【2023夏アニメ】「BASTARD!! -暗黒の破壊神-」第2期「地獄の鎮魂歌編」スタート記念! 「共演者の演技に唸るばかりでした」新規参戦の寺島拓篤(ヨシュア・ベラヒア役)インタビュー

ダーク・シュナイダーが、彼の配下であった四天王のうち3人と大陸の各地で激戦を交わしてから2年。ついに四天王の最後のひとり、カル=スが破壊神アンスラサクスの復活に手をかける……。「闇の反逆軍団編」に続いて、アニメ「BASTARD!! -暗黒の破壊神-」の第2期「地獄の鎮魂歌編」が、いよいよNetflixにて配信スタートとなる。

カル=ス側の十二魔戦将軍や、その大勢力に抗う侍軍団などが加わり、さらなるダークファンタジーバトルが期待される「地獄の鎮魂歌編」だが、そこに新たに加わるのが新キャラのひとりで侍大将のリーダーであるヨシュア・ベラヒアだ。演じるのは寺島拓篤さん。

彼が見たアニメ「BASTARD!! -暗黒の破壊神-」の魅力とは? またキャラクターの魅力、アフレコ現場で目の当たりにした共演者たちの演技など、アレコレをたっぷりと語っていただいた。

 

 

芯の強さを声の「張り」で表現しながら

 

――原作の「BASTARD!!」に対してはどのような印象を持っていましたか?

 

寺島 連載当初はまだ小さかったので、話題にはなっていましたけど読んではいませんでした。なので今回、あらためて最初から読んでみました。いちヲタクとしては、「絵がめっちゃ進化していくな」なんて思いながら、作品が話題になった面白さというか理由を実感していました。ダーク・シュナイダーはかなりメタな存在ですし、コマの枠外で萩原一至先生が自分でツッコミ入れているとか、当時の空気感満載で、楽しく読ませていただきました。

 

――アニメ第1期についての印象は?

 

寺島 魔法のエフェクトがすごかったですよね。空気の振動やまぶしさ、音の激しさといったところは漫画では伝わってきづらいものなので、アニメにすることでダーク・シュナイダーがどれほどすごい魔法使いなのかがわかりました。そこが印象的でしたね。あとは、女性キャラはもちろん、男性キャラに関しても肉体の描き方にこだわりを感じていて、そこは「『BASTARD!!』だからな」という感覚でした。そもそも、萩原一至先生の画力というか、漫画の緻密さに関しては連載当時から話題だったと思いますけど、それをどうアニメにするのか、想像できなかったんですよね。でも、先ほどお話しした絵柄の変化もキャラクターデザインにうまく落とし込んでいますし、アニメ制作チームのセンスや強さを感じました。

 

 

――寺島さんが演じるヨシュアに対する印象は?

 

寺島 武家屋敷の侍たちはみんな、僕らが持つ「侍」のイメージ通りというか、一本芯が通っていて義に篤くて強いですよね。それに加えて、アクションや技の派手さは外国の方がイメージする「サムライ」のテイストがありますが、ヨシュアに関しては、そこをそのまま忠実に演じればいいのかな、という印象でした。余白がそこまであるキャラではないというか、ヨシュアの上司に当たる総大将の(ニルス・ショーン・)ミフネ、逆に部下たち、敵といった周囲にガチガチに固められている人物だと思いました。そのあたりが、彼を抑圧しているわけではなく、彼を形成している、という印象ですね。周りからのプレッシャーと自分の強さに結び付いている、むしろ遊びがあまりないことが彼の強みになる、なので僕としては額面通りに演じれば正解になるというイメージで演じていました。あとは、人としての器の大きさややわらかさみたいなものは(声の)音の雰囲気で出せれば、とは思っていましたね。

 

――その意味では、「BASTARD!!」の世界ではわりと等身大なキャラクターでしたか?

 

寺島 あ、そうですね。変な言い方になりますけど、ダーク・シュナイダーなどに比べると、現実の我々に近いメンタリティで演じることができる存在ではあったと思います。「何言ってるのかわからない」みたいなことがないので。そこのとっかかりという意味では、やりやすいキャラクターだったと思いますね。

 

――ほかのキャラクターはある意味、みんな「子供」ですからね。

 

寺島 そうなんですよ。自由ですよね(笑)。ヨシュアはあの中ではかなり社会人だと思います。あと、カイもそうですよね。ある程度の立場がある人はこちらの世界と変わらないのかもしれません。

 

――「音」というところをもう少し詳しく教えてもらえますか?

 

寺島 ヨシュアが持つ、意識のぶれなさを声の張りなどで出せればいいと思っていたんです。やっぱり音で表現しなければいけない立場なので。どうやったら自分の声で「侍」ができあがるのか、ヨシュアの侍らしさを出せるのかを考えました。それは「叫ぶ」とは違っていて……、堂々としているような声の張り方と言うんですかね。侍大将(サムライ・マスター)として率いる立場にあるので、大きい声を出すシーンでも普通に会話しているシーンでも、言葉をはっきりとさせる意識でいました。そこはオーディションのときから変わらないところでした。ある意味、読み取りやすいキャラクターではあるんですよ。原作を読みながらなんとなく自分で(声を)あててみたときと相違なくやれた印象はあります。

 

――ヨシュアは寺島さんがおっしゃるように落ち着いたキャラクターではありながらも、戦闘シーンと会話シーンでの振れ幅はあったと思います。そこでは何か意識されましたか?

 

寺島 敵となる人たちが、まずは強いところを見せてくるじゃないですか? 最初のイングヴェイ(・フォン・マルムスティーン)なんてめちゃくちゃ強そうですよね。(演者が)諏訪部(順一)さんだし(笑)。そういった彼らと渡り合える人物であるというところを、しかもがむしゃらではなく、落ち着いた状態からスタートするということで、自分よりも格上のお芝居を意識しなければいけないとは思っていました。先ほどお話しした「張り」、それから「圧」がしっかりと出るように、とイメージしました。その意味では、張りと落ち着きの塩梅は少し考えながら演じていたと思います。秘剣「蝶舞阿修羅斬」という技も、1回目に出したときと2回目では状況が全然違っているので、2回目では少し裏返っているんです。ただ、それは状況によって自然と変化したところなので、「アリだ」と思ってあえてそのままにしました。もちろん、ディレクターからNGが出なかったからではあるんですけど。でも、そういうところでヨシュアなりの変化を自分で感じながら演じた印象はあります。

 

キャラクターに自分を乗せてくる先輩方

 

――コロナ禍でのアフレコということで制限もあったかと思いますが、現場での印象を教えていただけますか?

 

寺島 コロナ禍というところで最大4人という人数制限を設けての分散収録で。ヴァイ・ステアベの坂(泰斗)くんや、シェン・カーの木島(隆一)くんとか、あとはカイ・ハーンの(伊藤)静さんと一緒に収録することが多かったですね。で、時々ダーク・シュナイダー(の谷山紀章)ともやらせていただきました。ダーク・シュナイダーはひとりだけぶっ飛んでいるので、お芝居を見るのが毎回楽しくて、ワクワクしながら谷山さんのお芝居を聞いていました。ヴァイにしても、侍たちの中では若いキャラクターなのでテンション高めに演じていて、「楽しそうだな」「でも自分はしっかりするぞ」と思いながら見ていました。静さんとは結構(作品が一緒になるという)ご縁があると思っていて。なので楽しくやらせていただいた現場という印象ですね。作品に対してみんなでツッコミ入れるとか。自分としては、シリアスなお芝居を求められるシーンが多かったので、そこのメリハリがついてやりがいのある現場でした。

 

――落ち着いたキャラクターであるヨシュアが隙を見せるのがカイだと思いますが、カイとのシーンで意識した点はありましたか?

 

寺島 それはもう、自然と出てくる心の揺らぎですよね。ちょっと崩れたり、それが声としてうわずったり。カイの話題が出るとピンポイントで動揺を見せるヨシュアですけど、戦闘中の動揺とは全然質が違うので、音として意識しながらお芝居はしていました。彼にとって特別な人というのはカイだけではなく、ダーク・シュナイダーだったりミフネだったりもするんですけど、その中で恋愛感情の対象となっている女性というのは彼女だけなので。ほかにはない表現は意識していました。

 

――伊藤静さんが演じることで、カイがどのようなキャラクターになったという印象ですか?

 

寺島 静さんのすごいところは、大人でありながら少しだけ少女の清廉さみたいなものが残っている声質、だと思っているんですよ。癖があるわけではなく、まっすぐなんだけど少し不思議な声という印象が僕の中にはあるんです。しかも滑舌もとにかく美しいので、カイのようにしっかりと自分の思いや意識を伝えるキャラクターはぴったりですよね。カイが静さんと聞いたときは納得でした。ご本人が持っている強さみたいなものが役に上乗せされる部分があると思うんですけど、そこも魅力的ですよね。静さん自身がフランクな方ですし、アフレコ外で会話していてもリラックスできる素敵な先輩なので。思いの上乗せというところでいえば、ヨシュアとしては受け取りやすかったです。

 

――先ほどお名前が出た谷山さんと、今回アンスラサクスを演じる小山茉美さんについての印象も教えていただけますか?

 

寺島 谷山さんの突き抜け方というのは、この業界でも他に類を見ない音を持っていると、いちファンとしてもいち共演者としても感じていました。谷山紀章からしか聞けない、お芝居における音の使い方というのが毎回出てくるんですよ。ダーク・シュナイダーは、そんな谷山さんにしかできないものを最大限に生かせるキャラクターなので、キャスティングを聞いたときに「そりゃそうだよな」ってなったんですけど、現場に来たら「そりゃそうだよな」以上の仕上がりを見せられました。化け物みたいなダーク・シュナイダーができちゃったというか、「やっぱり谷山さんはすごい」となったんですよね。小山さんに関してはやっぱり、積み上げてきたものの高さと、その下にある深い深いものが計り知れなくて。それは勝手にこちらが感じているだけかもしれないんですけど、それを当たり前のようにアンスラサクスに乗せてこられたので、異次元のすごさを感じました。いや、たとえば、僕がアンスラサクスをやることになったら、あんなにひょうひょうとは演じられないと思います。あのお芝居は小山さんしか作れないですよね。

 

――陳腐な表現ですが、勉強になるところがあった現場でしたね。

 

寺島 おっしゃる通りですね。想像の枠外のものを聞かせていただけました。造形からして想像がつかない、どうやって演じるんだろう、とこちらが考えているところに正解を出してこられたので。唸るばかりでしたね。

 

 

――多様なキャラクターが登場する作品ですが、印象に残るひとりをあげるとすると?

 

寺島 本当に個性的なキャラクターばかりなんですけど、特に(ティア・ノート・)ヨーコさんの大胆なキャラクター作りは衝撃的ですよね。メインヒロインなのに僕っ子ですから。僕っ子が好きな自分としては嬉しいんですけど(笑)。でも、少女なのにセクシーでもあり、伸びしろがあるのに完成度が高くて、ダーク・シュナイダーに振り回されながらもツッコミ役もやって、締めるところも締めるという……。「いや、この人すごすぎない?」と思いました。

 

――しかも、1期と2期で違うヨーコを見せるという意味でも。

 

寺島 2期では、肉体的にも精神的にも成長し、完成度が高まっているというところでさらに魅力が増していますね。いいキャラクターだと思います。ほかのキャラクターたちも、ヨーコが登場するたびに「ヨーコ」「ヨーコ」って名前を口にして、どんどん彼女を大好きになっていきますからね(笑)。

 

――最後に、寺島さんが感じる第2期の見どころを教えてください。

 

寺島 物語において、バトルも世界観も規模が大きくなるところだと思います。侍たちも魔戦将軍も想像できないような技を繰り出してきますし、アンスラサクスがいよいよ動き出し、というところがやっぱり見どころですね。過去のアンスラサクスの所業だけではなく、ダーク・シュナイダーたちとやりあうアンスラサクスの怖さ、を見てほしいと思います。先ほどお話しした、小山さんの「こう来るとは思わなかったな」というお芝居の置き方が素晴らしくて、少し軽い感じが逆に怖いんですよ。圧を出して怖くするのではなく、余裕を持っているのがまた怖い。本当に見どころだと思います。

(取材・文/清水耕司(セブンデイズウォー))