【サンライズフェスティバル2019特集】ネクスト・エンタングルの日は近い!? 期待高まる新たな設定資料も公開された「ゼーガペインADP」トークステージレポート!

数多くのアニメーション作品を製作してきたサンライズの作品を、映画館で連日上映する毎年恒例のイベント「サンライズフェスティバル2019風月」が、2019年9月13日から2019年9月27日にかけて開催。その中で、「ゼーガペインADP」上映イベントが9月24日、東京・テアトル新宿にて開催された。

「ゼーガペインADP」は、2006年放送のTVシリーズ「ゼーガペイン」の映像素材を使い、再編集してまったく新たな物語を構築した劇場用作品で、2016年に公開された。あらかじめ決められた期間をループするという本作ならではの設定を生かし、TVシリーズに至るまでのループを描くというストーリーで、劇場版オリジナルキャラクターやTVシリーズでは描かれなかったドラマに注目が集まった。

 

今回、「ADP」が3年ぶりに劇場で上映されるということで、下田正美監督と「ADP」のSF考証や、スピンアウト小説「エンタングル:ガール」を手掛けた高島雄哉さんが、上映前のトークステージに登壇。

機材トラブルのためトーク開始が少々遅れるというハプニングがあったものの、イベント自体はなごやかな雰囲気の中で進行した。

 

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詳細は以下のリンク先の記事からご確認いただきたい。

 

まずは「ADP」制作当時の話からトークはスタート。

下田監督によると、「最初は総集編ということで話をもらったが、ただの総集編だとつまらない。(主人公である)キョウVer.2の物語であるTVシリーズの素材を使って、キョウVer.1の話を作ろうということでこの企画がスタートした」という。

また、最初は90分尺だったが、プロデューサーより「尺全体の1割を新作映像にしてもいい」と言われたことから、「じゃあ120分にしたら12分の新作映像が作れるじゃないか!」ということで、現在のボリュームになったことが明かされた。

 

下田正美監督

 

その制作過程も特殊で、最初からシナリオは作らずに、いきなり絵コンテを切るところからスタート。もとの素材を使いながら新しい話を作る作業は難しさがありつつも、楽しくもあったと下田監督は回顧する。

しかし、大まかな構成ができあがった時点で、原作の伊東岳彦さんから「Ver.1のキョウの世界を、何者かがデータを改ざんしようとしているという話にしてくれ」というオーダーがあり、下田監督は「これは新作じゃないぞ、総集編だぞ!?」とかなり驚いたという。そこで監督が打ち返したアイデアは、「カミナギが未来を見るシーンの追加」だという。「こういう形ならニュアンスを匂わせられるのではないか」ということで、最終的な流れが決まったそうだ。

このオーダーが反映されたことで、「単純にループするシーンでつないでた中で跳ねるシーンが生まれたので、さすが原作者は見ているところが違うなと思った」と伊東さんの指摘について語った。

 

もともと小説家として伊東さんとは知己の関係だったという高島雄哉さんは、TVシリーズ放送当時はいち視聴者だったという。そんな彼が「ADP」で参加することになったのは、「ほぼ同年代のスタッフで作っていた『ゼーガペイン』だが、10年目を機に新しい血が欲しい」「新たなSF設定を追加することで、さらに10年もつコンテンツになるはず」という理由からだと下田監督は語る。

そんな高島さんの、「ADP」における肩書きはSF考証。たとえば主人公側の母艦・オケアノスが月面に向かうシーンでは、どういう航路をとるのか、であったり物理学的にどういう状況が考えられるのか、といった作品の説得力を担保する重要なポジションを務めたという。

 

高島雄哉さん

 

ここからは下田監督より、「ADP」の裏設定が次々と明かされていく。

まず本作はTVシリーズの前日談、といいつつも、実はつながっている要素は「85%ほど」と語る下田監督。というのも、本来「ADP」の時点でミナトが登場するのは、時系列的に正しくないためである。しかし、「いないと寂しいから」「スタッフにもファンが多かったから」という理由で「ADP」にも登場したそうだ。

また、「ゼーガペイン」の舞台となる南舞浜は、サーバー上のデータを継ぎはぎして構成されたものだということも明かされた。そのため実は千葉の駅前であったり新木場であったりと、千葉県内のさまざまな場所が組み合わされているという。

そのほか、TVシリーズの裏設定として、当時のスタッフは第25話でゼーガペイン・アルティールが回収した2本のメモリーのうち、セレブラムのメモリーを「夏メモリー」、ガルズオルムの意匠がついているメモリーを「冬メモリー」と呼んでいたそうだ。

夏メモリーには、舞浜の半径5キロメートルのデータと5か月をループする幻体のデータ500人分が。冬メモリーには、人間の深層心理や未知の領域といった、何に使うかわからないデータが保存されているという。そして、この2本のデータが結合することで、1年のループが完成する……というのが最終話時点の設定。

その中に渋谷のデータもあったのではないか、ということで、ここでスクリーン上に「冬の渋谷」の風景が公開される。すでに下田監督をはじめとするスタッフの間で、「舞台を広げると面白いのではないか」という構想があるということが明かされた。

 

 

「『ADP』の最後にNEXT ENTANGLEと約束して3年。お待たせしただけの内容になるようにいろいろ考えています」と語った下田監督は、ここでなんと構想中の設定資料を一部公開してくれた!

 

まずスクリーンに表示されたのは、量産型アンチゼーガだ。TVシリーズ最終話では大量の量産型アンチゼーガが出てきてオケアノスを襲うのだ!と原作サイドは考えていたものの、当時、下田監督はこの機体が作られているという設定を知らなかったために、未登場に終わってわってしまったという。それを、今回改めてCG化して登場させようとしているというのだ。

 

 

そして未知のアンチゼーガ・ブンイル。こちらは小説「ゼーガペイン 喪失の扉」に登場した機体で、満を持しての映像化になりそうだ。特徴はシリンダー状になっている脚部と、黒い光装甲。パイロットはまだ秘密、とのこと。

  

続いて紹介されたのはガルズオルムの戦艦だ。TVシリーズ当時は、スケジュールの都合でどうしても敵側の戦艦を登場させることができなかったそうで、ガルズオルム側の戦艦はTVシリーズからの宿願だという。

コンセプトは「ダークオケアノス」で、大きさはオケアノスのゆうに5倍。本体が回転するのが特徴だ。

 

 

そして「ADP」にも登場したオペレーターの名前も発表。水嵩保(みかさ・たもつ)という名前は、「後方支援キャラっぽい名前」ということで決まったそうだ。このキャラは先々登場するときのために「キャストもほぼ決まっている」とのこと。

 

そして最後に、ゼーガペイン・アルティールの動画を公開。

この動画のアルティールは、コクピット周辺の装甲が透過しており、「光装甲」という設定を反映した「本来の形のCGモデル」だ。

TVシリーズ当時は技術的な問題から、「3Dメカに2Dのキャラを乗せるのが難しかったが、10年以上が経過しそれができるようになった」と下田監督。しかし「合成させたのち、3Dコクピット内で2Dキャラに芝居をさせないといけないので、そうなるとやっぱり難しい」という。ともあれ「このCGも利用して映像を作っていけたら」ということで、最新の映像技術で生まれ変わるであろう今後の展開への期待が高まるトークステージとなった。

 

 

最後は今回のイベントがネクストにつながることを願って、観客と一緒に「エンタングル!」コールでトークステージは締め。一体感あふれる中で上映が始まった。

 

 

トーク終了直後コメント!

──今日の感想をお願いします。

 

監督 ステージから見て、いつもの面々というか、コアなファンの皆さんが温かく見守ってくださるので落ち着いてトークすることができました。皆さんには感謝しております。

 

高島 先日、サイン会をやらせていただいたのですが、そこで出会った皆さんもいらっしゃいましたね。「ADP」のスタッフになった時からセレブラント(ファン)の皆さんの温かさを感じています。

 

監督 きっといろんなサーバーから来てくれたんだろうね。ネクストの展開も期待していただければと思います。

 

──ありがとうございました!

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