アキバ総研をご覧の皆様、はじめまして。畑史進(はたふみのぶ)でございます。
ジャンクハンター吉田からは「ちゃむうぇい☆ちゃいな」というホーリーネーム(?)をいただいているのですが、名付け親本人をはじめ世間的にもインターナショナル的にも問題があるので永久凍結しております。
普段はTVゲームや「スター・ウォーズ」を中心としたコラムを書かせていただいており、今回アキバ総研さんから「吉田さんと一緒にぜひ!」とお声がけいただいていたのですが、そのテーマはなんとXbox!
恥ずかしながら私は生粋のプレイステーション大好きっ子でして、サブに任天堂ハード、Xboxは「360」しか購入していないというお粗末ぶりで、完全に専門外でございます。
わかっております。この場はXboxが大好きな方々が集まる場です。ただ、今回は「プレイステーション大好きっ子から見たXbox」ということでお話をさせていただければと思います。
Xboxの魅力って何なのか?って聞かれたら「昔はあったけど、今はほとんどどない」。こういうと角が立ちそうですが、完全にないというわけじゃありません。たとえば「Xbox ONE」のいいところは、一部タイトルではあるけど、前世代のソフトとの互換性があったりWindows PCとローカルで繋げることができたり、なぜかHDMI入力が装備されていてXbox ONEの4Kアップスケール機能を使ってノーマルのPS4や、Nintendo Switchでも4Kで遊ぶことができたり、インターネット生放送ができたりしちゃう。正直に言うと「お金が余っていれば」Xbox ONE X欲しいですよ!
でも4Kモニターがないから、その性能を100%発揮することができない! 30年続く未曾有の不景気のせいで、買うことすらままならないという地団駄を踏んでいるんですよ。
はい、あくまで「お金が余っていれば」です。2020年、いよいよ次世代のハードが発売されるという年に、次世代のXboxを買いますか?と聞かれたら「お金が余っていれば買います」という程度です。
なぜなのか? Xboxが個性を失くしちゃったからです。
さっきあげたXbox ONEの魅力って、あくまで機械に備わった機能の魅力であって、ゲームハードにおける個性とは少し違うわけです。ゲームハードはそれぞれが提供するゲーム体験の違いから個性を作ることができると僕は考えるんです。
PS4は周辺機器の「PSVR」が必要だけどVRゲームが遊べる、Nintendo SwitchはJoy-Conを使って他のハードでは遊べないユニークなゲームができる、Xbox ONEは他の2機種よりも値段は高いけどその分、高性能。だけどXbox ONEでしか遊べないゲーム体験というのがない。
「360」時代にはあった。「ONE」も最初こそあったけど、切ってしまった。はい、前回の記事で吉田さんが最後に触れた「Kinect」ですよ。僕はこれが一番好きでした。Xbox360が発売されてしばらく経った後に、マイクロソフトがKinectというデバイスを発表した時、頭の片隅にあった「レッドリングオブデス」問題なんかそっちのけで、ゲームセンターのような体感型アトラクションゲームが自宅でも遊べるんだ!という期待に胸をふくらませたものですよ。秋葉原のヨドバシには「体がコントローラーだ!」なんてでっかい広告が貼られてね、いつか買おうと心に決めていたものです。
そんなある日、突然ジョージ・ルーカス御大が「Kinect スター・ウォーズ」の発売を発表するとともに、特別なカラーリングが施された本体同梱版まで発売する、と言うじゃないですか。これはもう「スター・ウォーズ」ファンである以上買うしかない!
こうして僕が意を決して買った最初のXboxが「Kinect スター・ウォーズ リミテッド エディション」なわけですが、発売が発表されたその日に、近くのゲームショップから家電量販店を渡り歩いて予約を試みると「スター・ウォーズ仕様のXbox360ですか? そんなものあるんですか?」なんて逆に聞かれるほど……。結果店頭で買うことはできなかったのでネット通販で購入することに。発売日に遅れることなく無事に入手することができましたけどね。
すぐさま開封すると、「R2-D2」を意識した本体の外観から、「C-3PO」をモチーフにしたコントローラー(すぐに電池の接触不良になった)、本体のオン/オフや、ディスクの出し入れ時には「R2-D2」のかわいらしい声がするし、この声に合わせるかのようにKinectのデバイスが起動と同時に首を上下に動かすものだから「R2」がそこにいるかのように錯覚するわけですよ。ゲームハードを買ってここまで興奮した体験をしたのは、後にも先にもこのXbox 360のスター・ウォーズエディションのみ。
と前置きが長くなりましたが、それほどまでにXboxのKinectが好きだった僕がおすすめしたい、マストプレイなKinectゲームをいくつかご紹介しましょう。
Kinect スター・ウォーズ
リミテッドエディションを買ったくらいだから、このタイトルをあげるのは当然。本作には一応ジョージ・ルーカスが監修したストーリーモードがあって、舞台は「エピソード1 ファントム・メナス」と「エピソード2 クローンの攻撃」の間。オビ=ワン・ケノービの髪の毛とひげが随分伸びていることから、ほぼ「エピソード2」に近い時期だと推測できます。
プレイヤーはパダワンとなって、ヨーダからフォースのトレーニングを受けるんだけど、修行中に「通商連合」のドロイド軍が襲いかかってくる。プレイヤーはライトセーバーとフォースはもちろんのこと、「エピソード6 ジェダイの帰還」でルークたちが乗ったようなスピーダーバイクや、スターファイターに乗っての宇宙戦まで追体験することができました。
今となっては「スター・ウォーズ」のVRゲームがいくつか出ているので見劣りはするけど、当時TV画面の前で自分が右手を振るだけでライトセーバーを扱い、左手でフォースを使って攻撃、ジャンプしたり、体を右に傾けたりして回避行動をとって反撃することができるなんて夢のようでした。
余談ですが、このゲーム作品だけバトル・ドロイドがエレクトロ・スタッフという武器を持って戦いを挑んでくるという珍しいシーンが見られるので、気になる人は買いましょう!
ほかにも、ダース・モールやドゥークー伯爵、ダース・ベイダーと連続して戦うモードや、「エピソード1」で少年時代のアナキンが臨んだポッドレース、「エピソード6」でジャバの宮殿に登場したラン・コアになりきって、ゴジラのようにタトゥイーンの街を暴れるモードなんてのもあって、バラエティに富んだ内容の作品だったわけですよ。
その中でも忘れちゃいけないのが、「ギャラクティックダンス」っていうマニアでも目をひん剥くようなモード。「『スター・ウォーズ』にダンスシーンなんかなかったろ!」ってツッコミを入れたくなる気持ちもわかりますがね、「エピソード6」にあったじゃないですか。ジャバの宮殿で楽しそうに踊るシーンが。
このモードでは、プレイヤーがハン・ソロやランド・カルリジアン相手にリズムに合わせて画面に表示されたポーズを取るだけという「なんちゃってダンス対決」を楽しむわけなんですが、ランドやハンはかろうじてわかるけど、ステージを進めていくと、ボバ・フェットやベイダー、果ては皇帝パルパティーンまで相手として登場します。御年80を超える皇帝が真剣な顔してキレッキレで踊る姿を見せつけるものだから、もうおかしくってしょうがない!(笑)
ベイダーが相手の時なんか、後ろで皇帝が自慢のフォース・ライトニングでステージのイルミネーションの代用をしちゃってますからね、もう完全に狂ってます。
ダンス対決で負けたらしょんぼりして、プレイヤーに皇帝の座を譲るのがまた笑いのツボ。さらにここでプレイヤーの見た目を「C-3PO」にしておくと、「C-3PO」が皇帝の玉座に座るというシュールな絵面が見れるわけです。これで銀河が平和になるんだったら今までの戦いは何だったのさ!とツッコミを入れたくなるわけですが、今からでもいいのでぜひこのタイトルを探して遊んでいただきたい!
余談ですが、この「Kinect スター・ウォーズ」が発売された時は、日本マイクロソフトもそれなりに本腰を入れていたようで、外食産業とコラボして特定のメニューを注文した人にアナキン・スカイウォーカーのスキンを解放するDLCコードをプレゼントしたりと、いろいろタイアップ企画を行っていたんです。
ドラゴンボールZ For Kinect
これは海外でのみ発売されたので知らない人が多いかもしれない。でも大丈夫! Xbox 360は北米のタイトルも起動することができるんで、気になる人は今からでも輸入して買いましょう。
このタイトルはなぜか日本産のドラゴンボールゲーム作品で、開発会社も「ダンガンロンパ」シリーズを制作したスパイク(現・スパイク・チュンソフト)。なのに日本では未発売という、いろいろといわくを感じる一品ですが、内容はタイトル通り「ドラゴンボールZ」の世界をKinectで追体験しようというもの。確かに「ドラゴンボールZ」は個性的な必殺技からパンチやキックなどの激しいアクションが次々飛び出すので、Kinectゲーム化するにはもってこいの作品。これを日本でも出したらXbox 360販売促進の起爆剤にいくらかなりえたのに、なぜ売り出せなかったのか不思議でしょうがありません。
これはあくまで推察なんですが、実はこのゲームには特典として「エピソードオブバーダック」っていう悟空の父親、バーダックを主人公にした30分くらいのアニメが収録されていたんです。当時の日本ではどうだったかと言うと、ちょうどほぼ同じ時期にコンビニ等でこの「エピソードオブバーダック」のDVDが発売されていたんです。おそらくこのDVDの販促のために、このゲームは日本で塩漬けにされちゃったんじゃないでしょうかね……。それとも最近、他誌のインタビュー記事で話題になったように「ドラゴンボール」のゲーム化に慎重な姿勢を見せる集英社がGoを出すことができなかったかのどちらかでしょう。
ゲームの内容に話を戻しましょう。
このゲームは「ドラゴンボールZ」のサイヤ人編から魔人ブウ編までを、Z戦士たちの視点で戦うというコンセプトのゲームで、文字通り体全体を使ってパンチやキック、ジャンプ(舞空術)を繰り出して戦っていくわけ。
使える必殺技も、かめはめ波をはじめ、気円斬、魔貫光殺砲、ギャリック砲、気弾の連発と子供の頃に誰もが真似したであろう技ばかり。自分の繰り出したパンチやキック、かめはめ波が、あのフリーザやセル、ブウに直撃するんですから「ドラゴンボール」を知っていたら迷うことなく買うに決まってるでしょう?
ところがこのゲームにはある重要なモノが必要なんです。それは「基礎体力」。
このゲームのひとつのチャプターでプレイヤーがクリアまでに動き続ける時間は、最低でも5分、長くなると10分くらいあって、相手のHPを削るためにひたすらパンチやキック、時折必殺技を放ち、気弾の連射をして相手との距離を取ったりするわけですが、皆さんこれを延々と続けられる自信ありますか?
当時僕もブルーカラーで仕事していたんでそれなりに体力には自信があったんですが、とてもじゃないけど1チャプターで息ぎれを起こしてしまいました。
本作を持っていない方も、とりあえず5分間パンチやキックを高速で出し続けてみてください。イメージトレーニングだけでも、こんなに辛いのかと思い知るはずですよ。
一番ごっそり体力を持っていかれるのが、おなじみの「気を溜めるポーズ」です。「ドラゴンボール」を見ていた人ならすぐにわかるかと思いますが、かめはめ波を始めとした必殺技や気弾を撃つ時にはある程度の「気」を溜めなきゃいけないんですが、このゲームでも同様に「気のゲージ」を溜める必要があります。その時のポーズは「拳を腰に据えた空気椅子の状態」。このポーズをパンチやキックの間に挟んで、30秒から1分ほど維持し続けて必殺技やら気弾を撃つ準備とするわけです。仮にKinectの認識がうまくいかなかったら初めからやり直しなんで、これほど辛いものはありません。
最近任天堂から出たSwitchソフト「リングフィットアドベンチャー」をプレイして、「運動効果は抜群だ」なんて言っている方がいらっしゃいますがね、どちらも体験した僕に言わせりゃ「『ドラゴンボールZ For Kinect』のほうが運動量やべぇよ!」っていうくらいこっちのほうが辛い。
なんとかブウ編までクリアしましたが、最終的には2週間で5キロ痩せましたよ。その分筋肉痛もすごかったですが……。
本当に痩せたい、体力つけたい、「ドラゴンボールZ」が大好きというそこのあなた!「リングフィットアドベンチャー」よりも「ドラゴンボールZ For Kinect」が一番効果ありです!(力説)
というわけで、プレイステーション大好きっ子が分をわきまえずにKinectのおすすめゲームを紹介したわけですが、僕からはKinectこそがXboxの魅力であって、切り捨ててはいけない、これからも発展を続けるべき「個性」だと今でも考えております。
次世代のXboxにも後方互換があるという噂がありますが、Kinectの接続コネクタを付けたら購入の選択肢に入りますよ(「悪魔城ドラキュラHD」も遊びたいんだよね)!
Kinectはぜひ復活させるべきです!
(文章・写真/畑史進)