【犬も歩けばアニメに当たる。】暗殺者は中学生!? サツバツ触手学園コメディ「暗殺教室」の楽しみ方

犬も歩けばアニメに当たる。第2回。

心がワクワクするアニメ、明日元気になれるアニメ、ずっと好きと思えるアニメに、もっともっと出会いたい!新作・長期人気作を問わず、その時々に話題のあるアニメを紹介していきます。

アニメならでは! 殺せんせーの触手描写とマッハ20の迫力描写。

2015年1月から「暗殺教室」の放送がスタートした。原作は週刊少年ジャンプ連載の同名コミック。作者は、アニメ化もされた「魔人探偵脳噛ネウロ」の松井優征だ。3月21日に実写の「映画 暗殺教室」の公開が控えていることもあり、アニメで初めてこの作品に触れた人もいるだろう。

アニメスタッフは、監督/岸誠二、シリーズ構成/上江洲誠、キャラクターデザイン/森田和明のトリオ。「瀬戸の花嫁」「天体戦士サンレッド」「AURA~魔竜院光牙最後の闘い~」「ダンガンロンパ希望の学園と絶望の高校生 The Animation」などで、何度となく組んできた、息のあったスタッフだ。

第1話・第2話を見て、アニメはかなり正統派でオーソドックスな作りになっていると感じた。味わいが原作重視といおうか。

アニメになって楽しさが増しているのが、タコのような造形の「殺(ころ)せんせー」。「殺せない先生」という理由で生徒がつけた呼び名だ。彼の地球生物離れした動きは、アニメならではの楽しい描写で描かれている。

たとえば、最高時速マッハ20の移動スピード。「本当にマッハ20で移動した物体が教室に飛び込んできたら、ボロ校舎が壊れないか!?」というツッコミは置いておいて、コミックでは実感しにくかった離脱・着地時の衝撃、飛行するときのスピード感、そのマンガっぽい無茶さ加減(笑)が、アニメではわかりやすく出ている。

たとえば、殺せんせーの触手感。原作コミックを読んでいるときに、あの、地球生物とはかけはなれた「触手」は、どういう質感なんだろうと考えたものだ。湿っているのか、さらっとしているのか、もちもちしているのか、ヌメッとしているのか……? アニメでは主に音によって、移動するときにちょっと湿ったペタペタという「触手っぽい」音が入っていて、質感をより想像しやすくなっている。「なるほど、触手だ!」と感じられるのがおもしろい。

ふざけた存在感の殺せんせーは、「来年の3月に地球を爆破させる」と宣言している危険人物で、なぜか志願して椚ヶ丘(くぬぎがおか)中学校の落ちこぼれクラス「E組」の担任をやっている。E組の生徒たちは日本政府に依頼を受けて、殺せんせーの授業を受けながら暗殺の機会をねらっている。

原作の日常シーンでは、1コマでボケる触手ギャグがひんぱんに登場するが、アニメではそれもなかなか細かく拾っている。その結果、「先生を殺す」「ヤるしかない」といった穏やかならぬセリフだらけなのにも関わらず、トボケた笑いたっぷりのゆる~い学園コメディが、タコ型先生と落ちこぼれ生徒たちの暗殺教室に成立しているのだ。

(C) 松井優征/集英社・アニメ「暗殺教室」製作委員会