ノイタミナより、「屍者の帝国」の劇場アニメ化が発表された。
これは、2009年に34歳で夭折した伊藤計劃さんによる小説を劇場アニメ化するノイタミナムービー第2弾企画のひとつ。発表済みの「虐殺器官」「ハーモニー」に続くタイトルで、33回日本SF大賞特別賞を受賞した「屍者の帝国」が原作となっている。伊藤さんが残した30ページの序文を盟友として知られる芥川賞作家・円城塔さんが書き継いで完成させた「屍者の帝国」は、「虐殺器官」「ハーモニー」で描かれた近未来から一転、産業革命を経て活気づく19世紀末のロンドンが舞台。前世紀にフランケンシュタイン博士が開発したとされる「死体蘇生技術」により、“死者=屍者”を新たな労働力として活用するというサイバーパンクな都市設定で、シャーロック・ホームズの相棒となる以前の医学生ジョン・ワトソンを主人公に、屍者・フライデーを伴って世界各地で繰り広げる冒険譚を描いている。
スタッフは、ロボットと人間の恋愛模様を繊細に描いたアニメ映画「ハル」で劇場監督デビューを飾った牧原亮太郎さんと「進撃の巨人」のWIT STUDIO。「ハル」に続いての牧原×WITタッグとなる。公開は2015年内。
また、「虐殺器官」「ハーモニー」とあわせ、いずれもredjuiceさんがキャラクター原案として参加することも決定。あわせて、ワトソンと屍者・フライデーを描いたビジュアルも解禁となっている。
・「屍者の帝国」監督 牧原亮太郎コメント
伊藤計劃先生の作品はいつか映像化するんだろうなと楽しみにしていたファンの一人です。『屍者の帝国』も円城先生が続きを書かれると聞いてから発売を楽しみにしていました。『屍者の帝国』は伊藤先生的問題設定と円城先生のクールで時に悪戯な文のミックスが魅力的で、お二人の関係性も感じ(妄想し)ながら読ませて頂きました。
今自分の机の周りにはお二人の魂からなる「物語」が物質化し、動画の紙束として山のように積まれています。
「霊魂」(anima)を与えて「動かす」(motion)。アニメーションと作品との不思議なリンク、文学から映像と表現を変えて引き継がれていく、その必然を感じながら日々制作に励んでおります。
・「虐殺器官」「ハーモニー」「屍者の帝国」キャラクター原案 redjuiceコメント
弾丸と言葉のリアリズムで描かれた『虐殺器官』、現代社会の延長とも言える近未来を舞台に繰り広げられる儚い命の物語『ハーモニー』、19世紀を舞台とし、様々なギミックが楽しめる冒険活劇『屍者の帝国』。3つの全く異なった世界観を持つ作品と同時に向き合うという大役を授かることになりました。より多くの方々の心に届くような、きっかけとしての絵を作れれば良いな、と日々筆を走らせています。
・山本幸治チーフプロデューサーコメント
人は何故生まれてきて、どこへ向かうのか。小説家は物語を遺すことで、どこに至ろうとしたのか。
何か求めてやまないその魂が、映像にも宿ってほしい。遺された物語が、人々の心を揺さぶってほしい。
(C)Project Itoh & Toh EnJoe / THE EMPIRE OF CORPSES