「ケメコ」「キルミー」「キンプリ」──Twitterを騒がせた「伝説のギャグアニメ5選」!【アキバ総研ライターが選ぶ、アニメ三昧セレクション 第2回】

世は依然不安な状況が続いていますが、放送中断となっていた4月クールの作品が今夏より徐々に放送を再開し、にぎわいを取り戻しつつある今日このごろ。

個人的に注目しているノイタミナ枠の「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」は、作中に登場する”神戸財閥”が管理している(という設定の)Twitterアカウントがノイタミナ、ソニーミュージック、「富豪刑事」公式の各アカウントとUnicodeおよびシーザー暗号を使ってやり取りし始め、その内容をチェックするのが毎日の楽しみです。

さて、先日スタートした「アキバ総研ライターが選ぶ、アニメ三昧セレクション」企画。

今回はTwitterのタイムラインを騒がせてきた数々のギャグアニメの中から、2008年~2019年に放送された、少し懐かしさを感じる5作品を紹介します。それぞれジャンルは全く異なりますので、ぜひこれを機に今まで見たことがなかった作品もチェックしていただければと思います。

 

■ヒナまつり

まずは2018年4月クールに放送されていた「ヒナまつり」。

この物語は大好きな壺に囲まれながらワインを楽しんでいた独身の若きインテリヤクザ・新田のもとへ、突然、謎の物体に入った(拘束された)少女・ヒナが現れるところから始まります。新田は見なかったことにしようとしますが、念動力が使えるヒナは、壺を割る、新田を痛めつけるなどやりたい放題。そして新田はヒナに衣食住を提供せざるをえない状況となり、学校にも「力を使わないこと」を条件に通わせることにするのですが……。

 

ヒナを処分するために組織から派遣されてきた少女、巻き込まれ体質で夜には中学生ながらバーテンダーとして働くヒナのクラスメイト、さらに愉快なヤクザ仲間たちが新田とヒナの日常生活をかき乱し、画もセリフも体感としては8割ぐらいがギャグ(当然ながらヒナたちはボケようとしてボケているわけではない)。

個々のキャラクター性に加え、「能力持ち少女×独身ヤクザ」という組み合わせがとんでもない相乗効果を生み出し、放送中のタイムラインの流速たるや……。「流れてくる実況だけを見ていても笑えた」のが「ヒナまつり」です。

ヒナが旧友(?)と再会したり、新田とヒナが本当の親子同然の関係になっていったりというハートフルコメディ的側面もあるため、少々シリアスなシーンも出てきますが、笑いだけでなく癒しも求めている人にぜひ見ていただきたいと思います。

 

序盤のおすすめは、第2話でのやたら大げさなあっち向いてホイ対決や、バーのシーン。この作品を体現したタイトルのエンディングテーマ「鮭とイクラと893と娘」も、新田を演じる中島ヨシキさんのイイ声も相まって最高の仕上がりです。

 

 

■ケメコデラックス!

続いて、「ケメコデラックス!」。2008年10月クール放送のアニメで、当時は今ほどTwitterユーザーが多くなかったと思うのですが、その中でもひそかに盛り上がっていた作品です。

 

“ケメコ”を名乗る人型ロボットが主人公の小林三平太に結婚を迫る場面から始まるお話で、ケメコの中の人であるエムエムほか、美少女が多数登場するため「学園生活モノ」「SFチックな美少女アニメ」といったところでしょうか。ただ、そのケメコというキャラクターがビジュアルからして完全にぶっ飛んでいるため、ギャグアニメのひとつとしておすすめします。

 

三平太の部屋に居候し、2人をデートさせようとする三平太母など周囲の存在もあって1日中三平太を追いかけ回しているケメコ。三平太の通う高校にも「1日中敵から守るため」という名目で教育実習生としてやって来て、学校でも追いかけ回したり、プールを使って勝手にプール実習を始めたりと好き勝手にふるまいます。

ケメコによるエンディングテーマ「プリップリン体操」も含め、美少女とぶっ飛びキャラの見事な共存具合には感服します。

監督を務めるのは「ガールズ&パンツァー」で知られる水島努さんです。水島監督というとギャグアニメだけでなく、「SHIOBAKO」や「ジャングルはいつもハレのちグゥ」など「踊るED演出」にも定評のあるクリエイターで、本作にはそんな水島イズムがギュッとつまっています。

 

 

■プリプリちぃちゃん!!

2017年4月から12月まで放送されていた「プリプリちぃちゃん!!」も忘れてはいけません。

 

おいしいスイーツのために地上にやってきた地底人・ちぃちゃんが、食べすぎで地底に帰るための穴に引っかかってしまったところを中学生の夕花に助けられ、過去に夕花が助けた宇宙人のうっちゃんとともに3人での同居生活がスタート。

「うっちゃんの発明品を使って夕花に恩返しをしたいちぃちゃんが毎話やらかす」というのが主なギャグ要素かつ見どころで、主人公の佐伯夕花を麻倉ももさんが演じていたこともあってか、「アイカツ!」などと並んで多くの実況ツイートがタイムライン上を流れていた印象があるのですが、そうは言っても「ちゃお」連載マンガ原作の女児向けアニメ。人によってはあまり触れる機会がない作品のため、今回あえてピックアップしました。

 

うっちゃんと、地底からちぃちゃんを探しに来たジョーくん、同じく地底人ののんちゃんはわりかしまともなキャラクターなのですが、とにかくちぃちゃんがすごい。恩返しどころか迷惑かけまくり(それがギャグコメであるゆえんなのですが)。ただ、不思議と見ていてイライラしない愛嬌も持ち合わせており、そのドタバタっぷりが楽しい作品です。

放送話数は多いですが、1話12分とさくさく見られるのもポイントです。

 

 

■キルミーベイベー

偶然にもここまでのご紹介が「ぶっ飛びキャラが主人公の家に居候している」3作品になってしまいましたが、「キルミーベイベー」(2012年1月クール放送)は友達(?)同士の日常を描いた作品。放送終了後からじわじわと人気を伸ばしました。

登場キャラクターが少ない(全13話で出演した声優はたった6人)ため、なぜか普通に学校に通っている殺し屋の少女・ソーニャと、その友人を自称し彼女につきまとうおバカ娘・折部やすなのかけ合いをメインに、漫才をアニメで見ているかのようなテンポ感でストーリーが進行していきます。

 

ソーニャと同じ組織に所属するのんびり屋さんな暗殺者・呉織あぎりを前にすると、やすなもツッコミに回ることがありますが、基本はやすながおバカな言動を繰り出し、そこにソーニャが突っ込むという構図。ソーニャはおバカなやすなに絡まれ続けているせいで殺し屋感ゼロに。

 

この作品がタイムラインを騒がせていたのは、あのオープニングテーマによるところも大きいかもしれません。「どしたのワサワサ」というフレーズに聴き覚えがある方も多いかと思いますが、これはオープニングテーマ「キルミーのベイベー!」の冒頭に出てくる一節「どしたのワサワサッ?」。小気味いい軽快なサウンドがクセになる楽曲です。視聴の際は主題歌もあわせてワサワサしましょう。

ちなみに作詞・作曲を手がけたのは、ゲームミュージッククリエイターとしても知られる松前公高さんが所属するテクノユニット「EXPO」という点もポイントです。

 

さあ、今すぐワサワサ!

 

 

■KING OF PRISM

最後に紹介するのは、応援上映でも話題になった「KING OF PRISM」シリーズです。

女児向けアニメ「プリティーリズム・レインボーライブ」のスピンオフ作品にあたり、これをギャグアニメに分類してよいものか一瞬迷いましたが、「いい曲を聴きながらぶっ飛んだ演出も楽しめる」というのは「キンプリ」ならでは。

 

ストーリー自体はプリズムスターを目指す男の子たちの熱い青春物語で(ただしやたら脱ぐ)、その男の子たちがフィギュアスケートをしながら歌い踊る「プリズムショー」がギャグアニメとしての見どころです。もちろん普通にパフォーマンスを楽しむこともできるショーもあり、今年1月には「KING OF PRISM ALL STARS -プリズムショー ベストテン-」というプリズムショーのシーンだけを集めた総集編が劇場公開されたことからも、そのプリズムショー自体の見ごたえも文句なしであることはうかがえるのですが、おそらくキャラクターをまったく知らない状態で見ても笑えるぶっ飛び具合です。

 

2019年4月クールにテレビ放送されていた「KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-」で特におすすめしたいプリズムショーは、ファン投票でも上位にランクインした第4話での十王院カケルによる「Orange Flamingo」と、第6話での鷹梁ミナトによる「Sailing!」。

「Orange Flamingo」ではマダガスカルの動物たちとともに踊るカケルの背後で天然ガスが噴き出し、お札が宙を舞い、「Sailing!」では太平洋並みの広い心を持つミナトが大海原からおいしいアラカルトを提供してくれます。

 

というわけで、ガハハと大笑いすれば免疫力もアップすること間違いなし! このコロナ禍をギャグアニメで乗り切りましょう!

 

<ライター紹介>

友安美琴

ともやすみこと

編集・執筆。主にアニメ関連のパッケージ封入ブックレットや「Animelo Summer Live」などのオフィシャルパンフレットを担当。アニメ&ラジオ一筋だった小学校~高校時代を経て、最近は某アイドルアニメをきっかけにドラマ、舞台、俳優、アイドルもチェック中。