「LOST SONG」第4~5話感想:見え隠れする謎と不自然な状況……、思わず深読みしたくなる2人の歌姫の物語!

「LOST SONG」視聴レビュー、今回は一気に第4話、第5話をお届けします。

第4話 墜ち行く歌

今回はリンが楽団を結成することを決意し、仲間が集まり始めるというストーリー。

王都に向かうリン一行ですが、彼女たちの前に王都軍の車両が姿を現します。どうやら車上で兵器を組み立てている様子。そこで作業する人々の集中力を高めるために、スティールドラム的な楽器を叩いて音を奏でる2人の少女の姿が。それを眺めているリンたちの前で、車両が大きく跳ねて乗り込んでいた少女の片割れが空中にダイブ! そのまま地面に落っこちてしまいますが、なんと爆睡してるじゃありませんか! なんだこいつは!

 

そんな彼女を助けにもうひとりの少女が駆けつけます。彼女の名前はアリュー。爆睡する少女は妹のモニカ。危ない目にあうと寝てしまうクセがあることが説明されます。どんなクセだよ!

ともあれ音楽を兵器作りのために奏でる2人に、「兵器作りなんてやめればいいのに!」とリン。正論を吐かれたアリューは、涙を浮かべてリンに反論します。どうやらこの姉妹、何か事情があって王都軍で音楽を奏でている様子。

 

その後、とある村にたどりついたリンは、酒場でアリューたちと再会。どうやらここが彼女たちの実家のようです。女将である母親にアリューたちは、自分たちが宮廷楽団で働いていると嘘をついているのです。なぜ王都軍所属と言わないのか。つまるところ手っ取り早くお金を集めて、母親のために薬を買ってあげるために軍にいることを選んだ様子。母親が心配するからか、軍属ということは内緒にしているようです。

意外と家族思いな2人は、楽しく音楽を奏でるという夢を諦めている模様。しかし、そんな姉妹の夢をかなえるためにリンとポニーは2人にセッションを提案。お店でちょっとした演奏会が始まります。これまではリンと歌と素朴なポニーの奏でるメロディだけだったところに、アリューのパーカッションとモニカのコーラスが加わり、グッと音に厚みが出てきました。心なしかリンの歌にも力がこもっているような。

その結果、なんと母親の目が見えるように! リンの癒しの歌声の力、すごい!

 

最終的にアリューとモニカは軍を抜けて、リンたちとともに王都を目指すことを決めます。徐々に仲間が集まっていく、王道のRPG的展開、悪くないと思います!

 

そんな中、バズラ将軍は、何やら不穏な動きを見せつつ「フィーニス」の名を口にします。両者にどんな関係があるのでしょうか。

 

いっぽう、フィーニスの歌の力を戦争に利用し続けるルード王子は、フィーニスに何やら耳打ち。その後、それまで行われてきた歌の力による傷ついた兵の治療が打ち切られることが決定。前線の兵たちに、「フィーニスが兵器となって敵軍を殲滅する」との情報が伝えられます。

すでに歌の力を限界まで使っているため、フィーニスの体がボロボロになっていることを知っているレオボルトは、いてもたってもいられず、馬で駆け出します。

 

仲間とともに王都を目指すリンたち。はたまた、戦争に翻弄されるフィーニスたち。彼女たちの運命が交差する日はいつ訪れるのでしょうか?

というところで第4話はおしまい。

 

気になるのが、リンたちの周囲は吟遊詩人狩り、歌い手狩りが行われているようなのですが、フィーニスの周りにはそのような話はひとつも出てこないこと。リンたちの前には新たな兵器がことあるごとに出てくるのですが、フィーニスの周りにはそのようなものはないこと。またフィーニスはアバンタイトルでは何かを書いていたのですが、これはどうもポニーが持っていた四大精霊の歌について書かれた紋章のよう。

どうも両者の時間軸がずれているような、世界がかみ合っていないような。そんな気がしてなりません。それがただの気のせいなのか……、多くの謎をはらみつつ次回に続きます。

 

第5話 邂逅の歌

続く第5話。

フィーニスは歌の力で敵軍を壊滅させるのですが、みずからの力で人々を傷つけているという事実に泣き崩れてしまいます。どうやらルード王子から、敵を倒さないとレオボルトを処刑すると脅されていたことが判明します。

それを聞いたコルテは、兵たちの目を盗んで野草を集め始めます。それは果たして……。

 

不穏な空気が流れるフィーニスサイドに対し、リンサイドも急展開。旅の途上でどこかに急ぐレオボルトを見かけたリンたち。どうやら行き先は同じく関所のようですが、そこでレオボルトとともども兵に捕らえられ幽閉されてしまいます。

意外な形で第1話以来の再会を果たしたリンとレオボルト。彼は、戦争を推進する王都軍を止めるべく各地を回って反対派の声を集めていることを明かします。

……おや? レオボルトは、戦争の最前線に飛ばされていたのでは……。これはどういうことなんでしょうか。

レオボルトは2人いるってことなんでしょうか。それとも……。

何気ない会話の端々に見え隠れする違和感が、いよいよもって表面化してきた感があります。

 

そんな重要なシーンかつ、囚われの身という深刻な場面にもかかわらず、食べ物を求めるリン、爆睡するモニカ、手でリズムを刻むアリュー、いい男(レオボルト)に目がないポニーとマイペースな一行。この緊張感のなさが、本作の面白さでもあるんだなあ。

 

ともあれ、レオボルトとリンたちは協力し関所を突破することを決意。リンの歌う「風の歌」の力で馬車ごと空に舞い上がる一行。兵の足を止めるべくひとりで敵陣に突っ込んだレオボルトは、リンたちに彼が探すもうひとりの歌姫の名が「フィーニス」であること。そして、ドクター・ヴァイゼンなる科学者の研究所を目指せと伝えます。

次の目的地を目指し、全力疾走するリンたち。そこで待ち受けるものは果たして……。そして、フィーニスの運命はいかに。

 

放送開始当初は予想だにしなかった、謎や伏線がついに表立って見えてきた第5話。このタイミングで、もう一度第1話から見直してもいいのかも。