時代、世代を超えて愛され続ける伝説的少女漫画「美少女戦士セーラームーン」が、25年の時を経てスクリーンに帰ってくる!
ちびうさとエリオスの初恋とセーラー戦士の成長を描いた〈デッド・ムーン〉編が前後編で映画化! 劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」《前編》が2021年1月8日(金)から、後編が2021年2月11日(木・祝)より全国公開される。
本作においてセーラー戦士たちの敵として立ちはだかるのが、デッド・ムーンサーカス団。その尖兵として登場するのが、サーカスのペットから人間に姿を変えられたアマゾン・トリオの3人だ。今回、アキバ総研では、アマゾン・トリオのタイガーズ・アイ役・日野聡さん、ホークス・アイ役・豊永利行さん、フィッシュ・アイ役・蒼井翔太さんにインタビュー!
個性的すぎる3人をいかに演じたのか……。撮りおろしPhotoと一緒にお楽しみください!!
ーー役が決まったときの気持ちを教えてください。
日野 最初のTVアニメ版「美少女戦士セーラームーン」を、幼少期に妹と一緒に観ていたんです。なかでも「デッド・ムーン編」は人気のお話だったので、そこに登場するアマゾン・トリオのひとりとして参加できることへの喜びは大きかったです。実際に発表されたときは、家族や親戚からも連絡が来ました。
タイガーズ・アイ役・日野聡さん
豊永 「美少女戦士セーラームーン」という、名前を知らない人がいないくらいの人気作品に、アマゾン・トリオとして参加させていただけることに、まずビックリしましたし、(大きな声で)「マジで!?」ってマネージャーさんに言いました(笑)。
それが率直な感想ですけど、役者という観点から言うとアマゾン・トリオが非常に人気のあるキャラクターで、<デッド・ムーン編>でも大きなフックになる3人組。そして口調に非常にインパクトがあるので、役者としての新しい挑戦を、この超ビッグタイトルでさせていただけることが、本当にありがたいと思いました。
それと僕の奥さんがセーラームーンの大ファンなので、ホークス・アイになったよと言ったら、奥さんも僕と同じように「マジで!?」と返してくれて、そこから本当に大好きなんだなというのがわかるくらいの、早口で濃厚なセーラームーン話をしてくれました(笑)。
蒼井 僕にとって「美少女戦士セーラームーン」は青春そのものでして、何度彼女たちに助けてもらったか、というくらい思い出深い作品なんです。いろいろなインタビューで、好きなアニメを聞かれることがあるんですけど、「美少女戦士セーラームーン」は外せない作品で、その中で、誰が一番好きかと聞かれたら、絶対に「フィッシュ・アイ」と答えていたんです。
だから、アマゾン・トリオのオーディションがあることが衝撃だったし、その話をいただけたことがすごくありがたかったです。オーディションを受けさせていただけることがこの上ない奇跡に近い瞬間で、心臓がバクバクしていました。どのオーディションも緊張はするけど、「美少女戦士セーラームーン」は僕の人生を変えたきっかけでもある作品なので、こんなにもバクバクするものかと、自分でも驚いたくらいで。
それだけに合格をいただいたときは、びっくりしたと同時に大泣きでした。自分の周りにもフィッシュ・アイが好きなことは言っていましたので、発表されたときは、当時の友達からいっせいに連絡が来たんですよ。「ちょっと! どういうこと?」って(笑)。その友達のひとりは「夢って本当にかなうんだね」と送ってくれて、とてもありがたいことだし、本当に奇跡に近いことだなと思いました。
ーー多くの人に愛される「美少女戦士セーラームーン」の魅力は、どこにあると思いますか?
日野 当時、女性のヒーローもの自体があまりなかったと思いますし、セーラー服の戦闘着に変身するというところなど、いろいろと衝撃を受けたんですよね。僕が観ていたのはアニメなんですけど、妹とともに、作品の世界にどんどん入り込んでいった記憶が鮮明に残っています。日本だけではなく、世界中の女性や男性、大人から子供たちまでたくさんの人に夢を与えている作品だなと、当時から思っていました。
豊永 「美少女戦士」というカテゴリー/ジャンルを作り出した金字塔だと思いますし、個人的には「なかよし」(講談社)で連載されていたことが驚きで、作品のテーマも大人が読んでいても「重っ」ってなる瞬間があるんです。だから当時原作コミックを読んでいた、いわゆる思春期だったり、ちょっと背伸びしたいお年頃の子には、すごく深く突き刺さる作品だったんじゃないかなと、今振り返ると思うんですよね。わかりやすいところだと、うさぎちゃん(セーラームーン/月野うさぎ)と衛さん(タキシード仮面/地場衛)との関係性とかですね。女子なら、誰もが一度は「まもちゃんと付き合いたい」と夢を抱く時期もあったんじゃないかなって思うんですよね。
ホークス・アイ役・豊永利行さん
日野 どこから見てもタキシード仮面ってカッコよかったんですよね。
豊永 そう! カッコよかったんです! あんなバラが似合う人がいるのかっていう(笑)。すごくスタイリッシュだった。
それに、男子も女子も「ムーン・プリズムパワーメイクアップ!」ってやっていた時期があったなと。それはとても印象深く残っています。
蒼井 日野さんがおっしゃっていたところだと、当時TVで放送されていたものって主役の子がひとりで変身する魔法少女ものが多かったんですが、「美少女戦士セーラームーン」では変身する子が何人も出てきて、しかもその変身シーンがすごく素敵というのが、魅力のひとつだったと思います。
それと豊永さんがおっしゃっていた、思春期の乙女心というところも魅力だと思います。中学生の女の子、それこそ思春期の子たちで、まだまだやりたいことや夢もたくさん出てくるという時にうさぎちゃんはルナと出会い、そこから星を守るために生死をかけて戦うという運命(さだめ)に巻き込まれるんです。
その中で、特に衝撃を受けたのが、「セーラー戦士死す!悲壮なる最終戦」という驚くべきタイトルの初代「美少女戦士セーラームーン」第45話でした。このエピソードは社会的にも話題になったんですが、かわいいセーラー服を着た中学生の女の子が、パワフルな技を使って戦い抜いた結果、死んでいってしまう。重いですよね。歳を重ねた今改めて見ると、自分たちもちょっとしたことでへこんだりしてしまうし、迷ったり、挫折したりしてしまうけど、逃れられない重い運命に立ち向かっていく彼女の立ちの姿を見ると、自分はこんなことで落ち込んではいけないなって教えられますね。こういうところが、どの世代の方が観てものめり込める理由のひとつなのかなと思いました。
フィッシュ・アイ役・蒼井翔太さん
ーー自身が演じたキャラクターの役作りについて、意識したことは、どんなことですか?
日野 個人的にはかつてのTVシリーズのアマゾン・トリオを演じられている先輩の演技を参考にさせていただきつつ、自分の中で思い描いたタイガーズ・アイをどう表現していこうかということを考えました。
ところどころクールめなオネエ表現も出していこうと思ったんですけど、オーディションの時から、音響監督さんに受けていた演出指導が「もっとオーバーに! もっと変な風に!」だったんです(笑)。だからクールというよりは、若干オーバーなオネエ口調は意識していましたね。それでも「隙あらばクールに」と思っていたんですけど、それをすると「そうじゃないよね?」っていう空気が流れるんですよね。
豊永 ミラーハウスで増えたタイガーズ・アイが面白くて(笑)。日野さん最高!ってなってました。
蒼井 もう、大好き!
日野 だから監督や音響監督さん含めて、みなさんが思い描いているタイガーズ・アイに近づけられるようにというのは、一番意識していました。
豊永 僕も日野さんと同じで、TVシリーズを観させていただいて、その芝居のニュアンスなどを自分の中に取り入れつつ、大前提として豊永らしさをどこで出すかということを考えていきました。
ホークス・アイは、まこちゃん(スーパーセーラージュピター/木野まこと)と接点が深いんですけど、そこにはただ相手をハメようとするだけではない、別のメッセージ性も込めなければいけなかったんです。つまり、まこちゃんに、いかに夢というものを改めて考えてもらうかというところなんですけど、そういう意味で台詞のどこに重きを置くか悩みましたね。だから、今回は変な、ゆがませた感情の作り方というよりは、鷹から人になった経緯も含めて、わりと無垢というか真っ直ぐな作り方をしようかなと思いました。
ただ、観ている方にはどこか怪しさも感じてもらいたかったんですけど、そこはおそらくオネエ口調が何とかしてくれるだろうと。怪しさはそこで出そうというアプローチでした(笑)。
蒼井 僕も、日野さんと豊永さんのおっしゃった通りなんですけど、当時のTVアニメで演じられた石田彰さんのフィッシュ・アイが大好きなんです。でも、だからこそ石田さんが演じられたフィッシュ・アイのモノマネをしたら、キャラクターにも失礼になると思ったんです。石田さんが演じられていた大好きなフィッシュ・アイに誠実に、今回の劇場版だからこその──オーディションで合格をいただいたからこその、蒼井翔太にしかできないフィッシュ・アイを心がけてやらせていただきました。
この3人でアフレコもさせていただけたんですけど、タイガーズ・アイとホークス・アイがいたからこそ、彼らにも背中を押してもらい、僕もフィッシュ・アイになれたのかなって思います。
ーー監督からは何か要望がありましたか?
蒼井 僕も不安で、それが出てしまったのか「思い切りやってください」と言っていただきました。でも自分としても、フィッシュ・アイはかわいくなければ意味がないと思ったので、演じていてかわいくないなと思ったら、もう一度やらせてくださいとお願いをした記憶があります。
ーーでは最後に、3人が好きなセーラー戦士を教えてください。
日野 レイちゃん(スーパーセーラーマーズ/火野レイ)の苗字って「火野」じゃないですか。自分も「日野」なので、字は違うけど子供ながらにすごく親近感を持っていました。で、まさかのタイガーズ・アイをやらせていただき、火野レイちゃんと戦えるというところで、奇跡的なご縁を感じましたし彼女にとどめを刺してもらい本望でした(笑)。
豊永 ともすれば、ものすごいドM発言ですけど(笑)。
日野 (笑)。なので推し戦士はレイちゃんですね。もちろん、うさぎちゃんは王道のメインヒロインなのですごく好きですし、ショートカットも好きなので亜美ちゃん(スーパーセーラーマーキュリー/水野亜美)も好きなんですけど、やっぱり火野レイちゃんで!
ーー全部あげていくつもりですね(笑)?
日野 気づきましたか……(笑)。
豊永 僕もみんな好きなんですけど、特にスーパーセーラージュピターがいいですね。僕がポニーテールが好きというのもあるんですけど、まこちゃんの快活で竹を割ったような性格や、怪力と言われているところも好きですね。
今回の劇場版前編はちびうさちゃん(スーパーセーラーちびムーン/ちびうさ)が軸になっていく展開になっています。ちびうさちゃんの大人になりたい葛藤を見ていると、すごく健気で、本当に守ってあげたくなります。そういう感情を抱く時点で自分も歳をとったなと思いますけど、どうしても保護者目線、父親目線の感情が芽生えてくるんですよ。そういう発見があったというところで、ちびうさちゃんも好きです。「好き」にもいろんな種類があることを教えてもらいました。
日野 あとは?
豊永 家を出る時に玄関で、奥さんが「マーキュリーはかわいい! マーキューリーはかわいい!」と2回言ってたんですけど、個人的にはスーパーセーラーヴィーナス(愛野美奈子)もズルいんだよなぁ。ヴィーナスもいいですね!
ーーしっかりメインの6人の名前があがりましたね(笑)。
蒼井 僕はやっぱり亜美ちゃんが好きなんですよ。今回、それぞれが対峙するキャラクターが、偶然にも推しキャラなんです!
豊永 みんな、それぞれ好きな人と戦っていたんだ!! (笑)
ーーそれもすごいですね。蒼井さんは亜美ちゃんのどこが好きですか?
蒼井 亜美ちゃんってすごく頭がいいので、頭がそんなによくない僕としては当時も今も憧れがすごくあるんですよ。だから亜美ちゃんみたいにやさしくも厳しく、包み込む水のような感じの人になりたいなってずっと思っていたんです。
それと、どの戦士にもそれぞれ個性的な変身シーンがあって、そこが見どころだと思うんですけど、なかでも亜美ちゃんの変身シーンは本当に素敵で、虫眼鏡を持ってモノマネをしていたんです(笑)。あと、僕もレイちゃんが好きです。
日野 あの巫女姿がいいんだよね。
豊永 レイちゃんの変身シーンって下からなめるじゃないですか。あれで真っ赤なピンヒールが出てきたときに、これは男はやられちゃうよって思ったなぁ。グッときてしまいました。
この後も、セーラー戦士の話で盛り上がる男性キャストたち……。そんな、魅力たっぷりのセーラー戦士たちが活躍する劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」《前編》は、2020年1月8日(金)から全国公開になります!
(取材・文・写真/塚越淳一)
【作品情報】
■劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」《前編》/劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」《後編》
公開日:前編2021年1月8日(金)、後編2021年2月11日(木・祝)
<キャスト>
三石琴乃 金元寿子 佐藤利奈 小清水亜美 伊藤静 福圓美里 野島健児 皆川純子 大原さやか
前田愛 藤井ゆきよ 広橋涼 村田太志 中川翔子 松岡禎丞
渡辺直美 菜々緒
<スタッフ>
原作・総監修:武内直子
監督:今千秋
脚本:筆安一幸
キャラクターデザイン:只野和子
アニメーション制作:東映アニメーション/スタジオディーン
配給:東映
<主題歌>
「月色Chainon(シェノン)」
ももいろクローバーZ with セーラームーン(CV:三石琴乃)&セーラーマーキュリー(CV:金元寿子)&セーラーマーズ(CV:佐藤利奈)&セーラージュピター(CV:小清水亜美)&セーラーヴィーナス(CV:伊藤 静)
作詞:白薔薇sumire 作曲:小坂明子 編曲:月蝕會議