アニメ「モンスターストライク」(以下、モンストアニメ)シリーズ最新作「ノア 方舟の救世主」が、現在好評配信中だ。
機械生命体の襲来によって文明が崩壊、砂漠とゴーストタウンだけが残る星。少年・ノアはわずかに残存する動物たちを助けて、ともに星を脱出するという夢をかなえるために、体を機械化し、過酷な環境下でひとり生き残り、方舟を作っていた。というあらすじからもわかる通り、設定からもかなり冒険心をくすぐられる内容となっている「モンストアニメ」シリーズ最新作「ノア 方舟の救世主」。
そんな期待感あふれる最新作について、ノア役の斉藤壮馬さんとオペコ役の田所あずささんにインタビューを敢行。作品の魅力をたっぷりと語ってもらった。
いろんな感じ方ができるストーリーになっている
──役のお話が来たときは、前のシリーズの映像を見たりはしましたか?
斉藤 オリジナルストーリーだったので、あまり決め込み過ぎると現場で対応できないこともあるので、あまりガチガチに調べてはいきませんでしたが、雰囲気をつかむ感じで見ました。
田所 私も YouTube で、水樹奈々さん主演のモンストアニメ「アーサー 騎士王の覚醒」を拝見して、雰囲気をつかんだ感じでした。今までスマホアプリの「モンスターストライク」には関わっていなかったので、モンストアニメの新しいシリーズでのオリジナルキャラクターですというお話をいただいて、どんなキャラクターなのかな?とか、どんな感じでモンストアニメの世界に関わっていくんだろうな?って、ワクワクしながら待っていました。
──あの「モンスト」をもとにしたアニメである「モンストアニメ」からオファーがキター!って感じですよね?
斉藤 だって知らない人はいないですよね。こういう仕事をしているから特にですけど。
田所 だからめちゃめちゃ光栄だな!と思いました。あのモンストのアニメですか?って聞きましたから(笑)。
──モンストアニメは、これまでも何度か取材していますが、3DCGのすごさがあって、クオリティもすごく高いんですよね。
斉藤 さっき制作途中の映像を見させていただいて、ここから公開に向けてよりブラッシュアップされていくと思うんですけど、すごかったです! 特にバトルシーン!
──今回のシリーズも、バトルシーンは多めなんですね?
斉藤 かなりありますね。特にノアはメインとなって戦うシーンが多いので、そこは演じさせていただいた身としては、聞いていただきたいところのひとつかなと思います。
──その話は後ほど改めてうかがうとして、ノア編の世界観、設定を聞いた時はいかがでしたか? 結構男子心をくすぐりません?
斉藤 文明崩壊後の世界というか、ポストアポカリプス的な世界観ってすごく好きなんです。いい意味で、僕が10代の頃に好きだった漫画とかアニメの世界観に似たワクワクを感じたので、いちアニメ・漫画ファンとして嬉しかったですね。
──たまらないですよね!
斉藤 荒廃した世界、機械!っていうのはいいですよね。文明の残滓みたいなものが見えるというのが、テンション上がるなって。
田所 ちょっと物悲しい雰囲気をまとっているというか。日常の会話をしてても物悲しい雰囲気があるところとかはグッと来ますよね。まだ「モンストアニメ」というタイトルしか知らなかったときは、もっと楽しい、少年たちがウキウキワクワクするような明るめの作品だと思っていたんです。それがこんなにもシリアスで、大人が観てもグッとくるような物語だと知ったときは意外な感じもしました。
──確かに、子供から大人まで楽しめる世界観ですよね。物語としても楽しめますし。
斉藤 くせ者たちというか、前向きなだけではない個性的なキャラクターたちがパーティーを組み、ひとつの目標を達成していくみたいな、ある種ストレートなストーリーですけど、そそられる部分はあると思います。
──個人的には子供にも見せたくなる教訓的なものも含まれていたなと。これは、「モンストアニメ」すべてに言えることですが。
斉藤 結構考えさせられることが多いと思うので、メッセージとして答えがこうだよっていうよりは、いろんな感じ方ができるストーリーになっていると思いました。
田所 男性的には、メカとか荒廃した世界とか進化とかはグッとくると思うんですけど、女性の私が見ても、キャラクター同士の関わりとかがすごくしっかりと描かれているんですよね。1話ではケセドがちょっと不穏な空気を出していましたけど、これからどうやって関わっていくのか、などをしっかり描いてくださっているので、そういうところも楽しんでもらえるんじゃないかなと思いました。
新感覚の収録体験!
──お2人のキャラクターについてですが、どういうふうに役作りをされましたか?
斉藤 ノアは見た目が10代に見えるんですけど、体の部分部分が機械化されていて、見た目の年齢より長い時間を生きています。でも、僕がもともと持っていった感じが、いわゆる主人公っぽいというか。「みんな、ノアの方舟を作って脱出するぞ!」みたいな芯の強さがあり過ぎたので、そこはもうちょっとナチュラルな雰囲気にしてくださいと言われました。だから若々しいというよりは、老成している……とまではいかないですけど少し達観しているような、物事を広い視野で捉えているイメージで演じています。
あと、彼はちょっとズレていて、かけ合いでもオペコが世話を焼いてくれている中、違う観点で物事を見ているんですよね。そういうズラしの妙が面白いと思ったんですけど、本人はそうは思ってないんです。あくまで感じたまま行動しているだけなので、演じるほうとしては、そこは大事にしつつ、あまり出し過ぎないように注意していました。このバランス調整は結構心がけましたね。
──オペコはいるけど、基本ひとりで暮らしているじゃないですか。その孤独感はあまり出さない方向で?
斉藤 表立っては出してないです。80年間それで暮らしてきているので、寂しさというより、なんとも言えない侘しさはあるかもしれませんが、それを音とか表情とかに乗せるということはなかったかなと。
──オペコはどうですか?
田所 オペレーションAIということで、もっとロボットチックな感じなのかなと思いきやものすごく感情を出して、むしろノアのほうがAIなんじゃないか。それくらい感情を表立たせることはないので、その分オペコがノアのことを心配して、ハラハラするみたいな感じなんです。やっぱりノアくんには両親がいないので、その分オペコちゃんが親であり、お姉ちゃんでありというところを担ってあげようと思って愛情を注いでいる立場なのかなって。
──感情豊かですよね。そして、笑いの部分も担当してますよね。
田所 物悲しい雰囲気がある中で、コミカルな表現もあり、そういうオペコちゃんの表情に癒やされるというか。私も台本を読んでいて、オペコちゃんはいい子だなぁって思いました。
斉藤 でも切ないなと思うのが、オペコはホログラムだからノアに触れられないんですよ。AIという設定なので、彼女が感じている気持ちや思いとかも、そのプログラムの延長と解釈することもできる。何気ないコメディっぽいセリフでも、よくよく考えると切ない感じがするんですよね。もちろんオペコはそれを出さないけど。
──お2人のお芝居にはそこまでそれを乗せてないし、乗せてないからこその切なさはあるかもしれないですね。
斉藤 きっと観てくださる方が、いろんな汲み取り方ができるような仕掛けになっているのかなと思いますね。
──先ほど戦いの話が出たんですけど、ノアが戦っているときは、余裕がある感じなんですか? それともギリギリの感じの息を入れているのですか?
斉藤 普段のノアは平常心なことが多いんですけど、バトル中は結構メリハリのある、いわゆる真剣に戦っている感じはかなり出ていると思います。見てもらうとわかるんですけどスピード感がすごくて、余裕っぽい息芝居はマッチしない迫力の絵作りになっていますから。現場でも思うようにやってくださいと言われたので、映像を見て、ノアならここに入れるだろうなってところに入れさせていただいて、そこから足し引きをしていくような作り方でした。しかも映像はCGなんですけど、僕らはその前にモーションアクターさんが実際にアクションを演じられている“アクションVコンテ”というものに声を当てるという特殊な収録の仕方をしたので、それはかなり面白かったです。呼吸音は出てないけど、すごく肩が上下しているとか、細かいところまでわかったので、音作りで何が必要なのかという取捨選択が楽しかったです。
──きっとそれは新しい感覚ですよね。
斉藤 はい。やっぱり僕たちは体で表現できない分、息を呑むだけでも意味が生まれたりするので、そういうところはいつも大事にしていますね。
田所 しかもノアさんは体が機械ですし、どれだけダメージを受けているのかもよくわからないから、自分にどのくらい痛みがあるのかとかも難しいですよね?
斉藤 痛みは感じているみたいだけど、それで気を失ったりはしないからね。ダメージって物理的な衝撃もあるから、そういうところに息を入れるほうが強いかもしれないです。断末魔みたいな方向よりは。
田所 難しそう。
斉藤 やっぱり痛覚で考えちゃいますもんね。
──でもそれを想像しながらやるのが楽しそうです。で、たまに「それはいらないです」って言われたりして。
斉藤 そうなんです(笑)。でも今回の現場はわりと足し算でした。
田所 基本、もっとくださいでしたね(笑)。
斉藤 あと、叫びが結構多かったんですよ。
田所 みんな叫んでましたよね(笑)。
斉藤 緊迫した戦いが多かったから、わりと酸素が薄くなってました。
大御所・千葉繁との共演
──キャスト数は少ないですよね?
田所 アフレコ現場では、ほとんど私と斉藤さんと千葉さんの3人しかいませんでした(笑)。
──千葉繁さんは大御所の方ですけど、どうでしたか?
斉藤 すごかったですね!
田所 カッコよかった。
斉藤 ここまでしっかりご一緒させていただくことは初めてだったんですけど、テストのときからものすごい数のアドリブを入れていらっしゃって、千葉さんあってこそのケセドだったと思います。
田所 どんどん色付けされていくから、ますます愛おしくなっていくんですよ!
斉藤 めちゃめちゃかわいいですよね。芝居の素敵さももちろんですし、千葉さんご自身もものすごくやさしい方で。
田所 常に笑顔でいてくださって、話しかけてもニコニコ答えてくださるんです。(相手が千葉さんだと)やっぱり緊張するじゃないですか。でも、緊張させないように、常にやさしい雰囲気をまとってくださっていたので、私たちもやりやすかったです。
──だからこそケセドの今後を見てほしいですね!
斉藤 そこはもう、見てくださいとしか言いようがないですけど、なぜ千葉さんがケセドなのかというところもあると思います。
──パンドラ(CV:小倉唯)もかなりぶっ飛んだキャラクターではありましたね。
田所 一緒に収録したかった。
斉藤 パンドラもかなりエキセントリックなキャラでしたね。リボンがオーブに反応するし(笑)。
田所 誰かが噂話するとくしゃみが出るのと同じ理屈って言ってて。
斉藤 あれほんと、何言ってるか全然わからなかった(笑)。普通にケセドがツッコミ側に回ってましたからね。
──それ以外に、こういうところも注目してほしいっていうところはありますか?
田所 オーイシマサヨシさんの曲「Hero」がカッコいい! オーイシさんの曲はハズレがないです。
斉藤 もう「勝ち確(勝ち確定)」です。どこか荒廃した世界でも、あの曲を聴くと冒険しようって気持ちになれるからいいなって。あとは3話のラストですね。ネタバレになってしまうので、実際にぜひ観ていただきたいのですが、3話のラストに非常に衝撃的なシーンがあるんです。あれ?ノア編の空気感は?って収録中に思ったんですけど、できあがりはきっとすごくカッコよくなってるはずです。ここはめちゃめちゃ叫んだんですよね。
田所 確かに、そこだけ「コロコロコミック感」はありましたよね(笑)。でもよく考えたらノアって基本ボケてますよね。でも誰もツッコまないですよね?
斉藤 なので、視聴者の方がコメント欄でツッコんでいただければ。
田所 そうか! それでこのフラストレーションが解消されるんですね。
斉藤 あとはオペコが話しかけてるのに、ずっと猫としゃべってたりするからね。
田所 誰かそこをコメント欄でツッコんでほしいです(笑)。
──3話のラストも、そんなツッコみどころがあるんですか?
斉藤 ツッコみどころというか、ノアが突っ込んでいるというか……(笑)。
田所 あははは(笑)。ひどい! でも間違えてはないので、本当に一度観てください!
(取材・文・撮影/塚越淳一、衣装協力/Iroquois Headshop)