにやっていくぞ、と思ってもらえるように、「コレカラ」というタイトルにぴったりな曲にしようと思いながらレコーディングに臨みました。
あいちゃんはとてもかわいらしい女の子ですが、将棋に対してすごく熱い思いを持っている子なんです。楽曲の雰囲気があいちゃんのかわいらしさを表しているとしたら、歌詞と歌い方の力強さで、あいちゃんの心の芯の強さと、将棋に対するひたむきさ、まっすぐな気持ちを表すように意識しながら歌っています。そういうところが表現できていたらうれしいですね。
──楽曲を最初に聞いた時の印象を教えていただけますか。
Machico 将棋がテーマの作品の曲ということで、最初は和テイストでいこうというお話があったんですが、最終的には「和」の要素をAメロの旋律に入れたりBメロのところに琴の音で残しつつ、曲自体はポップで明るい曲になりました。聞いていても、歌っていても前向きになれる曲です。
──前向きと言うと、「この素晴らしい世界に祝福を!2」オープニングテーマの「TOMORROW」も前向きな印象が大きかったです。
Machico 「TOMORROW」の時は一緒に走っていくというイメージが強くて、歌っている時にもっと荒々しさがあったかなと思います。「コレカラ」のほうは、力強いけど荒々しいわけではなくて、目標に対しての真っ直ぐな気持ちがポイントになっている、背中を押していくタイプの応援歌になっていると思います。
──歌詞の中に、「勝負」や「伝説」「勝ち目」「一騎打ち」「栄光」「王者」など、作品に紐づくようなワードが散りばめられていますね。
Machico 実はこの歌詞、第1稿と2稿で歌詞が全然違うんです。最初は将棋の「歩」を3つ並べて「歩歩歩(ふふふ)」という面白いアイデアのフレーズがあったりしたんですが、そこから、将棋っぽさを残しつつ、より前向きさをイメージさせる歌詞になりました。
──タイトルがカタカナなのは、何かにかけたものなのでしょうか?
Machico この曲には、受動的に誰かに何かをしてもらって前に進むというよりは、自分から行動を起こして何かをつかみ取るという意味をこめているので、歌詞を見た時の視覚的印象も深くなるようにカタカナでの表記になりました。背中を押されて自然と前に足が出て進んでいくような応援歌になったなとも思っています。明るい曲ではあるんですが、「がんばって」っていうプラスの言葉だけで応援するんじゃなくて、歌詞の中ではネガティブな部分も表現されているんです。悩みに対して納得して次に進もうという、ひとつの壁をちゃんと乗り越えて前に進める曲だと思うので、そういう意味では、さわやかでポップな曲ではあるんですが、芯の強さも詰めこまれた曲だと思っています。
──「コレカラ」の中で、特に思いが乗った歌詞はありますか?
Machico 2番のサビで、「なにかに向かうことが青春ってことだから」っていう歌詞があるんですけど、たとえば同じスポーツでも、学生の時に部活でやるのと、大人になって趣味でするのとは熱量が全然違うんだなって。青春時代のがむしゃらな気持ちがないと出せないパワーがあって、それこそが青春で、だからこそ青春って尊いんだな、って思います。歳を重ねると、知らないうちにどこかで無理せずにやるように自分のペースをつくってしまうことがあると思うんですけど、学生の頃の青春って、「これが終わったらすべて終わり、だからがんばる!」っていう、本当にその時にしか出せない熱量があると思うんですよね。この歌詞をみて、「本当にそうだな」と思ってジーンときました。私もアーティストとして、常に目標に対してがむしゃらに走っているところなので、そういう熱い気持ちを忘れたくないと思えるフレーズです。「コレカラ」の中で一番引き込まれた歌詞でしたね。
──その気持ちがわかるような、学生の頃、部活に打ち込んだ思い出はありますか?
Machico 中学校のとき、バレーボール部に入っていました。田舎だったし、強豪校でもないので、みんな中学に入ってから始めたような子たちの集まりだったんですが、私たちなりにバレーボールに向き合っていました。最初はバレーボールの経験がない先生が見てくれていたんですが、中学2年の時に初めて、バレーボール部の顧問の経験がある先生がきてくださって、そこで初めて合宿というものを経験しました。後輩の子達と朝早く起きてランニングしたり、体育館の床が自分の汗で滑りやすくなっている中、ボールを投げられて、拾うのに必死になったりとか。顧問になった先生は普段はやさしい先生だったんですけど、部活中はすごく厳しくて、スポ根アニメみたいに怒鳴られながらやってました。それまでは趣味の延長みたいな感じだったんですが、新しい顧問になってからの1年間のバレー生活は、学生生活の中で忘れられない思い出になりました。結果は出なかったんですが、仲間と打ち込んで励ましあって、ひとつのことに対してがむしゃらになって、初めてこんなに自分を追い込んで……。本当につらかったんですけど、でも楽しくて、今思うと本当に青春だったんだなって思いますね。今でも島を走り回った記憶が思い出されます(笑)。
アニメタイアップの楽曲は、キャストにも愛してもらえる1曲に
──「コレカラ」は応援ソングということですが、最近、ご自身の周りの人で応援してあげたくなった人や、逆にご自身が応援してほしかったシチュエーションがありましたか?
Machico 一番仲のいい友達が、先日出産したんです。家族ぐるみで仲のいい子なので、無事に産んでねっていう気持ちが本当に強くて。その子のことを思いすぎちゃったのか、予定日とかは聞いていなかったのに、その子が子どもを産む夢を見たんです。予定の月だけは聞いていたので気になって電話してみたら、実際はまだ産まれてなかったんですけど、「今日が予定日だった」って言われて! その子のお産に関しては、ホントに応援したい気持ちが大きかったみたいですね。予定日を聞いてもいないのにその日に夢見るなんて、「私こんなにあの子のこと思ってたんだ!」って自分でも驚きですけど(笑)、すごく応援してたんだなと改めて思いました。その後、無事に子どもが産まれたと連絡があったんですが、「自分で連絡できなくても旦那にメール打たせてでも連絡するから」って言っていました(笑)。
──素敵なお話ですね。アニメの公式サイトでは、ご自身の曲がのったPVが流れていますね。
Machico PVも、昨年放送されたニコ生も見ました。あいちゃん役の日高さんが「オープニング、すごくよかったです」って言ってくださったんです。歌い手として、常にキャストの方からも愛してもらえる1曲になれればいいなと思っているので、日高さんに歌がよかったって言っていただけたのは嬉しかったです。なにより、日高さんが最高にかわいかったです(笑)。そのニコ生の時が「コレカラ」初お披露目だったのでドキドキしていたんですが、コメントで「曲が気になります」って言葉をいただけたりしたので、早くフルを届けたい、いろんなところで歌いたいっていう気持ちが芽生えました。
──その、フルでお届けできたイベント、「コレカラ☆クリパ」と題したライブイベントが2017年12月23日に上野で開催されましたね。
Machico このイベント自体はクリスマス色が強いイベントにはなったんですが、「コレカラ」も歌わせてもらいました。初めてフルで披露したので、一番緊張する瞬間でしたが、皆さんもいい感じにコツをつかんでくれてノッてもらえました。
──リリース後には、東京、名古屋、大阪、広島でのリリース記念イベントが待っていますね。
Machico カップリング曲も歌いたいと思っていているので、トークだったりライブだったり、もりだくさんなイベントにしたいと思っています。リリースイベントではお渡し会もやらせてもらうのですが、ファンの方から生の声を直接聞ける機会なので、皆さんの感想をいっぱい聞かせてもらえたらと思います。
──お渡し会では皆さんとどんなお話をされることが多いですか?
Machico 曲の感想や近況報告をしてくれます。皆さんがいろいろ考えてきてくださったことを伝えてもらえる場なので、本当は私が話して時間潰しちゃうのはよくないと思うんですけど、私ついしゃべっちゃうんですよね。で、ファンの方が何か話そうとしたときにはタイムアップになっちゃう、っていう(笑)。今回も話しかけちゃうと思うので、覚悟しててください!(笑)
──ライブ中でもトークがお好きなイメージがあります。
Machico 私がしゃべり続けてファンの方がぽかーんとしていることもあるくらいですね(笑)。
──それでは、MVについてもお聞かせいただけますか? 川原やピンクと水色が印象的なお部屋が出てきますね。
Machico ピンクと水色が「コレカラ」のテーマカラーで、実はネイルも同じ色に塗っていたりするので、注目していただきたいところです。MVのテーマは「つぼみスプラッシュ」ということで、花のつぼみと、輝く水しぶきが登場します。私が引っ越してきた街で新しいことに挑戦していく内容で、楽曲の明るさがそのまま詰まったような、ポップな仕上がりになっています。ギターを弾くシーンではどのコードが弾けたらかっこいいか教わってガンバってみたり(笑)、マシュマロキャッチに挑戦してみたり。
──衣装も印象的でした。
Machico ポップな衣装のほうでは素の表情が出ていると思いますが、芯の強さというところも描かれています。アーティスト写真でも着ている衣装の時は少し大人びた感じになっていて、真剣な表情も多いので、ひとつの作品の中でいろんな表情の私を楽しんでもらえるMVになったと思います。これまでに何度かMVを撮影させていただいてきたことで、最近はガチガチに緊張することもなくなってきたので、私の素の笑顔を見ていただけると思います。その素の表情を見て、みなさんにも元気になっていただけたらいいなと思います。
──初回限定盤にはメイキング映像が入るとのことですが。
Machico メイキング映像には、「コレカラ」カップリングの「ギミー・ラブ」の2曲とは別に、ディレクターさんにその場でギターを弾いていただいて、私が即興であわせるという、その時生まれた楽曲がワンフレーズ入っているんです。それはメイキングにしか入っていないので、ぜひ確認していただけたらうれしいですね。歌い終わった瞬間に失笑の嵐でしたけど(笑)、なぜ失笑の嵐だったのか、是非MVのメイキングで確認していただけたらと思います。