劇場アニメ「君の膵臓をたべたい」が2018年9月1日(土)より全国公開される。
その主人公である「僕」を務めるのが、俳優として活躍する高杉真宙さんだ。アフレコ自体は特撮ドラマ「仮面ライダー鎧武/ガイム」ですでに経験済みだが、アニメのアフレコは今回が初。彼自身、アニメやマンガやゲームが大好きと語るだけあって喜びも大きかったようだが、その分苦悩もあったようだ。
今回はそんな高杉さんに本作について語ってもらった。
――高杉さんは、アニメやマンガやゲームがお好きだとうかがっていますが?
高杉真宙(以下、高杉) 大好きです。今回は、岡勇一さん(「エロマンガ先生」総作画監督など)がキャラクターデザインで参加されているので、友達に自慢しました(笑)。牛嶋新一郎監督(「ワンパンマン」「ALL OUT!!」副監督など)が関わった作品も見ていますし。
――普段はどんな作品を見ているのですか?
高杉 来年映画があるので「PSYCHO-PASS」は見直してました。それを見ながら、音楽ってすごく重要なんだなぁってあらためて思いましたね。入り方がすごくきれいだったので、それだけでテンションが上がるというか。
――影響を受けたアニメとかもあるんですか?
高杉 う~ん、人生がアニメとマンガとゲームで覆われてるので(笑)。ずっと影響は受けているので、それで何か変わるというのはないんですけど、アニメにハマったのは「とらドラ!」がきっかけでした。
――何だか一気に距離が縮まった気がします(笑)。今回、劇場アニメ「君の膵臓をたべたい」に「僕」役で出演されますが、原作の感想をお聞かせください。
高杉 台本を読んでから原作は読ませていただいたんですけど、最初に思ったのは、すごくきれいな風景を思い浮かべられるような文章だなと思いました。それと桜良と「僕」の2人の距離感が、壊れそうで壊れないような微妙な距離感で、それがはかなさだったり温かさに繋がっていたので、本当に美しい物語だなと思いました。
――「僕」の声を演じるにあたって、実写映画もご覧になったのですか?
高杉 実は見ていないんです。やっぱり引きずられそうだなっていうのもありましたし、自分で理解してこの子を作りたいというのもあったので。それと、原作も実写映画もたくさんの評価をされているので、怖いじゃないですか(笑)。それを見て落ち込むのもイヤだなぁって……。でも、それを見たあとにどんな感情を抱くのかはわからないんですけどね。「だったら俺はこうしよう!」って思ったかもしれないし、それは気になりますけど、もう見ないで収録はしてしまったので。
今後見るかどうかも迷っているんですけど、終わった後に見るのも、それはそれで緊張するんですよね、答え合わせみたいで(笑)。
――悩ましいですね。「僕」はどういうキャラクターですか?
高杉 一番核としてあるのは、怖がりな子だと思うんです。人に関わるのが怖い、人に興味を持ったり持たれたりするのが怖い、傷つくのが怖い……。この子の世界はたぶん小説の中にしかなくて、桜良に興味を持ったのも、桜良が書いていた「共病文庫」がきっかけとしてあったからだろうし。そこで桜良の考え方や生き方に、小説にはない深いものがすごくあって、自分にはないその感性に惹かれたと思うんですよね。ただそれ以上近づけなかったのは、彼女の病気のこともあるし、近づきすぎて自分が傷つくのが怖いというのがあるからなんでしょうけど。
あとは素直じゃなかったり、あまのじゃくだったりするので、「僕」のそういうところは好きだなと思って、やらせていただきました。ホントにこの子は……って思いながら(笑)。
――自分との共通点もありましたか?
高杉 実は共通点があるほうではあるんです。僕もわりとあまのじゃくなところはありますし(笑)。あと、これはこの子がどのくらい自分でそう思っているのかはわからないんですけど、自分と向き合っているという部分では共感します。僕も、すごく自分(ひとり)でできると思っている節がありますし、やりたいと思うことがたくさんあるんです。だから自分と向き合っているほうだと思うんですけど、桜良の言葉で、「私はたくさんの人によって作られている」というのがあるんですけど、そのセリフが自分にもすごく刺さった言葉だったんです。「僕」との共通点があるからこそ、たくさんの人に支えられて自分は作られてきたんだろうなっていうのをあらためて感じたというか。いろんな人と出会って、いろんな会話をしたからこういう考え方になったのかなって思うことはいっぱいあるので、あらためて考えさせられた言葉でした。
――「僕」の声を当てるうえで意識したことはどんなことですか?
高杉 一番意識したのは桜良との距離感です。これが微妙な距離感だからこそ、恋人でも友達でもないしっていうのが成立するので、そこは大事にしました。それと監督からは1枚フィルターをかけて話してほしいと言われました。でも、その感じってわかるんですよ。僕自身も人との距離を見るタイプなので。相手も入られたくない距離ってあると思うし、それは僕にもあるので、そのフィルターが「僕」は厚いんだろうなと思うんです。その厚いところから徐々に変化していくところは、どうにかして見せていけたらなと思いながら演じていました。
――自分の中で、手応えというものはありました?
高杉 どうなんですかね……。自分で手応えというのはなかなか難しくて、まだ客観的に見られないところはあります。正解というものは原作の住野よる先生や牛嶋新一郎監督にしかわからないと思うんですけど、そこにどれだけ近づけられるかなのかなと思います。自分ももっとこの子を理解したいと思っていたので、僕にできることはそこだと思って、それを信じてやってはいました。
――自分の声というのは、いかがでした?
高杉 本当に自分の声があまり好きではなくて(笑)。唯一よかったなと思う部分は、声が低いことくらいなんですけど、あとはまだ恥ずかしいんですよね。スタジオでも確認で自分の声が流れたりするんですけど、本当にイヤでした(笑)。自分の声なんて、そういうものなんでしょうけど。
――ちなみに好きな声はどういう声なんですか?
高杉 う~ん……林原めぐみさんの声は好きです。男性なら神谷浩史さんでしょうか。セリフ回しが本当にきれいで素敵です。
――「仮面ライダー鎧武/ガイム」の時もアフレコは経験していると思いますが、それとも違いましたか?
高杉 あらためて難しいなと思いました。ライダーのときも、スーツアクターさんの動きに合わせてしゃべるのは、そんなに得意なほうではなかったんですけど……。その時も、自分のライダーをやってくださっているスーツアクターさんと話し合って、ひとりの人物を創り上げていくという感じで、「ひとりで演じているわけではない」って言ってもらったのがすごく印象的だったんでした。
ドラマとか実写の場合って、ナチュラルにしていくという作業がすごく多いんです。どれだけ自然な感じの芝居をして、お客さんを引き込むことができるかになるので、割合でいうと声よりも表情とか動きがほとんどを占めているんです。でも、イヤな顔になればイヤな声になるし、怒った顔ならば怒った声になるんですよね。だから声にはあまり強弱とかは付けないというのが自分の中であったんですけど、声だけのお芝居となると、強弱とか緩急だったりを付けないと棒読みに聞こえてしまう。そういうところは結構悩みつつやっていました。
――かなり大変そうですけど、また声優の仕事があればやってみたいですか?
高杉 ……もちろんです(きっぱり)! それは間違いなくです。ここまでずっと大変だったって話をしてきて、実際に大変だったんですけど、結局すごく楽しかったんですよね。自分は仕事を楽しんでやりたいと思うタイプなので、きつくても毎回楽しいなって思えるんです。今回も特にそうでした。でも、何をやったら成長できるのかわからないし、どうやっても明日は来るから逃げられないんだなと思いながらやってましたけど……(笑)。
――逃げたくなるときもあるんですね。
高杉 久々に逃げたくなりましたね(苦笑)。(声優は)ずっと自分がやりたいことだったので、その理想と現実との差をどうしたら埋められるのかというのに悩んでいて。僕はアニメやマンガやゲームが本当に大好きなので、自分が見てきた声優さんたちの本当に素晴らしいお仕事とか、素敵なアニメというのが自分の中の理想なんです。もちろん、そんなに簡単にできるとは思っていなかったですけど、その理想があったうえで、いざやってみると現実というのはひどいもので、遠く及ばないんですよね。でも、どうやったらその理想に近づけるのかというのを考えてて、近づくための練習をしたいと思うんですけど、何をやったらそこに辿り着けるのかがわからないんですよ! だから、やったことがないことを成長させるって難しいんだなって思いました。
――では、何度も録り直したシーンもあったり?
高杉 焼肉屋さんのシーンとかはかなりしゃべっていますし、自分の感情や考え方を話すシーンでもあるので、ほかよりは少し時間がかかったかもしれません。
――でも、アフレコは桜良役のLynnさんと恭子役の藤井ゆきよさんなどとともに、和気あいあいとやられていたというのはうかがっています。雰囲気はどうでした?
高杉 僕に関しては緊張していたので……(笑)。声優というお仕事が初めてだったので、ずっと緊張の糸を途切れさせないようにしていたんです。だから、あまり皆さんと多くはお話できなかったんですけど、でも、お2人がいるとすごく落ち着くというか、リラックスできる空間ではありました。それと、僕が一番感動した瞬間があるんですよ! Lynnさんと藤井ゆきよさんと隆弘役の内田雄馬さんたちのシーンで、「僕」が登場していなかったので後ろから見ていたんです。そのときは素の高杉真宙になって、泣きそうになった瞬間でした(笑)。「あっ! 今アニメの現場にいるんだ! 俺、アニメに関わってるんだ!」って思った瞬間だったので、本当に嬉しくて泣きそうになりました。
原作の空気感を、そのままアニメにした劇場アニメ「君の膵臓をたべたい」。話に出たように、声優初挑戦の高杉真宙さんが、悩みながらも命を吹き込んだ「僕」であるが、「僕」の雰囲気はとても出ていたと思う。彼がこだわったという「僕」と桜良の距離感や繊細のやり取りから何を感じるか。見た人それぞれが、何か考えるきっかけをくれる映画になっているので、劇場でそれを確かめに行ってほしい。
(取材・文・写真/塚越淳一、ヘアメイク/堤紗也香、スタイリスト/石橋修一)
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