毎クール多数発表されるアニメを、ことごとくデータベース化しているアキバ総研では、各アニメ作品の感想を書き込めるレビュー機能も大好評。
そこではライターや、アニメ好きのミュージシャン、タレントなど一家言ある「プロレビュアー」たちもレビューを続々と投稿している。
これまでいくつものおススメアニメを紹介してもらったが、アキバ総研のサービス終了が目前に迫ったこのタイミングで、各プロレビュアーに「人生を変えたアニメ」というもっともストレートでシンプルなお題でアニメレビューを執筆してもらった。
各作品がどんなアニメなのかが気になったら、ぜひリンク先で全文を読んでいただき、そしてアニメ本編を視聴した後に、皆さんもレビューを書きこんでほしい!
箭本進一/ライター
<プロフィール>
個性とパワーのほとばしりを愛するフリーライター。著書に「超クソゲー」「超ファミコン」(ともに共著)など。「アキバ総研」ではゲーム系の記事でも活躍中。
アニメ、ゲームをはじめとするサブカルチャーシーンで活躍する箭本さんのレビューは、まさにストロングスタイル! アニメファンが選んだアニメファンのためのアニメ、という感じでレビュー作品ならどれを観てもハズレなし。
劇場版 機動戦士ガンダム
<レビューより抜粋>
こうした中で蒙を啓いてくれたのが、当時勃興し始めていたアニメ雑誌の特集だ。アニメが今ほどに認められていない中、「機動戦士ガンダム」のどこがどうすごいのかを論ずる熱弁であった。五里霧中だったところに、光が差してきたような体験であり、筆者は語ることと伝えること、書くことの大切さを知った。現在ものを書く仕事をしているのも、こうした体験が影響しているのかも知れない。
熱狂のガンプラブーム。学校から走って帰り、定かならぬ入荷の噂に振り回されつつ周囲の模型店を巡った日々。ガンプラブームや映画版公開で社会現象となったガンダムと、大人たちから向けられる冷ややかな目、そして「なぜ大人たちはこの凄さを理解しないんだ」といった憤り。ガンダムについて語れることはまだまだ多く、誌面は幾らあっても足りない。
今や時代は変わった。ガンダムは共通言語の一つとなり、かつてのような憤りを覚えることはなくなっている。それでも「機動戦士ガンダム」の物語やセリフは奥深いものであり、様々な機会で見返す度に新たな魅力が発見できる。そうした意味で「機動戦士ガンダム」とは「人生を変えたアニメ」ではなく、「人生を変え続けているアニメ」なのだ。
伝説巨神イデオン 発動篇
<レビューより抜粋>
小学生だった筆者には、何が起こったのか分からなかった。皆はもう死んでしまった。ハッピーでもないし、バースデーでもないではないか。ただ、彼らがもうやり直せないほどに過ちを犯し、全てをリセットするしかなかったのは何となく理解できた。
彼らはどうしていれば良かったのだろう?映画を見終えてしばらくは恐ろしくて仕方がなかったし、ずっとあのラストについて考えて続けてもいた。
実は、今になっても答えは出ていない。彼らは人間であるがゆえに業や汚濁を内に秘めた灰色の存在であり、それゆえに「イデ」から見限られるしかなかったのではないか。つまり人は「イデ」から見限られ続けるのではないか?物事を黒と白に分けようとする「イデ」は正しかったのだろうか……と思考は巡り続ける。
筆者にとって「伝説巨神イデオン」もまた、「人生を変え続けているアニメ」なのだ。
鮫島一六三/芸人・DJ
<プロフィール>
お笑いコンビBAN BAN BANの「フリーザじゃない方」。2010年、アニソンDJイベント「アニソンディスコ」をコンビで立ち上げ国内外、会場の大小問わずさまざまな場所でアニソンを鳴らす。吉本興業所属。
芸人として活躍する鮫島さんは、アニソンDJイベント「アニソンディスコ」の主宰でもある。毎シーズン、アニメをていねいにチェックし、DJプレイの際にもアニメ本編をリスペクトしたパフォーマンスを取り入れている。そのレビューは、基本的に家族にアニメをおススメするという独特のスタイル。今回からは愛娘へのおススメという設定となっており、若干うざいお父さん感がじわじわくるレビューとなっている。変幻自在の筆致で読者の心を揺さぶるレビューは要チェックだ!
マクロスFRONTIER
<レビューより抜粋>
実はな、マクロスシリーズの要素の一つ「歌」にお父さんはやられてしまったんだ。お父さんさ、今 アニソンDJやってるだろ?
実を言うとな、元々アニソン 詳しくなかったんだ。ひょんなことから アニソンDJをやらなきゃいけない状況に追い込まれてしまったんだよ。
その状況から2週間後にアニソンDJとしてデビューだよ。
やばいだろ?
まあ、当時は仕事もなくただひたすらに時間はあったからな
アニメ好きの知り合いに頼み込んでおすすめのアニソンをたくさん教えてもらったんだ。元々ロックDJとかはやってたからな、「良い曲」を聴き分ける耳には自信があった。教えてもらった曲を全部聴き込んでいいと思った曲だけかけようと思ったんだな。
そんなときに「これとこれとこれとこれが聴いてて 心地よい 曲だなー」と思ったのが全部同じアニメ作品の曲だと知ったんだよ。
そう!マクロスFの曲ばっかりだったんだ。
おそ松くん
<レビューより抜粋>
「笑って泣ける!」てよく言うがエンタメの中ではきっとトップクラスに難しいものだと思う。
「おそ松くん」は、原作もアニメも、それをさらりとこなす「粋さ」てものがあった気がするよ。
今、お父さんも エンタメの仕事やってるけどな今思えばこの「一座感」とか「笑って泣ける」とか、そういうものは自分なりに追求してるつもりだ。
毎週土曜の18:30 今週はどんな話だろうとキラキラした気持ちで追いかけていたギャグアニメだったな。
坂本夏樹/ミュージシャン
<プロフィール>
チリヌルヲワカ、She Her Her Hers、Over The Topでのバンド活動を経て、スタジオ・ミュージシャン、プロデューサーとして、Creepy Nuts、DE DE MOUSE、HOME MADE 家族、reGretGirl、酸欠少女さユり、新山詩織、星街すいせい、美波など、様々な音楽制作に参加している。
音楽業界の第一線で活躍する坂本さんは、アニメにも精通している。2023年に「もういっぽん!」OPテーマ「Stand By Me」の編曲を、Subway Daydreamと共同で担当。実際にアニメソングを手がけた彼だけあって、そのレビューもまたアニメソングをフックとしたものとなっている。アニメ本編とアニメソングの関係について、改めて気づかせてくれるレビューは必見!
機動警察パトレイバー2 the Movie
<レビューより抜粋>
ふとしたきっかけから先輩にすすめられ観てみた本作。
なんかのっけから暗い…というかめちゃくちゃ不穏…思い出の中の、泉さんがコミカルに繰り広げるロボットアニメは、何かの記憶違いだったのか??
こんなにリアルな戦争物語ではなかったはず…
しかし、面白い!
時代の流れが不安定な現在だからこそ、圧倒的な画力で描きこまれる戦時下にある東京が余計リアルに感じられるし、大人になったからこそ
派手なバトルシーンよりも表情のみで語られる心理描写に引き込まれる。
魔法少女まどか☆マギカ
<レビューより抜粋>
アニソン、という枠を飛び越えてその人その人の心に残り続ける楽曲があると思います。
僕にもそんな思い入れの強い楽曲がたくさんありますが、中でも本作OPテーマ「コネクト」は現在の僕の主な生業でもあるアレンジャーとしての方向性にしっかりと向き合うきっかけとなった、特に重要な曲としてどんな制作の時も心の真ん中に在り続ける楽曲なんです。