【インタビュー】岩里祐穂作詞の3曲が感じさせる下地紫野の深み。2ndシングル「そんなの僕じゃない。」リリース!

声優の下地紫野が、1年9か月ぶりとなる2ndシングル「そんなの僕じゃない。」をリリースする。この曲は、TVアニメ「すのはら荘の管理人さん」のエンディングテーマ。年上女性に囲まれた男の子の日常を描く作品の主題歌でありながら、深いテーマ性を持った曲となった。今回のシングルの特徴は、カップリング曲を含めて、全3曲の作詞を岩里祐穂が担当していること。中には、下地紫野自身をテーマに書かれた曲もあり、彼女のパーソナリティを感じさせてくれるシングルになった。

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「そんなの僕じゃない。」は、歌詞に共感して歌うことができました

── 「すのはら荘の管理人さん」は、ある意味、夢のような作品ですよね。

下地 「すべてのあまえんぼうさんに贈る」というキャッチコピーが付けられていて、原作者のねこうめ先生も「亜樹くんは成長しなくていいんだ」とおっしゃっているとうかがって。たしかに「甘やかす」ってそういうことだよねって思いました。私も、さとりな(佐藤利奈)さんの声を聞いていると、「あ、癒やされる」って思います(笑)。包容力がすごいですよね。

── そんな作品のエンディングテーマが、「そんなの僕じゃない。」ですが、この曲には男の子の強い意志が描かれているように感じました。

下地 岩里祐穂さんから歌詞をいただいたときに思ったのは、亜樹くんから管理人さんへの思いだけでなく、誰もが持っている感情が書かれているということでした。誰にでも、なりたい自分というものがあると思うんですけど、高く掲げた理想にはそう簡単には届かないじゃないですか。タイトル通り、そんなの僕じゃない、そんなの私じゃないって思うことは私もあるので、そういう気持ちを大切に歌いたいなと思いました。

── たしかに、男性にも女性にも当てはまる歌詞なんですよね。

下地 さすが岩里さん! と思いました。原作を読んでから歌詞をいただいたので、こう来るかと。書かれているのは亜樹くんが抱えている感情でもあるんですけど、温かくてやわらかみのある「すのはら荘」の世界とは違って、心のどこかにある暗い部分まで歌詞では表現されていたんです。

── 時々出てくる、硬質な言葉がすごくインパクトがあるんですよね。たとえば、「未分化の漂流へ」とか「極限の証明へ」とか。

下地 そうなんです。突然、硬い言葉が入ってくることで、より内面的な歌詞になっているなと思いました。

── アニメ本編はフワフワと気持ちよく終わってエンディングテーマを聴くと、「あ、深い」と思うんです。作品に刺激を与える曲になっているように思います。

下地 作品とのギャップが相乗効果を生んでいたら、うれしいです。中島愛さんのオープニングテーマ「Bitter Sweet Harmony」は管理人さん目線のやわらかい曲で、やさしく見守っている感じが作品にぴったりで素敵ですよね。いっぽう、私の曲は亜樹くん目線で歌っているのが「対比が素敵だな」って思いました。

── オープニングテーマと見事にコントラストがついていると思いました。しかも、「そんなの僕じゃない。」はリズムが立っていて、エンディングにしてはかなり軽快な曲なんですよね。

下地 いくつかの候補曲の中から選ばれたのが、白戸佑輔さんが作曲してくださったこの曲でした。候補曲の中では一番尖った印象だったのにも関わらず、どこかウェッティで陰りがあって、そこがいいなと。私は、この曲から「青」という色と、夜明けや天気雨をイメージしました。

── それでアーティスト写真は、青い衣装で傘を差しているんですね。雨が降っていて、ウェット感のあるショットになっています。

下地 雨は、狙って撮ったわけじゃなくて偶然だったんです。でも、雨の写真になったことで、思春期にある心の悩みや陰りに通じる雰囲気が出たんじゃないかと思います。そんなこともあり、お気に入りの1枚になりました。

── 8月に出るシングルのアーティスト写真ですし、特に雨を歌った曲じゃないのに、アー写はなんで雨なんだろうと思っていたんですが、今のお話を聞いて納得しました。

下地 ジャケット写真も合わせて、今回のシングル用に撮った写真はショートフィルムっぽい空気感があって、ひとり取り残されているようなストーリーが感じられるんです。それが亜樹くんの、ひとりで悩んでいるイメージとも重なり合っていると思います。