2019年1月20日(日)、乃木坂のソニー・ミュージックスタジオにて開催されたmora presents「ゼノブレイド2黄金の国イーラオリジナル・サウンドトラック」のオフィシャルレポートが到着した。
「ゼノブレイド2 黄金の国イーラ」は、Nintendo Switch用ソフト「ゼノブレイド2」の追加コンテンツ「エキスパンション・パス」の一部として配信される追加エピソード。本編で主人公レックスの前に立ちはだかった秘密結社・イーラのリーダー「シン」を主人公に、本編の500年前の物語が描かれる。
そんな「ゼノブレイド2 黄金の国イーラ」の楽曲を余すところなく収録した「ゼノブレイド2 黄金の国イーラオリジナル・サウンドトラック」の購入者スペシャルイベントが、乃木坂のソニー・ミュージックスタジオにて開催された。
事前応募者の中から約8倍の倍率をくぐり抜けた40名のみが参加できる、プレミアムイベントのオフィシャルレポートが到着したので、ご紹介しよう。
購入者イベント
Nintendo Switch『ゼノブレイド2』『ゼノブレイド2黄金の国イーラ』は、ゲームの面白さもさることながら、豪華作曲陣が手がける楽曲も非常に高い人気を誇る作品だ。
クオリティーの高いハイレゾ音源を、圧縮音源と同じ価格で販売をしている珍しい作品でもあり、音楽配信サイトmoraではランキング上位の常連となっている。本イベントには、『ゼノブレイド2黄金の国イーラオリジナル・サウンドトラック』の作曲に関わっている光田康典さん、ACE CHiCOさん、清田愛未さんの3人が出演し、なかなか聞くことのできない制作秘話が展開された。
まずは事前に応募者から募った質問をもとに、トークコーナーが始まる。
「『黄金の国イーラ』と本編の楽曲で、異なった点について教えてください」という質問に対して、「『黄金の国イーラ』は”アコースティック”なサウンドがテーマでした」と答える光田さん。ゲームの総監督を務める高橋哲哉さんの意向で、『黄金の国イーラ』ではエレキギターなどのデジタルなサウンドは使用していないそうだ。”アコースティック”のテーマを踏まえて、CHiCOさんはさらに”ジャズっぽさ”を意識したと話す。
また、「普段はどのような環境で音楽を聴く事が多いですか」という質問に対しては、「そんなに高くないですよ」と清田さんが答える。お子さんがいることもあり、子ども向けの歌を手軽に聴けるスマートスピーカーなども重宝しているそう。
CHiCOさんも900円のイヤホンも含めて、安い物からプロユースの物まで複数種類のイヤホンと、同じく安い物からプロユースの物まで複数種類のスピーカーで音を確認していると話す。いっぽうで自宅に制作環境を整えている光田さんは、作曲・MIXと同じ環境下で音楽を聴くことが多いそうだ。
「ゼノブレイドのコンサートの予定はありますか?」との質問には、「高橋総監督も開催したがってるんですよ」と答える光田さん。「曲数が多いから、2泊3日くらい開催できそう」とCHiCOさんは笑う。ただしどの曲も、生音での演奏を前提としていない難しいアレンジのため、とくに平松建治さんの手がけた曲については「ギタリストを4人くらい入れないと」との意見も。
光田さんが「バンドより、オーケストラコンサートの方が難しくないかも」と話すと、会場からは期待を込めた拍手が起こる。
そしてイベント後半はスタジオルームに移動し、実際に『ゼノブレイド2オリジナル・サウンドトラック』のレコーディングなども行っている環境で、ハイレゾ音源を鑑賞した。
1曲目に流れるのは、『ゼノブレイド2 黄金の国イーラオリジナル・サウンドトラック』より『リサリア原生林』。作曲を手がけた清田さんは、「今回”アコースティック”がテーマだったこともあって、パーカッションも全部実際に演奏してもらったんです」とこだわりを話す。「シェイカーの音1粒1粒、味がありますね」と、ハイレゾ音源で改めて楽曲に聴き入る。
ACEの2人が手がけた『四足のアルス/グーラ』は、ベース・ドラムを同時録音をしたそう。アドリブパートでは異なるパターンを何回もレコーディングしたというから驚きだ。
『王都アウルリウム』は、「”枯れた感じ”というディレクションをしました」と話す清田さん。レコーディングが終わった後に、「いい感じに枯れていました!」という不思議な褒め方をしてしまったエピソードを話し、客席の笑いを誘う。
そして『黄金の国イーラ』のエンディング曲となる『A Moment of Eternity』。光田さんは、ボーカリストのJen Birdさんと「相当コミュニケーションを取った」と話す。本編のエンディング曲は日本でレコーディングを行っていたが、Jenさんご本人からの要望もあり、『A Moment of Eternity』はJenさんの暮らしているロンドンでレコーディングを行ったそうだ。
平松建治さん作曲の『戦闘!!/イーラ』を挟んで、『ゼノブレイド2』本編からも数曲がピックアップされる。光田さんが手がける『Xenoblade II – Where It All Began -』は、ハイレゾのよさが顕著に感じられる楽曲。主人公が海の中に入っていく様子を重低音で表現したと言い、「この重低音はゲーム機だと分からないかもしれないですね」と3人で顔を見合わせる。
『グーラ領/ 森林』のレコーディング時、体調を崩していたという清田さん。苦しかった思い出が残っているそうだ。本楽曲のパーカッションについて、「打ちこみでも、ハイレゾで聴くと違って聴こえますね!勉強になります」と笑う。
『Drifting Soul』は、ACEの工藤ともりさんが手がけた楽曲だ。残念ながら本イベントには出演できなかったが、CHiCOさんを通して「ベースを担当した渡辺等さんが、すごいスキルだった」との言付けを披露する。なお本楽曲は、元々男性ボーカルの予定だったそう。自身もボーカリストとしても活躍するCHiCOさんがいることもあり、ACEはキーの設定に強いこだわりを持っているという。何度もJenさんの音源や映像の声を確かめ、一番Jenさんらしさが出るキーを探し、Jenさんの低音の魅力を出したいと思い、歌い出しでその低音が語りかけてくるようにしたという。
続いての『雷轟! アルティメット』は、8bit調の貴重なデモ音源も。録音の直前に仕様が変わって、ともりさんが今の形へとアレンジをしたという。
そして最後に流れるのは、本編のエンディング曲である『One Last You』だ。「『ゼノギアス』の頃から”悲しいけど希望はある”がテーマであることが多かったため、高橋総監督とは暗黙な了解がありました」と光田さんは言う。またボーカルのキーについては、「一音目で”来た!”という音を出せるか」という点を大切にしたという。
こうして、ボリューム満点のハイレゾ鑑賞コーナーを終え、最後に3人から一言。
まず楽曲を久々に聴いたという清田さんは、「もう1回ゲームをプレイしてみたいなと思いました」と話す。ハイレゾを通して、「ホールやスタジオの違いまではっきりと聴いてとれました」と話すのはCHiCOさんだ。また光田さんは、「プロキオン・スタジオで制作しているハイレゾ音源は、圧縮音源と値段も変わらないので、少しでもいい音で聴いてください」とまとめ、本イベントは終了となった。
スタジオでのハイレゾ鑑賞と豪華作曲陣の貴重なトークを通じて、『ゼノブレイド2』シリーズを彩る楽曲に込められた想いを、改めて強く感じる1時間であった。ゲームをプレイしている人にとってはもちろんのこと、ゲームをプレイしていない人にとっても、“作品”として充分に聴きごたえのある『ゼノブレイド2』シリーズのオリジナル・サウンドトラック。制作秘話を胸に、もう1度聴き直してみると新たな発見に出会えるだろう。
【イベント概要】
mora presents 『ゼノブレイド2 黄金の国イーラオリジナル・サウンドトラック』購入者スペシャルイベント
・日時:2019年1月20日(日)
①12:45 開場/ 13:00 開演/ 14:15終了
②14:45 開場/ 15:00 開演/ 16:15終了
・会場:ソニー・ミュージックスタジオ
<出演>
【商品情報】
■「ゼノブレイド2 黄金の国イーラオリジナル・サウンドトラック」
・販売価格(税込):
通常音源2,000円(単曲価格200円)
ハイレゾ音源2,000円(単曲価格200円)
<収録楽曲>
M01.二人の時間の始まり
M02.リサリア原生林
M03.戦闘!!/イーラ
M04.四足のアルス/グーラ
M05.イーラ王国
M06.イーラ王国/夜
M07.王都アウルリウム
M08.王都アウルリウム/夜
M09.落胆と憎悪の果てに
M10.交わる事のない道
M11. A Moment of Eternity