Steam新作ゲーム6月オススメ!8番出口続編から推理アドベンチャーまで

アキバ総研をご覧の皆さま、いかがお過ごしでしょうか。ゲーム買いすぎちゃう系ライターの百壁ネロでございます。暑さの激しい日や雨の激しい日があり、家で過ごしがちになる方も多いかと思いますが、今回はそんな皆さまのおうち時間にオススメしたいインディータイトルを、5月発売の中から厳選してご紹介していきたいと思います。

1、異変だらけの電車から脱出せよ! 大ヒットタイトル8番出口の続編「8番のりば」

皆さまは、身近に異変を感じたことはありますが? いつも通る道や乗る電車で、「あれ? なんかいつもとちょっと違うかも……」という違和感をふと覚える……なんて体験はあるかもしれませんが、ご紹介する「8番のりば」は、そんな“異変”がキーワードとなるタイトルです。

 

 

電車を舞台にした一人称視点の3Dアドベンチャーゲームである本作は、Nintendo Switchに移植された記憶も新しい大ヒットインディータイトル「8番出口」の続編です。「8番出口」は、無限に続く地下通路で異変を発見しながら脱出を目指すというゲームで、異変を発見することで先へ進める間違い探し系のゲーム「8番ライク」というジャンルを確立したパイオニア的タイトルです。本作はそんな「8番出口」の続編ということで、発売前から多くの注目を集めていたタイトルとなっています。

 

 

ゲームをスタートすると、プレイヤーがとある走行中の電車の座席に座っているところから始まります。タイトル画面やメニュー画面がなく、いきなりゲームが始まる作りは「8番出口」から引き続きとなっており、突然奇妙な世界に放り込まれたような錯覚を抱かせます。さらに、リアルなタッチのグラフィックや電車の効果音、広告募集によって集まった実在の企業や商品に関する中吊り広告や壁広告など要素が、より現実感をアップさせ、プレイヤーに没入感を与えます。

ちなみに本作、前作「8番出口」でおなじみだったあの“おじさん”も登場します。前作を遊んだプレイヤーにとってはうれしい再会(?)です。

 

 

というわけでさっそく座席を立ち、車両内をうろうろと探索してみます。

広告やおじさんの様子などいろいろと見ていると、電光掲示板に次の停車駅が「零山(れいざん)」と表示されていることを発見。さらに掲示板の上の停車駅案内を見ると、「一ヶ崎」「五ツ原」「八番」など、数字が入った駅名が並んでいることに気が付きます。

なるほど、どうやら何かを行うことでこの駅名が進んでいき、「八番」にたどり着けばクリア……ということなのでしょうか。本作にはプレイヤーに向けたハッキリとした説明やチュートリアルなどはないため、プレイヤーは与えられた情報からさまざまなことを考え、想像していかなければならないのです。この手探り感は前作「8番出口」にも通じるもので、本作ならではの大きな魅力となっています。

 

 

前作「8番出口」同様に、本作にもさまざまな“異変”が発生します。
ネタバレをしてしまうと面白さが大きく損なわれてしまうため、異変の詳細については本記事では取り上げませんが、全体的には、前作「8番出口」で発生していた異変よりもホラー感がアップしたような印象。じわじわ系の怖いものもありますが、中にはビックリ系のホラーも存在するので、そういった要素が好きな方は前作よりも刺さると思います。

 

 

車内で発生する異変を発見したら、前の車両に戻り、異変がなければ次の車両に進む……というように、前作「8番出口」のルールに従って進もうかと思いきや、実は本作は、そのルールは通用しません。

それもそのはず、前作では上記のルールは地下通路内の掲示物に明示されていましたが、本作にはそのようなルールの記載はどこにもないのです。では、どうすればこの車両から脱出することができるのか……とあれこれ想像しつつ、頭をひねる点こそが、まさに本作の醍醐味。前作を遊んだプレイヤーほど、「8番出口のルールが通用しない」というこの世界に、不安と恐怖を感じてしまいます。

 

 

リアルに作られた電車の中で起きるさまざまな異変を体験しながら、走り続ける電車から脱出するために試行錯誤を楽しむ「8番のりば」。独特の奇妙な雰囲気とユニークなゲームシステムが面白く、さらに、ワンコイン以下というお手軽な価格設定も魅力です。前作「8番出口」を楽しんだプレイヤーはもちろん、本作からでも問題なく楽しめるため、気になるプレイヤーはぜひプレイして、異変だらけの奇妙な電車に迷い込んでみてください。

  • 「8番のりば」(KOTAKE CREATE)
  • ジャンル:アドベンチャー
  • 2024年5月31日発売
  • 価格:470円(2024年6月23日現在)
  • コピーライト:(C) KOTAKE CREATE

2、畑でアンテナを育てて出荷する!?不思議な農園シミュレーションアドベンチャー「デンパトウ」

皆さま、農園系のゲームはお好きでしょうか?
まったり農作業をしたり動物のお世話をしたりと、時間を忘れてのんびりできる体験が魅力のジャンルですが、ご紹介する「デンパトウ」は、ちょっと変わった農園系のタイトルです。

 

 

本作は、2D横スクロールスタイルで描かれる農場シミュレーションアドベンチャーゲームです。
まず目を引くのは、やはりなんといってもそのビジュアル。グラフィックからも色合いからもレトロな雰囲気がたっぷりと漂い、そこにドット絵が加わることでなんとも独特な世界観が作り上げられています。ブラウン管テレビを見ているかのようなグラフィックエフェクトも味があっていい感じです。

 

 

そんな本作はグラフィックだけでなくストーリーも非常に独特。
なんらかの原因で記憶喪失になった主人公が、奇妙な「アンテナ農場」で目が覚めるところからゲームが始まります。
主人公は、失った記憶を取り戻すために、農場の住人である不思議なしゃべるテレビを手伝って、アンテナ農場でアンテナを栽培することとなるのです。ゲームどころか、小説や映画や漫画でも類を見ないようなこのユニークすぎる世界観は、不思議な魅力でプレイヤーを惹きつけます。

 

 

本作のメインとなるアンテナ栽培は、いくつかのステップで構成されています。

まずは、畑の畝(うね)にアンテナの苗を植えます。アンテナにはオーソドックスに育ちやすいものや、途中で伐採するとアルミニウム(この世界の通貨のようなもの)を多く獲得できるものなど、さまざまな特性が存在。さらに、アンテナの種類ごとの配置によっても成長速度などが変わってきます。育成効率を上げるために戦略的に植えてみたり、はたまた自分の気分で好きなように育ててみたりといった楽しみ方ができます。

 

 

アンテナの苗には栄養を与えなければ育ちません。その栄養というのは、ずばり「デンパ」。ではデンパはどこにあるのかというと、空気中に存在しています。目に見えないデンパを集めるためには「パラボラ」という道具を装備して歩き回り、ダウジングのようにデンパのたまり場を探り当てて収集する必要があります。デンパがたまっているデンパ雲を見つけたと思ったらボタンを長押しして「パラボラブースト」を発動し、一気に大量のデンパ獲得を狙います。「目に見えないものを探り当てる」というこのゲーム性は、スローライフゲームでいうところの釣りや鉱石掘りなどに通じる感覚があり、まったりではありながらも繰り返し遊びたくなる中毒性を感じました。

 

 

毎日デンパを与えてアンテナが育ったら収穫です。ナタでアンテナを切り倒すと、トラックに乗った業者のおじさんが集荷に来てくれて、晴れて出荷となります。出荷が完了すると報酬としてアルミニウムがもらえ、アンテナの種類ごとに決まっている出荷先にとってのグッドタイミングで出荷すればボーナスの報酬も獲得可能。トラックに積まれたアンテナが運ばれていく様子はなかなかシュールですが、出荷には達成感があり、本作の醍醐味のひとつです。なお、アルミニウムを使って設備や道具をアップグレードさせる要素もあるので、どんどん出荷してどんどん作業の効率を上げていく楽しみもあります。

 

 

出荷を成功させるとご褒美として、しゃべるテレビがテレビ番組を視聴させてくれます。懐かしの番組をほうふつとさせるような放送内容に、思わずニヤリとしてしまう方もいるかもしれません。そんな番組を見る中で、主人公の過去の記憶を呼び覚ますために必要な情報が得られることがあり、「自分は何者なのか」という謎をめぐるストーリーに進展が現れることも。物語のエンディングは3種類用意されているので、コンプリートを目指してみるのもいいかもしれません。

 

 

レトロなドット絵のグラフィック、「アンテナを育てて収穫する」という独特の世界観を持つ農園シミュレーション、そして記憶を失った主人公の謎めいた物語が絡み合い、唯一無二の不思議なゲーム体験が味わえる「デンパトウ」。難しい操作や複雑な要素などがなく、ゲームに慣れていない方でも安心して遊べるタイトルなので、気になる方はぜひプレイしてみてください。

  • 「デンパトウ」(トロヤマイバッテリーズフライド)
  • ジャンル:アドベンチャー
  • 2024年5月17日発売
  • 価格:980円(2024年6月23日現在)
  • コピーライト:(C) 2024 トロヤマイバッテリーズフライド

3、死神となって殺人事件の犯人を見つけ出せ! 問題がランダム生成されるローグライト推理アドベンチャー「探偵死神は誘う」

皆さま、探偵ものはお好きでしょうか?
私事ながら、筆者も昨年、探偵もののミステリー小説を出したりしていたのですが、ご紹介する「探偵死神は誘う」は、そんな探偵気分を手軽に味わえるゲームです。

 

 

本作は、証言から事件の犯人を推理する推理アドベンチャーゲームに、遊ぶたびに展開が変わる「ローグライト」の要素をかけ合わせたというゲーム。ありそうでなかったユニークなジャンルの本作ですが、グラフィックも非常にユニーク。レトロゲームを思わせる味のあるドット絵が、プレイヤーを不思議な世界へといざなってくれます。

 

 

本作の主人公は、新任の「探偵死神」。彼に与えられた仕事はずばり殺人犯を処刑することです。ボード、コマ、カードで表現された殺人事件の現場で推理をして、犯人に目星をつけて死刑を執行する、というのがプレイヤーである探偵死神の仕事。間違えてしまうとペナルティになり、体力がなくなってしまうとゲームオーバーとなります。死神が主人公というユニークなストーリーと「探偵死神」という設定が面白く、プレイする前から世界観に引き込まれます。

 

 

本作のメインとなる推理パートでは、複数の容疑者が登場し、それぞれ証言をします。
ここで重要となる本作のルールは、2つ。「犯人は必ずウソをつく」「無実の者は必ず真実を述べる」というもの。

たとえば、

Xさん「犯人はYに決まっている」

Yさん「私は犯人じゃない」

Zさん「私とXさんは犯人ではありません」

といった具合。ルールに照らし合わせて考えると、XとZが無実でYが犯人だとすれば矛盾が生じません。こういう風に、いわゆる「論理パズル」的な要領で、犯人=ウソをついている人物を見破っていくのです。

ちなみに、ローグライトと銘打たれているだけあって、本作の事件内容はすべてランダム生成。一回解いたらおしまいではなく、何度でも繰り返し新しい問題を遊ぶことができるので、パズル好きはどっぷりと沼にハマってしまうこと請け合いです。

なお、情報として「場所」や「時刻」といったものもあるため、証言と照らし合わせながら犯人を見つけ出しましょう。

 

 

しかしなかには、最初の証言をしていない容疑者や、事件と無関係なことを証言する容疑者も存在します。
そんなときに、さらなる証言を引き出すために使うのが、画面下部に表示されているカードです。カードには、新たな証言を引き出したり、特定の時間の目撃証言を引き出したりといった証言に関するもののほか、ペナルティなしで処刑を行うといったサポート的なものもあり、効果はさまざま。

とはいえ、カードは無制限に使えるわけではなく、使用するためにはお金が必要です。お金は処刑に成功してステージをクリアすればもらえますが、あまり無計画にカードを使いすぎると難問が訪れた際に犯人を絞り込めなくなってしまう、なんて事態もありえるので、可能なかぎり最小のカード消費で犯人を突き止めるというのが基本戦略となります。

ちなみに早く犯人を見つけ出せばボーナスがもらえるので、カードを惜しみなく使って早期解決でボーナスを狙う、という方法もアリ。これらお金とカードのシステムが、論理パズルにちょうどいいスパイスを加えているように感じました。

 

 

事件を終えると次の行動を選択するのですが、本作のステージはヘックス状になっており、ひとマスずつ選んで先に進んでいきます。推理には「通常推理」「難推理」のほか、ボードの最後に待ち受けるボス的な「苦難推理」というものが存在。苦難推理をクリアすれば探偵死神の物語が進展するので、物語を最後まで見届けられるよう、すべての苦難推理のクリアを目指します。

 

 

推理マスの他には、お金でカードやアイテムを購入できる「商店」マスや、いいアイテムやマイナス効果のアイテムが手に入る「宝箱」、何が起こるか運次第な「ランダムイベントマスがあります。どのマスに進むかでその後の推理を成功させられるか否かに関わってくるため、マスの選択はとても重要。中でもカードを購入できる商店は特に重要です。ただ欲しいものを購入するだけでなく、マイナスの効果を持つ「デメリットカード」や「呪いアイテム」を選んで逆にお金をもらうといった戦略も選べますが、くれぐれもご利用は計画的に。

 

 

ランダム生成システムによって何度でも論理パズルを楽しむことができる、斬新な推理アドベンチャー「探偵死神は誘う」。クイズやパズルが好きな方はもちろん、人狼ゲームが好きな方にもぜひ遊んでいただきたいタイトルです。

  • 「探偵死神は誘う」(SHIZU KANO UMI)
  • ジャンル:アドベンチャー
  • 2024年5月25日発売
  • 価格:1,250円予定
  • コピーライト:(C) 2024 SHIZU KANO UMI

新作のオススメSteamタイトル、気になるものはあった?

というわけで、Steamのオススメ新作タイトルをご紹介しました。

 

今回は、ガッツリ系というよりは、どちらかといえば短い時間でサクッと遊べるようなタイトルを中心にチョイスしてみました。気になるタイトルがあった方はぜひ、チェックしてみてくださいね。

百壁ネロ

百壁ネロ

ゲーム買いすぎちゃう系ライター。現在積みゲー300本以上。小説家でもあります。著作は「轟運探偵の超然たる事件簿 探偵全滅館殺人事件」(星海社)、「ゆびさき怪談 一四〇字の怖い話」(PHP研究所)など。
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