押井守、絶縁状態だった出渕裕と「パトレイバー」草創期についてトーク! クッション役にはプロデューサー・鵜之澤伸

名作アニメ「機動警察パトレイバー」の実写版である「THE NEXT GENERATION パトレイバー」だが、「マモルの部屋」の第7回が開催された。

実写版パトレイバー、2014年4月から全7章をイベント上映! 完全オリジナル新作「THE NEXT GENERATION PATLABOR」

 

全長8mもの実物大98式イングラムやレイバードッグ併設の二課棟までを完全実体化するなど総製作費22億円を投入して制作していることでも注目の本作。4月5日の第1章(第0話~第1話)から順次公開され、2015年1月10日からは最終章となる第7章(第12話「大いなる遺産」)が上映されている。

今回、第7章公開を記念し、総監督・押井守さんがホストを務めるトークイベント「マモルの部屋」の第7回が1月22日に開催された。今回のゲストは、ヘッドギアのメンバーで押井さんと古くから付き合いのある出渕裕さん、「機動警察パトレイバー」のプロデューサーでバンダイナムコゲームス代表取締役副社長の鵜之澤伸さん。アニメ史に残る空前のヒットを記録した「機動警察パトレイバー」に深く関わった3人が草創期について熱く語った。以下、レポート

 

[1/27追記] 本文の一部を修正しました。
[1/29追記] タイトルを修正しました。

押井:7回目、やっとこれでおしまいですね。毎回ゲストを選ぶのが大変で、今回はついにあの男が来た!っていうね。来る方も来る方だと思うんだけど。もう1名は、初代のパトレイバーの仕掛け人で、今はバンダイナムコ(ゲームス)の男も来ています。出渕くんと僕がケンカしないように、鵜之澤くんが来てくれたんだと思います(笑)

鵜之澤:押井さんとは昔からの縁で、やってきました。鈴木敏夫さんの回を観て怖いなと思ってたんだけど。

出渕:HEADGEARにおりまして、最近では「宇宙戦艦ヤマト2199」シリーズの総監督やっていました、出渕です。大人ですから、みなさんの心配には及びません(笑)

押井:鵜之澤と最初に会ったのは、彼がプラモデルを作る部署にいた頃。開口一番、「うる星やつら」でおもちゃ出せない?って言われた。ラムちゃんなんかどう?って。そんな出会いで、途中は覚えていないんだけど、ある時、ナベさん(渡辺繁=当時バンダイ社員)と鵜之澤と3人で中華かどこかで、「テニスコートの誓い」をしたんです。当時は全員ペーペーで、平社員だった。もし将来3人とも偉くなったら、仕事しようって誓ったわけ。偉くなった途端に、ころっと忘れたでしょ!企画持って行ってもダメって言われてさ。

鵜之澤:そんなことないでしょ!

押井:ガルムをつぶしたこともあるでしょ!パトレイバーの実写もつぶしたでしょ。今更パトレイバーやってどうするのって言われた。企画を何度もつぶされ、いくつか通され、そんな関係を30年くらいやってきた。若いころからの付き合いで、時が経って別人と化したけど、結果的に偉くなった。

鵜之澤:出世作がパトなんで。

押井:100万本売れたらハワイ連れてくって、言ったでしょ!

鵜之澤:行く?

押井:連れてってくれるなら行くよ。

押井:ぶっちゃんと初めて出会ったのは、「紅い眼鏡」だった。伊藤和典(アニメシリーズの脚本)に紹介された。プロダクトの依頼をしたわけ。

出渕:「紅い眼鏡」のあと、パトレイバーで仕事したんです。

押井:そのあとは何度もケンカし、絶縁し、最後に会ったのは10年前くらいだっけ!?いまだに言いたいことはいっぱいあるんだけど。

出渕:押井さんは一方的ですよ!押井さんから、今度、模型雑誌の連載でパトレイバーとぶっちゃんの紹介をするからと言われて、了解したんですよ。で、見本誌を送って欲しいとお願いしたら、押井さんが「それはいいよ。最後に単行本にするから、その時に送る。」って言われた。おかしいなと思って、連載が始まる時、本屋で読んで、崩れ落ちたんです。その頃知り合いから心配されました。僕自身はたぶんガルムが頓挫して、腹の虫の居所が悪くて、何か言いたかったんじゃない?って思った。

押井:あんま覚えてないんだけど。

出渕:まさか、あの本のあとがきを依頼されると思わなかったよ!

押井:あれはいい話だったよ。メカニックデザイナーってそもそもそんなにいなくて、大体同じ人がやってた。それで、いつかメカニックデザイナーに対するある主の批評があったというか、論じてみたいと思った。それで、ぶっちゃんを書くのが一番わかりやすいと思った。連載中は誤解されると思った。

出渕:最後に愛があるって聞いて、これか、と思った。単行本の最後の一言ですよ。

押井:だから、連載中は理解されないと思った。…というわけで、こんな2人です。