「7 Days to Die」50時間プレイレビュー!約11年越しの製品版リリースとなった名作サバイバルクラフトゲーム

2024年7月26日より、PS5/Xbox Series X|S/PC(Steam、Microsoft Store)向けに「7 Days to Die」が配信されている。正式版リリースに先駆けて遊べるアーリーアクセス版として2013年にSteamで公開されて以来、さまざまなアップデートを重ねていき、今回ついに正式版が登場した。なお、記事執筆時点(2024年8月27日時点)では、日本でPS5版はまだリリースされていない。

本稿では、そんな本作のレビューをお届けしよう。

空腹と渇きに耐えつつ、襲い来るゾンビに立ち向かう

 

 

本作の舞台となるのは、第三次世界大戦によって崩壊した世界。戦争の影響で各地には大量のゾンビが徘徊していた。プレイヤーはアメリカのアリゾナ州にあるNavezganeという都市で、過酷な世界を生き延びるために道を模索していく。

 

 

 

ゲーム開始直後のプレイヤーは原始人のような姿で、最低限の装備やアイテムだけを持ってフィールドに放り出される。本作はリアルなサバイバル要素が特徴のひとつであり、放っておくとさまざまな脅威がプレイヤーに襲い掛かってくる。

 

最初に直面するのは、「食料値」と「水分値」。どちらも時間がたつにつれて徐々に減少していき、減りに応じてスタミナの最大値や回復量の低下といったマイナス効果が発動するうえ、最悪の場合餓死もありえる。

 

死なないために序盤は野生動物を狩って、生肉を手に入れたり、池や湖の水を飲んだりするのだが、生肉や浄化していない水を摂取すると、食料値と水分値の減る速度が上昇する「赤痢」にかかる可能性がある。だが飲まず食わずではまず死ぬので、赤痢に怯えながらでも生肉や汚水で命をつなげていくしかない。

 

 

 

そのため、生肉を焼いたり汚水を浄化する設備を手に入れたりするまでは、つねに病気の可能性を気にしなくてはならない。仮に赤痢になっても、治すために必要なアイテムは序盤あまり手に入らず、自然治癒を待つしかない。フィールドの各所には仕事の受注やアイテムの売買をしてくれるNPCがいるので、最初はそこで依頼をこなしてお金を稼ぎ、必要な物を買いそろえていくのが基本だろう。

 

 

とはいえ、病気予防のため食料や水を買っているとすぐに資金が尽きるし、ゾンビと戦うための武器や設備がなければ、後述するブラッドムーンホードはまず生き残れない。最初にプレイした際は、常に赤痢に悩まされながら仕事をこなす日々で、最後は焼けた森で出くわした犬にやられてしまった。空腹と渇きにその場しのぎで耐える紙一重の生活をどうにかこなしていたが、それでも4日が限界だった。食料や水を用意し、さらに集めた備蓄を集めるための拠点や、ブラッドムーンホードを想定した別の施設の建造、やることが非常に多く、本作の難易度はかなり高い。

 

飢えと渇きだけでなく、周囲で徘徊するゾンビも脅威だ。ゾンビはこちらに気付くと襲い掛かってくる。人型のみならず鳥、犬などタイプもさまざまで、攻撃を受けると体力が減るのはもちろん、一定の確率で感染状態になってしまう。放置しているとゾンビになってしまうので、切り株から取れるハチミツや、家屋などの施設や商人との取り引きで手に入る抗生物質での治療が必須となる。

 

さらに、毎日22時~4時はゾンビが活性化。日中は動きの鈍い人型ゾンビが走ってくるようになるため、追いつかれて攻撃される可能性が高い。おまけに7の倍数の日の同じ時間帯には、「ブラッドムーンホード」と呼ばれる現象が起こり、どこからともなく現れる大量のゾンビがプレイヤーを襲う。

 

とはいえ、本作では死んでも深刻なペナルティが課されるわけではない。ゲームを始める前にサーバーを立てるのだが、その際に設定をとくにいじっていなければ、仮にプレイヤーが倒れても、獲得した経験値が一部消失し、所持品をその場で落とす程度で済む。経験値はまた稼げばいいし、落とした所持品は回収できる。復活回数にも制限はないので、何度も死んで覚えるという力押しも可能。復活時には食料値と水分値も全回復する。

 

 

生き延びるのは難しいが、そのためのノウハウを学ぶまでに必要な試行錯誤は気兼ねなくできる。本作の難易度自体はシビアではあるものの、必要ならいくらでも死んでやり直せるおかげで、少しずつゲームのコツをつかむことで攻略できるようになっていく。その点で、本作のバランスは取れていると感じた。

できることが少しずつ増えていく達成感

 

 

本作の環境はプレイヤーにとってあまりにも過酷だが、時間をかけて探索や試行錯誤を続けていけば、徐々にできることは増えていくのは先述の通り。石斧を使って草や木から素材を採取していけば、拠点を作るための建築ブロックや弓が作れる。建築ブロックを使えばプレイヤーの自由に拠点が建てられるし、弓があればゾンビを遠くから攻撃できるうえ、野生動物に感づかれる前に倒せるおかげで獲り逃す心配もない。

 

 

フィールドの各地にある家や施設を探索すれば、薬品や弾薬、さらに銃などの武器も入手可能。さらに、ときどき手に入る本を読むと、読んだ本の種類に応じてポイントがたまっていき、一定値に達すると作れる装備が増える。さらにレベルが上がると得られるスキルポイントを割り振れば、スタミナ回復速度の上昇、特定の武器の攻撃力が増加といったさまざまな恩恵を得られるように。

 

装備が充実してくると、遠出する際はバイクに乗れるほか、近づいてくるゾンビをハンドガンやマシンガンで一方的に攻撃したり、群れを爆弾でまとめて吹っ飛ばせるようになる。ゾンビを迎撃する拠点には巨大な刃物のファンを付けたり、敵が近づくと爆発する地雷を埋めて防衛線を作ったり、取れる戦法も増えていく。

 

とはいえ、装備や拠点を充実させるまでの道のりは遠い。作れるものを増やすための本は、家や施設を1軒まるまる探索してようやく1、2冊手に入るくらいで、さらにレベルアップ時に手に入るスキルポイントを割り振れる項目は40以上と多く、それぞれレベルが1~10まで用意されている。強化したステータスや能力が、プレイヤーが実感できるほどに効果を発揮するまでには時間がかかるものの、その分不便な生活が改善されていく過程で得られる達成感はとひとしおだ。

 

 

民家や施設にはゾンビが隠れており、近くのプレイヤーに襲い掛かる

 

今回のレビューでは50時間ほどプレイした。結果、自力で水を収集・浄化できるようになったほか、軍用と思しき防具を一式そろえ、石製ではなく鉄製の斧やスコップで素材を集めたり、マシンガンやライフルを使って敵と戦ったりできるようになった。個人差はあるだろうが、食料や水を安定して入手し、かつ鉄製などの強力な装備を持って探索ができるようになるには、20時間ほどかかると思われる。

クリア条件を自分で決められる自由度の高さ

 

 

ブラッドムーンホードを生き残るという目的こそあるが、それはプレイヤーに提示された目標のひとつ。仮に達成できてもエンディングになるわけではない。なので、何を持ってクリアとするかは実質プレイヤーの判断に委ねられている。

 

 

もちろん大目標であるブラッドムーンホードを生き延びるでもいいし、建築ブロックを駆使して自分の思い描く拠点を作るのでもいい。広大なフィールドを踏破する、険しい地形を楽に通れるよう高架道路を敷く、序盤で自分を苦しめたゾンビを楽に全滅させられるくらい武器を充実させるなど、クリアに相当する条件は考え方によっていくらでも作れるだろう。逆に言うと終わりなきサバイバル生活を、延々と楽しむこともできるということでもある。

とくに建築系は奥が深く、ブロックが支えなしに設置できる距離などを考えながら、柱の配置や拠点の形状を変えていくという流れだけでも、時間がみるみる過ぎていく。

 

 

その分、ラスボスを倒してクリアになるような、明確な目標のあるゲームを遊ぶのが好きな人からすると、本作は手に余りそうな気はする。いっぽう、自分で目標を立ててコツコツやれる人にとっては、何十、何百と楽しむことができるだろう。

 

食料値や水分値に配慮しながらゾンビと戦うのは、少なくとも序盤は非常に難しい。とはいえ、戦闘や探索をこなすなかで、本を読んで作れるものを増やしたり、レベルを上げて得られるポイントでプレイヤーを強化したり、じっくりプレイを進めるにつれて徐々にできることが増えていく達成感は筆舌に尽くせないものがある。何度でも復活してやり直せる点も親切だ。サバイバル系が好きな人はもちろん、やり応えのある作品を求めている人、そうしたゲームに興味がある初心者にもオススメできる一作だ。

 

【タイトル情報】

■「7 Days to Die

発売日:2024年7月26日

価格:4,900円(税込)

メーカー:The Fun Pimps、テルテイル・ゲームズ

対応プラットフォーム※PS5/Xbox Series X|S/PC(Steam、Microsoft Store)※PS5日本未発売

ジャンル:ホラー

#

夏無内好

夏無内好

活動歴約10年のフリーライター。専門学校を出た後、大手のゲーム雑誌の記事作成や編集プロダクションの攻略本作成などを経験。週刊誌での長期連載やプレスリリースのリライトも経て、最近はアキバ総研などのウェブ系でも執筆を始める。 基本的に雑食で、RPGからアクション、シミュレーションやFPSまでなんでもやる。