聖なる夜に忍者も恋人たちも英霊も人類も……、みんな星になってしまえ!「ベスト全滅アニメ人気投票」結果発表!

メリー・クリスマース! この世にいろんなアニメがあれど、中でも視聴者に強烈なトラウマを残すのが、登場人物がみんな物語から退場してしまう「全滅アニメ」だ!

全滅に至るまでのカタルシスと、終わった後の虚無感は日常生活ではまず体験できないプレミアムな体験──そう考えると、「全滅アニメ」こそがもっともアニメらしいアニメと言えなくもない! ……そんなこともないか? いや、きっとそうに違いない!

ちょっと自信はないけど、最終的に全滅をエンジョイしたもん勝ちである。

 

というわけで、2019年11月15日~11月29日に行われた「【ネタバレあり!】君は生き延びることができるか!? ベスト全滅アニメ人気投票」の結果をお届けしよう。1771票が集まった中で、上位10タイトルは以下のようになった。

 

 

1位 その他 259票

2位 バジリスク〜甲賀忍法帖〜 225票

3位 School Days 201票

4位 Fate/ZERO 183票

5位 伝説巨神イデオン 144票

6位 新世紀エヴァンゲリオン 136票

7位 美少女戦士セーラームーン 119票

8位 ANOTHER 109票

9位 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 74票

10位 結城友奈は勇者である -鷲尾須美の章- 67票

 

「全滅」と言っても、いろんな全滅があるのが面白い。宇宙そのものが消滅するスケールの大きな全滅から、主人公とその周辺の人がドロップアウトする身近な全滅といろいろなパターンがあるところに、日本のアニメ文化の懐の深さを思い知るばかり。

 

そんな中で1位となったのは、なんと「その他」! しかも「その他」のタイトルがわからないという異常事態に! エントリーしたタイトル以外の全滅アニメに、どんな作品があるのか……。ぜひ教えていただきたいので、この記事のコメントにぜひご記入いただけないでしょうか?

 

というわけで、気を取り直して実質トップを飾った2位のタイトルは、「バジリスク〜甲賀忍法帖〜」だ。徳川三代目の後継者選びの手段として、甲賀卍谷衆と伊賀鍔隠れ衆の両忍者群の、代表選手同士の総力戦が行われることになった。しかし、甲賀組首領の孫・甲賀弦之介と伊賀組当目の孫娘・朧は恋仲だった……。というストーリーで、本作最大の特徴はトンデモ忍術を駆使する忍者同士のバトルに次ぐバトル! そして両陣営の忍者が、次々と倒れていく中、最後に生き残った弦之介と朧もまた両陣営の宿命を背負い、対峙することになる。

「愛する者よ、死に候え」というキャッチコピーそのままの、あまりにも美しくも悲劇的な結末は今もなお語り草である。

文句なしのベスト全滅アニメといえる。

 

3位は、クリスマスイブにAbema TVで全話一挙放送もされた史上最凶──もとい最強の全滅恋愛アニメ「School Days」だ。史上最悪の主人公・誠と世界、言葉のダブルヒロインによるドロドロの愛憎劇は、終盤驚くべき展開を見せる。誠に捨てられたことに逆上した世界は彼を殺害し、その遺体を見つけた言葉は誠になりすまし世界を殺害。その後、誠の生首とともに海の彼方へ旅立つというトンデモない結末を迎えたわけだが、本放送当時は同時期に発生した殺人事件の影響で最終回の放送が飛んでしまうという事件が発生。番組そのものが「全滅」してしまった。

その影響で、テレビ神奈川では差し替え番組として紀行番組を放送。ネット上の画像掲示板に、フェリーが海をいく番組のキャプチャ画像が掲載された結果「Nice boat.」というコメントがつき、流行語になったのもいい思い出である。

 

4位は「Fate/ZERO」。もはや説明不要の大ヒット作であり、スケールの大きな全滅アニメである。「正義の味方」にあこがれていた主人公・衛宮切嗣は、終盤、究極の願望器である聖杯を破壊。その結果、街を一つ壊滅させてしまう。そこに至るまでにも聖杯戦争に参加した者の大半は死亡、もしくは敗退し戦線離脱しており、毎回「どのキャラがいなくなるのか」とドキドキハラハラ。

 

5位は全滅アニメの金字塔「伝説巨神イデオン」だ。不幸な出会いをした地球人とバッフ・クランの民は、第六文明人の遺した巨大ロボット・イデオンに眠る「無限力」をめぐって終わりなき戦いを繰り広げる。終盤、戦いをやめることのない生命体に絶望した「無限力」は、宇宙すべてを消失させ、すべてのキャラクターどころか、この世そのものが全滅してしまうという史上最大スケールの全滅ラストを迎える。

TVシリーズは、半ば打ち切りのように終了してしまったが、真の完結編を描く劇場版「発動篇」はその怨念を晴らすかの如く、テレビでは描き切れなかった濃密な人間ドラマや迫力の戦闘シーンが描かれ、鬼気迫る映像は多くのクリエイターに影響を与えた。

 

6位の「新世紀エヴァンゲリオン」は、その「イデオン」の影響を多分に受けた作品であり、本作も人類補完計画によって全人類が一つの生命体に生まれ変わるという衝撃的なラストを迎える。

意外なのが7位の「美少女戦士セーラームーン」である。実は第1期終盤、次々とセーラー戦士たちは戦死していき、ついにセーラームーンまでも死亡してしまう。しかし、最終的に歴史が巻き戻りセーラー戦士になる前に世界がリセットされることで、全員復活するというウルトラCな解決法でハッピーエンドを迎えた。

8位の「ANOTHER」も、衝撃的な作品だった。終始「どうやってキャラクターを殺したら、視聴者がびっくりするか」を実験し続けるような作品で、最後の方は「よくこんな殺し方考えるな~」と感心しながら観ていたものだ。

9位の「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」は、ガンダム史上初(?)の主人公側が完全敗北する形で物語が終わる異色の作品であった。放送当時は賛否両論だったが、今にして思えば、主人公側は負けたとはいえ、彼らが行動を起こしたことで世界は少しだけ変わったわけで、彼らがやったことは無駄ではない。人はどう生きて、どう死ぬべきかを描いた、非常に深いドラマ性を持つ作品だったのではないだろうか。

そして10位は「結城友奈は勇者である -鷲尾須美の章-」。「結城友奈は勇者である」の前日譚である本作は、東郷三森と乃木園子が現役勇者時代にどんな活躍していたかを描き、そしてその顛末が描かれる。「結城友奈は勇者である」で救われることは視聴者は知っているわけだが、それでも終盤の展開はきついものがあった。本作を観たあとに、「結城友奈は勇者である」および「「結城友奈は勇者である -勇者の章-」も観ることをおすすめする。

 

11位以下も、さまざまなタイプの全滅アニメがそろっているので、興味のある方はぜひ投票結果もご覧いただきたい。

この年末年始は、長期のお休みとなる人もいるだろう。こたつに入って、みかんなどを食べつつ、のんびりと全滅アニメを楽しんでみてはいかがだろうか? その際は、今回の投票結果をご参考にしていただければ幸いである。