カプセルトイコンシェルジュ「ワッキー貝山」がセレクトする最新ガチャコラム。今回は、早くも冬将軍到来! なぜに作った? 若干気味悪! のフィギュアと、子供をあやすつもりが逆効果? リアルに怖いフィンガーパペットのカプセルトイの2つをご紹介します!
「氷河期の僧侶」 タカラトミーアーツ 200円
先日TV番組「所さん!大変ですよ」(NHK)に出演させていただいた「カプセルトイ特集」にて、計画中のカプセルトイを取材するロケに登場していたのがこのアイテムでした。
私の大好きなカプセルトイ界の風雲児「パンダの穴」の新作ですが、今回はこれまた独特の世界観。僧侶のフィギュアです。
ミニブックには「忍び寄る 極寒の睡魔。己に勝ち、生きるのか。己に負け、眠りにつくか。人生は、ただ二つ。生きるか寝るか。それだけである」と書いてある……。
まるで水墨画から飛び出してきたような造形をじっくり眺めながら、これらの言葉の意味を理解しようとするもなかなか不可解。考えるな、感じろということなのだろうか?
この世界観ってライトに楽しんでもいいんですよね? ミニブックには加えて「気がつくとそこは、氷河期だった」って現実的にはありえないフレーズが載っているんですが。
さて、このフィギュアを飾ると、まるで周囲の時が止まっているように感じます。どんなに暖かい部屋にいても、寒さも感じるよう。視覚情報だけで不思議な感覚を得るなんて、なんとも奥が深い。
それでは魅惑の全4種類のラインアップをご紹介いたしましょう。
・其の一「托鉢」
販売機の台紙でも、センターで写っています。
大きめの傘は雪の重みで垂れ下がっています。クラゲの触角にも似たつららと合わせて、見事に氷点下の世界を表現しています。
お椀には雪が積もり、鈴を持っている手もかじかんでいて寒さがひしひしと伝わってきます。さらに着物のいろんなところから垂れているつららも芸が細かい。傘を外すと、渋い僧侶の顔が確認できます。
・其の弐「念仏」
一瞬、生きているのだろうか?と心配してしまうその造形。バチをがっちりと握り、まっすぐと立てている姿を見て、恐ろしいまでの精神力を感じます。木魚の雪が、寒さとの長時間の激戦を物語っています。
・其の参 「作務」
雑巾がけをしている最中に大量の雪が吹きつけ、全身に覆いかぶさっています。そこまでして、なぜ雑巾がけをやめない? そこはもう汚れてはいない。などなど、ツッコミどころ満載なシーン。
・其の四「座禅」
つららに囲まれた姿に、思わず手を合わせてしまいそうになります。「ちょっとちょっと!どこで座禅してんのよ。雪だるまみたいになってんじゃないのっ。もういいよ~、中入ろうよっ」と声をかけてあげたくなりますね。
いろんなカプセルトイを見てきましたが、ここまで独創的な世界観は初めてかもしれません。己を信じていないと、いつのまにかその世界観に飲み込まれるような恐ろしさも感じます。……いいんですよね? そんなに難しく考えなくても。
僧侶は何も語らない。君はこのシリーズから、何を感じることができるだろうか?