アニメや声優などのサブカルチャーとさまざまな業界のコラボレーションが活発化する今日この頃、「おっ!やってくれるな」「何?そうきたか!」とファンの心を刺激してくる商品、コラボ企画が続々と登場している。そこで、アキバ総研的に気になる「コラボ」の企画現場にうかがい、企画の魅力やおもしろエピソード、苦労話などの制作裏話を、あれこれうかがっていこう!という連載が「コラボのゲンバ」だ。
第8回に登場するのは、2019年6月30日(日)に幕張メッセで開催されるカラオケイベント「カラオケMAX」のプロデューサー兼出演者の声優・小山剛志さん。「カラオケMAX」は人気声優がカラオケを披露するという、声優×カラオケのコラボレーションで実現したイベント。記念すべき第10回を迎える人気イベント「カラオケMAX」の魅力、企画を立ち上げた経緯や10回目の開催にかける意気込みなどについて語ってもらった。
イベントの詳細・出演者情報は、公式サイトでご確認いただきたい。
—— 【コラボのゲンバ】は、アニメや声優などのサブカルチャーとさまざまな業界や企画、商品との“コラボ”を取り上げています。続々と登場する「コラボ」について、小山さんはどう感じていますか?
小山 どんどんやればいいと思います。大事なのは続けていくこと。面白ければ続くし、そうでなければあっさりと終わっちゃうしね。
——「カラオケMAX」は今回で10回目。おもしろいからこそ、続いている人気イベントとなりました。企画を思いついたきっかけを教えてください。
小山 僕自身もアニサマなどをはじめとしたさまざまな音楽イベントに行くのだけれど、そこで披露される曲は全部知っているわけではありません。知らない曲って結構あるでしょ? 歌のうまい人が俺の知っているような曲をやたらもっと面白くなるだろうなと思ったのがきっかけです。誰もが知っているヒット曲をこの人がパフォーマンスするのを見たい、それが最初のモチベーションです。
——歌唱力に定評がある声優、俳優が、持ち歌NG・趣味全開の選曲でライブをするというイベント「ウタマミレ」もアイデアのきっかけになっているとか。確か会場は渋谷公会堂でしたよね。
小山 発想の原点になるのかな。全編生バンドという構成でやったのだけど、お客さんは入ったし盛り上がりましたね。でも、生バンドだから経費はかなりかかって、いわゆる赤字ですよ。でも、それがアイデアのきっかけになったかなと思います。
—— ここまで続いたイベントなので生バンド再挑戦! なんて考えたりしませんか?
小山 あははは。それは主催者次第ってところがあるよね。興行という側面を考えたら、おもしろそう、やってみたいというだけではダメだから、やっぱり企画はしっかり考えないとね。
—— 企画やネタ出しはプロデューサーとして大事な仕事のひとつですよね。
小山 プロデューサーというとかっこよく聞こえるけど、こういうのを始めた理由のひとつに「自分で自分の居場所を作る」というのがありました。僕は周りと比べればデビューは遅かったんです。だいたいみんな20代前半で養成所に行くでしょ。今はもっと前から行く人も多いし。自分の人生、何をすべきかわからず模索していた時間が長かった。役者として「この道で行く!」と決心したのが24歳。決心したからといって、すぐにどうこうなるわけじゃない。いろんな暗黒期間を経て30代後半までバイトもやっていましたからね。そんな中、自分の名前を知られるためには、自分で何かを作らなければいけないと思い、25歳でプロデュース公演をやったんです。
—— 決心してから1年で舞台をプロデュース。それはそれで早いですね。
小山 自分の場所を作るというモチベーションだけで、何もわからないまま場所を作りました。そんなの成功するはずもなく、借金が増えてしばらくはバイト、そんな生活をしていました。
—— プロデュースが興行的にも内容的にも成功したのはどの企画ですか?
小山 声優たちが麻雀をやるDVDはヒットしたし手応えもありました。1回だけの企画もので終わらず、第4弾まで続いたしね。舞台も赤字にはならないけれど、ビジネス的に儲かるジャンルではない。役者としての仕事も忙しくなった時期に、舞台以外の企画を考えなければという状況になり、アイデアを模索したどり着いたのがカラオケ企画だったんです。
—— 今回10回目の開催となりますが、「カラオケMAX」の一番の魅力を教えてください。
小山 出演者がすごく楽しんでくれるところです。普段プライベートで2、3人の前で歌う自分の好きな曲を、何千人の前で歌う。そこで得られる快感はなんとも言えないと思います。それを見るお客さんも楽しんで満足する、まさにWINWINという感じですね。
—— 出演者のみなさんはいわゆる「十八番」を持ってくるのでしょうか?
小山 基本的にはそうです。お題があるので、それに沿ったリストを持って来ます。人気コーナーのモノマネ縛りは、ハードルが高い。似てる似てないだけでなく、似せようとがんばっている姿を見るのも、お客さんにとっては貴重。普段見れない側面を見ることができるからね。
—— ちなみに小山さんの十八番は?
小山 尾崎豊の「15の夜」です。ここぞって時に歌います。それこそ、第1回目のときに歌いました。それがすごく盛り上がってホッとしたのを覚えています。
—— 出演者の人選は難しそうですが……、選ぶ際のポイントは?
小山 お客さんを呼んでくれる人(笑)。
—— プロデューサーという立場ではそこは重要ですよね。
小山 そうそう。集客力があってベストなパフォーマンスしてくれる人だとうれしいよね。プロデューサーとしての本音は置いておいて、一番大事なのは情熱かな。イベントに対する情熱、お客さんに楽しんでもらおうという情熱を持って取り組んでいる人は、当然お客さんの反応もいいし、僕も「呼んでよかった」って思います。「カラオケMAX」に対する愛情を持って、イベントのために体を張ってくれている。そういう出演者は結果的に伝説を作ったりもするし、繰り返し呼びたくなります。
—— お客さんの愛情というのもありますよね?
小山 まさにそうです。いくら僕らがイベントをやりたいといっても、お客さんがいないと成り立ちません。イベント後にTwitterの反応を見て「次もやってほしい」という声も多くいただくので、それに応えるというのもモチベーションになります。
—— 人気声優さんをキャスティングするのは大変ですか?
小山 出演したいと言ってくれる人もすごく多いけど、スケジュール調整が一番の難関です。第3回の東京ドームシティときのキャスティングは本当に大変でした。結果的には乗り切ることができたし、楽しいイベントになった。「続けていける」と感じたのもその回でしたね。
—— リハーサルの様子はいかがですか?
小山 あーでもないこーでもない、こんな風にしたらもっと面白くなる、なんて言いながら形にして行くのは楽しいです。舞台を作るときもそうだけど、そういう時間や作業はクリエイティブな脳を刺激するので、楽しくて好きです。嫌いじゃできないですし、人まかせにできないところもあるので(笑)。
—— 「カラオケMAX」の強みはどこにあると思いますか?
小山 ありそうでなかったカラオケイベントを、ここまで面白いイベントとして確立したことだと思います。ブランディングもできたかなと思っているし、カラオケイベント=カラオケMAXのように盛り上がっていたら、なかなかほか(の企画)はやりづらいと思います。
—— では、最後に。記念すべき第10回目の開催に向けて意気込みとファンの方へのメッセージをお願いします。
小山 「カラオケMAX」、幕張メッセでの開催となりました。幕張ならでは、10回目の記念公園ならではのサプライズ的な仕掛けも用意しています。出演者も驚く仕掛けなので、お客さんは相当ビックリしてよろこんでくれると期待しています。「カラオケMAX」は絶対に円盤化されません。現地でしか楽しめないライブイベントです。ある種の歴史的瞬間の目撃者となるべく、ぜひ、幕張に足をお運びください! 僕たちと一緒にカラオケを楽しむ感覚で楽しい時間を過ごしましょう。
(取材・文/タナカシノブ)
【イベント情報】
チケット発売中
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【日程・会場】
・2019年6月30日(日)幕張メッセ ホール4
【出演】
<昼・夜公演>プロデューサー兼出演者:小山剛志
<昼公演>開場 12:00/開演 13:00
石谷春貴/汐谷文康/高塚智人/永塚拓馬/鬼頭明里/駒形友梨/Machico/三澤紗千香/悠木碧
<夜公演>開場 18:00/開演 19:00
伊東健人/駒田航/仲村宗悟/深町寿成/藍原ことみ/内田彩/新田恵海/山本希望
【チケット料金】
プレミアムシート9,800円 (税込)※非売品特典グッズ付
指定席 6,800円 (税込)