35年のときを経て、アニメ作品として「ふっかぁーつっ!!」を果たした「BASTARD!! -暗黒の破壊神-」。
2022年に(BS11・ABEMAでは2023年1月)放映・配信された「闇の反逆軍団編」(第1期)では、色褪せないキャラクターたちに、現代アニメーション技術と名優・怪優たちが命を吹き込み、大きな注目を浴びた。
2023年7月31日からはついに「地獄の鎮魂歌編」(第2期)がNetflixにて、2023年7月31日より配信をスタートする。そこで、谷山紀章さん(ダーク・シュナイダー役)、安元洋貴さん(ガラ役)、小野賢章さん(カル=ス役)が1期を振り返りつつ、2期を語る。
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原作に忠実な部分と、ブーストをかける部分と
――第1期からメインとして参加した谷山さんと安元さんは、アニメ「BASTARD!!」に対してどのような印象を受けましたか?
谷山 やっぱり、あの時代だからというところもあったと思いますけど、漫画独特の言い回しが台本で間違いなく完コピされていたんですよね。「こんるぁっ!」みたいな
安元 (笑)。
谷山 もちろん意図があったからでしょうけど、そのまま書かれているからには我々も音声を通して、「忠実に原作を再現していく」という意識で作業していました。そこは印象的ではありましたね。時代の空気感も含めて、「今、この時代に作り上げるんだ」という気持ちが台本にも出ていたと思います。ね? あったよね?
安元 「ピュア」に原作準拠でした。
谷山 そうそう。
安元 同じ言葉を繰り返してしまっているようなところも、あえてそのままやってしまうという。
谷山 吹き出し以外のちょっとした……。
安元 ト書きとか。
谷山 そういったところでのやり取りもガヤみたいな形で、台本で形にされていたので、その「忠実さ」がある意味新鮮だったところはありましたよね。漫画原作をうたうほかの作品でも、なかなか実現しづらい部分だと思うんですよ。今までいろいろと漫画原作のアニメをやってきましたけど。逆に言えば、そういう魅力もある作品だとは思いました。
安元 聞いていると違和感を覚えることもあるんですけど、台本を与えられたあとに原作を読んでみると確かに言っているんですよね。だから、「あ、なるほど。わざとなんだ」と察することができましたね。もちろん、違和感がありすぎてはダメだけど、制作陣全員でその方向性を成立させていく、というのは少し不思議な体験で。でも楽しかったですよ、うん。
――小野さんとしては、1期ではまだダーク・シュナイダーたちとからむことはほぼありませんでしたが、どのように物語を見ていましたか?
小野 誰かと会話することが少ないので、一人旅をずっとしているような印象はありました。僕は作品に参加するにあたって原作を初めて読ませていただいたんですけど、その中で感じていた「最強のダークヒーローという爽快感」、そこを紀章さんのお芝居にもすごく感じながら見ていましたね。
――谷山さん演じるダーク・シュナイダーの突き抜け方については、皆さんが印象に残った部分としてあげますね。2期から参加の方々、たとえば寺島拓篤さんもおっしゃっていました。
谷山 あのテラシーが(笑)。
安元 俺も別のところで褒めておきました。
谷山 ありがとう(笑)。
安元 いや、実際、圧倒的なテンションを出さなければいけないときに出してくれていたし、座組の真ん中にいる方がそれだけの火力を持って臨んでいると、おのずと周りの僕たちも引っ張りあげてもらえますよね。思う存分やらせてもらった感じはあります。月並みな言い方になるんですけど、シャウトがかっこいいんですよ。
――GRANRODEOのボーカルでもあるところが伝わってくるような?
安元 そこも根幹にあるのかもしれないけど、台詞という言葉としてもかっこよかったんですよね。谷山さんにしかできない「シャウト」がそこにはあったから。
谷山 あの安元さんが(笑)。
安元 (笑)。聞いていても楽しかったですよ。
小野 安元さんが今おっしゃったところって、本当に僕が演じるカル=スとは真逆のところで。テンションにしても。だから、先輩のそういう姿を見るとなんか……。
谷山 「いい年してがんばってんなー」って?(笑)。
小野 いやいや(笑)。僕も出しきりたいという気持ちにはずっとなっていましたね。
安元 確かに。それはそう。
小野 カル=スに関しては、エネルギーを発散するお芝居がなかったので、そこは見ていてうらやましい部分でした。むしろ演じるカル=スと重なるところだったかもしれないですね。憧れるというか。
安元 いや、みんなそうだから。みんながダーク・シュナイダーに憧れているからね。
小野 うん、そこはすごく感じていました。
谷山 いや、でも、みんなが本当に役とハマっている印象はありましたよ。リップサービスというわけではなく。男性陣を見ても見事ですよね。素晴らしいキャスティングだというのはすごく思います。
現場でも圧倒される演技
――第2期に関しては、アンスラサクスの登場、しかも声がつくのは初めて、かつ演者が小山茉美さん、というところで、いやおうなく期待を高められています。現場での感覚としてはいかがですか?
谷山 あらためて完パケ、できあがった映像で聞いたらすごかったですね。怖かったです。
安元 高貴でね。
谷山 アンスラサクスは際立った存在に行き着いているので、「誰が声をあてれば?」というところはあったと思うんですよ。そこでの小山さん登場でしょう?
安元 いや、妙な説得力がありましたよね。「あ、アンスラサクスってこういう感じなんだ」っていう。
谷山 変な言い方ですけど、ちゃんと怖かったんですよ、アンスラサクスが。禍々(まがまが)しさをしっかりと感じられました。そこも今回のキャスティングの素晴らしさですよね。だって、過去に制作されたOVAやドラマCDでは小山さんは別の役を演じていましたからね。
安元 アーシェス・ネイを。
谷山 それが今回はアンスラサクスなので。ご本人もアフレコスタジオのロビーで「アンスラサクスになっちゃったよー」って言ってましたけど(笑)。
安元 (笑)。でも、子安(武人)さんも過去のドラマCDではサムライ・マスター(ヨシュア・ベラヒア)だったのがダイ=アモンですからね。
谷山 過去のOVAの千葉(繁)さんを引き継いでのね。いや、あのラインはすごいよ。
安元 めっちゃ面白かった。
谷山 ダイ=アモンは面白かったね。
――お三方が第1期で印象に残っている台詞やキャラクターというと……。
安元 じゃあ、僕はそのダイ=アモンで。
谷山 そうなるんだよね。
安元 男の子なら、シーン・ハリとダイ=アモンはどっちも大好きだと思います。
谷山 役があいまっていたのもあって、子安さんがダイ=アモンというキャラを仕上げてきていたよね。
安元 ちゃんとチャーミングになっていたんですよ。
谷山 いや、子安さんはすごい。
安元 ホント、化け物声優ですよ。
谷山 ね? で、また声がすごく強いんだよね。
小野 僕は、(アビゲイル役の)杉田(智和)さんかな。1期のクライマックスを飾るキャラクターということもあってすごく印象に残っていますね。あのしぶとさとか、なんでひっくり返っているんだろうとか。
安元 顔がね。
小野 そう(笑)。でも、生死を賭けた戦いの中に面白いエッセンスを込める、というのは「BASTARD」の魅力のひとつだな、ということもすごく感じました。
谷山 作品という観点からい言えば、やっぱり、第1期は伝説のスライム回をあげざるを得ないですかね。第4話の。尾崎(隆晴)監督がキャリアの全てをかけた、これができたからもう悔いなしと思った、というね。いや、早いよ!(笑) でも、やっぱりあのシーンは力が入っていたし、ダーク・シュナイダーがからむシーンではないんですが第1期の見どころではありますね。
――では最後に、第2期の見どころについても教えてください。
安元 まずは、キャラクター数が増えて、その魔戦将軍側にもいろいろあるし、侍たちにもいろいろあるし。
谷山 そういう言い方したらそれで全部だろ? 「右に同じ」としか言えないよ。
安元 そう、みんな「いろいろある」。
谷山 でも、登場人物が一気に増えるというところは大きいですね。確かにそこは大きな焦点になると思います。
安元 あとはヨーコさんの成長かな。
谷山 いいこと言うわ。
小野 髪の毛の長さですよね。
谷山・安元 そこ?
谷山 物理的な成長じゃん(笑)。
(取材・文/清水耕司(セブンデイズウォー))