GWにプレイしてほしいSteam新作ゲーム4月のオススメ紹介!新幹線ホラーから和風アドベンチャーまで

アキバ総研をご覧の皆さま、いかがお過ごしでしょうか。ゲーム買いすぎちゃう系ライターの百壁ネロでございます。4月になって新年度も始まり、あっという間にGWとなりました。忙しい日々を送っていた方の中には、GWぐらいはゆっくりのんびりゲームをしたい!という方もいるのではないでしょうか。というわけで今回は、GWに遊ぶのにオススメのタイトルを、3月~4月発売の中から厳選してご紹介していきたいと思います。

1,この車両、なんか変…?異変を探して新幹線から脱出を目指すホラーアドベンチャー「新幹線0号」

皆さま、新幹線に乗ったことはありますか?
GWなどのホリデーシーズンには非常に混み合うことでおなじみの新幹線ですが、ご紹介する「新幹線0号」は、そんな新幹線が舞台のホラーアドベンチャーゲームです。

本作は、これまでにもアキバ総研のSteamゲームレビューで作品を幾度か取り上げてきたゲームメーカー「チラズアート」の新作。PC向けの短編ホラーゲームでおなじみのチラズアートが今回手掛けたのは、奇妙な異変を見つけながら地下道から脱出する、ホラー風の間違い探しアドベンチャーゲーム「8番出口」の影響を受けた、いわゆる“8番ライク”なゲームです。

ふと目が覚めた主人公の青年は記憶を失っており、なぜか新幹線の中にいます。わけもわからず歩き回っていると、ひとりの少年と出会い、“ゲーム”を持ちかけられて……というのが物語のあらすじ。このジャンルの先駆者である「8番出口」はストーリーらしいストーリーが存在しないゲームでしたが、本作「新幹線0号」は短編ホラーを得意とするチラズアートが手掛けただけあって、不思議な登場人物との会話シーンや謎めいたストーリー展開が盛り込まれており、単なる異変探しゲームにとどまらない奇妙な世界観を楽しむことができるのが特徴となっています。

少年と話したあとはいよいよ異変探しの本番開始。「異変があったら後方へ戻り、異変がなければ前進する」「正解なら号車番号がだんだん0号へと近づいていく」というわかりやすくシンプルなルールとなっています。まず目を引くのは、舞台となる新幹線の作り込みの細かさ。ドア、座席、荷物棚、広告、電光掲示板、トイレや公衆電話に至るまで、まさに新幹線そのままのような巧みなグラフィックの作り込みは没入感バツグン。一人称視点での進行も手伝って、ぐいぐいと奇妙な世界に引き込まれていきます。

ネタバレになってしまうため異変の詳細には触れませんが、その種類は派手でわかりやすいものから、細かくて見逃してしまいそうになるものまで、さまざまなものが用意されています。

異変によって気付けるかどうかの難易度の違いはありますが、どの異変もチラズアートならではの“ホラー風味”がある点が本作の大きな特徴であり、醍醐味。派手な異変にはホラー映画のようにビックリする感覚があり、細かな異変には「意味がわかると怖い話」のような、気付いた瞬間にゾクッとする感覚があり、異変によってさまざまなホラー感が楽しめます。

ゲームとしての本作の面白さは、異変のあるなしの判断を間違えてしまうと、スタート時の号車である7号車に戻されてしまうという、いわゆる「ワンミスで全ロス」感にあるといえるでしょう。ついに0号車目前、というところで間違えてしまい、7号車に戻されたときの絶望感たるや、なかなかのものがあります。「いったい何を見逃したんだろう……」という悔しさとともに、チャレンジ精神が燃え上がること必至。異変を見逃したらやり直しというこのヒリヒリ感が、ホラー要素と絡み合い、絶妙な緊張感をゲーム全編にもたらしてくれています。

さて、本作の特徴をもうひとつ。それは……詳しく言うとネタバレになってしまうので伏せておきますが、

ヒントは
新幹線には普通車とグリーン車が存在する」ということ。
これにはなかなか驚かされました……!

大流行中の「8番ライク」スタイルの異変探しを楽しむゲーム性に、ミステリアスな物語とほどよいホラー要素が融合した「新幹線0号」。本作にはエンディングがふたつ用意されているため、両方のエンディングも回収するという、ほどよいやりこみも可能となっています。気になる方はぜひ購入して、奇妙な新幹線からの脱出にチャレンジしてみてください。

  • 「新幹線 0号」(Chilla’s Art)
  • ジャンル:アドベンチャー
  • 2024年3月23日発売
  • 価格:800円(2024年4月20日現在)

2、荷物を詰めて対戦だ! 整理整頓がカギの新感覚オートバトル「バックパック・バトル」

皆さま、突然ですが整理整頓は得意ですか?
かく言う筆者は苦手でして、物が結構散らかってしまうタイプだったりしますが……ご紹介するのは、そんな整理整頓がカギとなるバトルゲーム「バックパック・バトル」です。

本作は、遊ぶたびに異なる展開が楽しめるローグライトと、自動的に戦闘を行ってくれるオートバトルが組み合わさった対戦ゲーム。そんな本作は、現在早期アクセス版が発売中なのですが、それに先駆けて配信されていたデモ版の時点からコアなゲーマーの注目と人気を集め、高い評価を得ていました。その注目を集めていた最大のポイントは、「アイテム整理で相手と戦う」という独自性の高いゲーム性です。

本作は、いわゆる「デッキ構築型」のゲームに分類されます。とはいえ、一般的なデッキ構築型ゲームがカードでデッキを組むのに対し、本作「バックパック・バトル」は、カバンにアイテムを詰めることでデッキを完成させるというシステムになっています。

ゲームをスタートすると、まずはショップ画面から始まります。右側の棚に並んだアイテムの中から

欲しいものをドラッグして、画面左側の自分のカバンにドラッグすることでアイテム購入完了。購入するにはもちろんお金がかかるので、自分の手持ちと相談しながらお買い物をしていきます。

アイテムには、一定時間ごとにダメージを与える武器アイテムや、ダメージを防いでくれる防具アイテム、バフを得るものや相手にデバフを与える食べ物アイテムや体力を回復できるポーションなど、さまざまな効果が備わっています。

とにかく武器をいっぱい詰めれば強いのでは……と思いきや、武器使用にはスタミナを消費するため、武器ばかりを詰め込みすぎるとスタミナが足りなくなってしまい攻撃を失敗してしまいます。つまりバランスのいいアイテム選択が重要となってくるわけで、おサイフ事情との兼ね合いも含めて、頭を悩ませるポイントとなります。さらに頭を悩ませるのは、バックパックの空きスペース。マス目で区切られたカバンの中にたくさんのアイテムをしっかり収納するのはなかなか難しく、考える楽しさが味わえます。

購入したアイテムをカバンに詰め終えたら、いよいよバトルスタート。画面右側にマッチングした対戦相手と対戦相手のカバンが表示され、どちらかの体力が尽きるまで戦闘となります。とはいえ、本作のバトルは完全オートなので、プレイヤーが操作することは特にありません。アイテムにはクールタイムが設定されており、クールタイムが終わるごとに自動的に効果が発動していくので、アイテムが発動する様子やバトルログ、相手のカバンの詳細などをチェックしつつ、バトルの成り行きを見守りましょう。勝利すれば多くのお金が手に入ります。合計10回勝利することが目標で、負けるたびに減っていくトライ残数がなくなってしまうとチャンレジは終了になります。

 

ちなみに、対戦はオンライン形式で相手も自分と同じプレイヤーではありますが、リアルタイム対戦ではなくサーバーに保存されたデータで戦う非同期型のシステムになっているため、たとえば「夜中だから人がいなくてマッチしない」なんてこともなく、マッチングの待ち時間もゼロという快適なプレイが楽しめるのはうれしいポイントです。

バトルが終わると再びショップへ。そしてまたお買い物をしてカバンに詰めて……というのを繰り返していくのが本作の基本的な流れとなっています。つまり、本作のバトルはショップ画面でのアイテム選択とカバンに詰め込むことがすべてなのです。

なおアイテムの中には、特定の向きや位置に並べることでシナジーが発生するものがあったり、特定のアイテムと隣接させることで強力なアイテムに合成される組み合わせがあったりと、頭を悩ませる要素がたくさん。しかも、アイテムはサイズがまちまちなので、くるくる回転させたりしつつ、カバンの中に思惑どおりに配置することにも気を配らなければいけません。このあたりのプレイ感は非常にパズル的で、パズルゲーム好きの方には刺さりまくるのではないでしょうか。

本作には、記事執筆時点で4種類の「クラス」が用意されています。
クラスとはいわゆる職業的なもので、クラスごとにそれぞれ初期のバッグとアイテムや、ショップの出現アイテムが異なります。さらに、クラスによって得意な戦い方も変わってきます。

たとえば「リーパー」なら相手に毒などのデバフを与える戦い方が得意だったり、「パイロマンサー」なら炎アイテムを使うことが得意だったりという具合。さらに、ラウンドの途中で登場する専用アイテムを購入することで、そこからさらにサブクラスも発生します。このように、クラスを変えることでまったく異なる戦略が体験できる点が本作の醍醐味。何度でも繰り返し楽しめる作りとなっており、どっぷりとハマり続けてしまうこと必至です。

カバンにアイテムを詰めて戦うパズルのようなユニークなシステムに、サクサク遊べるお手軽なオートバトル、そしてランダム要素がうまく融合した、高い中毒性の「バックパック・バトル」。記事執筆時点ではアーリーアクセスとなっており、今後はフレンドとのリアリタイム対戦が追加されるなどさまざまなアップデートが予定されています。見るよりも遊んでみたほうが面白さもわかるゲームであるため、気になる方はまずはデモ版で体験してみるのもいいかもしれません。

  • 「バックパック・バトル」(PlayWithFurcifer)
  • ジャンル:オートバトル
  • 2024年3月8日発売(※アーリーアクセス)
  • 価格:1,700円(2024年4月20日現在)

3,和とドット絵の美しき融合!憑依して戦う2Dアクションアドベンチャー「雨魂 – AMEDAMA -」

突然ですが、「和」なゲームっていいですよね。西洋ファンタジーなどの世界観とはまた違った独特の情緒がありますが、ご紹介する「雨魂 – AMEDAMA -」はそんな和風の世界観の作品です。

「雨魂 – AMEDAMA -」は、和な世界観を舞台にした横スクロールアクションアドベンチャーゲームです。和とドットグラフィックが融合した独特の2D表現が大きな特徴となっており、新しさもありながらどこかレトロゲーム風の懐かしい雰囲気も感じられる独特のビジュアルが目を引きます。

まずは、そんな本作のストーリーをご紹介。

舞台は江戸時代末期。ある雨の夜、兄妹が営む番傘屋に突如、謎の男たちが現れて、妹の目の前で兄は殺害されてしまいます。

魂だけになってしまった兄「ゆうしん」は、他人の肉体に憑依しながら戦闘や探索を重ね、妹「ゆい」の行方と、事件の真相を追い求めます。はたして、兄は魂が消えてしまうまでの七日間で、妹を助けることができるのでしょうか……。

「雨」と「魂」をキーワードに、どこか陰鬱で謎めいた独特の空気が漂う物語が展開します。その空気感に和の雰囲気が融合し、ぐいぐい引き込まれる世界観が形成されているように感じます。

先述の通り主人公・ゆうしんの目的は、行方がわからなくなってしまった妹・ゆいを探し、助け出すこと。
そのためにプレイヤーは、ゆうしんを操作して街を探索し、手がかりを手に入れなければなりません。
しかし、謎の人物に殺されてしまったゆうしんは、ゲーム開始直後は魂の姿であり、肉体を持たないため誰かと会話をすることや戦うことができません。そこで重要となるアクションが「憑依」。ゆうしんは、近くにいる人間や動物の肉体に憑依してその体を借り、操作することができるのです。動物に憑依しても人間との会話はできませんが、戦闘をすることはできるようになります。たとえば、カエルとなって犬を気絶させ、犬に憑依してから次に弱った人間に……といった具合。肉体から肉体へ、どんどん憑依の輪が続いていく感覚は、独特の面白さがあります。

ユニークなのは、憑依した対象によって使える技や体力・攻撃力などのステータスが変化するという点。カエルより犬が強く、犬よりも老人が強く、老人よりも若者のほうが強い……といったように、肉体を乗り変えることでアクション面での攻略もしやすくなります。

また、街を歩く町人や商人、うろつく動物たちなど、一部を除いたほとんどすべてのキャラクターに憑依できるのもおもしろいポイント。より強い肉体を求めて街をさまよい歩いていると、なんだか自分が本当にこの世のものではない「魂」になったような奇妙な気分になっていきます。これは、まさに本作でしか味わえない唯一無二のゲーム体験ではないでしょうか。

バトルは、弱攻撃・強攻撃、ジャンプ、防御、そして素早く移動するステップを駆使して行います。ただし、ダッシュや防御など特定のアクションを行う際には「集中」と呼ばれるゲージが減少していき、集中が尽きると行動不能になってしまうためゲージ管理には要注意。そんな戦闘のキーになるのは、防御中に敵から受けた攻撃を打ち払って相手に攻撃を与えるカウンター技「霧雨返し」。うまく狙っていきたいところですが、防御して構えている間は集中ゲージがぐんぐん減ってしまうので、できるだけ敵が攻撃する寸前を見切って発動する必要があります。総合的に見て、バトルはなかなか歯ごたえがあり、手に汗握る難易度となっている印象でした。ちなみに、難易度は4段階から選べるので、自分の腕前に合わせて設定することをオススメします。

本作のもう一つの大きな特徴としては、自分の行動によってストーリーが変化するという点です。魂が消えてしまう期間である七日間は繰り返されて、プレイヤーの選択によって物語に変化が発生。憑依した主人公が誰と会話をするか、何に介入するかなどによってストーリーが分岐する仕組みになっています。このあたりが、本作が単なるアクションゲームではなくアクション“アドベンチャー”である所以。妹を助けてこのループから脱出するために、誰に憑依して何をするべきなのか、じっくりと頭を悩ませることとなります。ちなみに、「肉体図鑑」や「魂奥義図鑑」、「食べ合わせ図鑑」といったコレクション要素もたっぷり用意されているので、七日間のループを繰り返しながらこれら図鑑のコンプリートを目指すという楽しみもできるのがうれしいポイントです。

和とドット絵が融合した独特のビジュアル表現、肉体に憑依しながら進む唯一無二のシステム、歯ごたえのあるバトル、自分の行動で物語が分岐するアドベンチャー要素と、数々の魅力が詰まった「雨魂 – AMEDAMA -」。アクション好きにもアドベンチャー好きにもオススメしたいタイトルです。

  • 「雨魂 – AMEDAMA -」(IzanagiGames)
  • ジャンル:アクション
  • 2024年3月22日発売(※アーリーアクセス)
  • 価格:2,490円予定

新作のオススメSteamタイトル、気になるものはあった?

というわけで、Steamのオススメ新作タイトルをご紹介しました。
今回は、異変探しホラーアドベンチャー、パズル風味なローグライト対戦ゲーム、和風アクションアドベンチャーと、ジャンルも雰囲気もまったく違う3タイトルをチョイスしてみました。連休のおともに、気になったタイトルがあった方はぜひチェックしてみてくださいね。

百壁ネロ

百壁ネロ

ゲーム買いすぎちゃう系ライター。現在積みゲー300本以上。小説家でもあります。著作は「轟運探偵の超然たる事件簿 探偵全滅館殺人事件」(星海社)、「ゆびさき怪談 一四〇字の怖い話」(PHP研究所)など。
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