自身初の自主企画としてプロデュースする「雷神八系-ZANAM-ファム・ファタール 運命の女」(以下、ファム・ファタール)プロジェクトを発表した声優・女優の岡本麻弥さん。
岡本さんと言えば「機動戦士Zガンダム」エマ・シーン役、「サイレントメビウス」彩弧由貴役、「サクラ大戦」ソレッタ・織姫役など、多くのアニメ作品で人気キャラクターを演じた人気声優だが、この「ファム・ファタール」は“90年代に放送され、岡本麻弥が主演声優と主題歌歌手を務めて大ヒットしたシリーズアニメ”という設定の“架空の”ロボットアニメだという。
⇒19年ぶりに声優・岡本麻弥が歌唱!架空の90年代アニメ主題歌&挿入歌CDリリース決定!ジャケットイラストは麻宮騎亜描き下ろし
このなんともユニークなプロジェクト第1弾として岡本さんが歌う主題歌&挿入歌、ショートストーリーなどを収録したコンセプトCDが、2017年4月30日に開催される同人音楽イベント「M3」にて先行発売されるとのこと。ジャケットイラストは岡本さんが出演した「サイレントメビウス」の作者でもある麻宮騎亜さんが担当。主題歌の作詞は、多くの声優・アーティストに詞を提供しているRUCCAさんが担当し、挿入歌の作詞は岡本さん自身が手がけているということでも話題になっている。
今回、アキバ総研ではCDリリースを間近に控えた岡本さんを直撃。企画の経緯から楽曲の魅力まで、思いのたけをたっぷり語っていただいた。
私は風! 自分の道を貫いた先で出会った企画
―― 今回は岡本さんの自主企画とのことですが、CDとしてはアルバム「Pure」以来19年ぶりのリリースということで、かなり間が空いていますよね。
岡本麻弥(以下、岡本) 空いてますね~。私ね……風なんですよ。今回の企画も風神がモチーフなんですけど、ムーミン谷でいえばスナフキン、柴又なら寅さんみたいな性格なんです。だからちょっと舞台のほうに行ったり、映像のほうに行ったり、アメリカに行ったりとフラついてるんです。
これを言うと負け惜しみに聞こえるかもしれないんですけど、私、長寿番組に当たらないようにしてきたんです。
―― 舞台活動に専念したりアメリカへ演劇留学したり、といった活動のためにあえてそうされていたということですか?
岡本 そうですね、長く続く作品にレギュラーで出演するとスケジュール面で自由に動けなくなるというのもあるし、とくに若いころは声優として大きく名前が出てそれが定着しちゃうのがすごく嫌でした。
別に声優が嫌だっていうことじゃなくて、“声優の岡本”って決められちゃうのが、当時は嫌だったんです。舞台もやるし、映像もやるし、声優もやるし、そういうふうに表現者全般で評価してもらいたかったんです。
―― 岡本さんはデビュー当時、まだ高校3年生だったそうですね。アニメを見ている側としては純粋にかわいらしい声、素敵なキャラクターだなぁって思っていましたが、今で言う声優アイドル的な方向で、歌をやったり、どんどん人前に出ていったりしていこうという話はありませんでしたか?
岡本 周囲はそういうふうに売ろうとしてくれていたと思うんですけどね。コンサートやってファンクラブ作ってみたいなことを……でも、嫌ですって断っていましたね。生意気に映ってしまったかもしれませんけど、「そうじゃない、私は役者のひとりとして早く認めてもらいたい」っていう思いが強かったです。
もしかしたら美味しい時期に日本にいなかったのかもしれないのですが、すごく運がいいなと思うのは、やっぱり(TVアニメの)デビューが「Zガンダム」という作品だったことですね。いったん放送が終わっても、その後ゲームになったり、新しいガンダムシリーズの作品ができたりして、今でも続いているじゃないですか。
あと外画(外国映画の吹き替え)のお仕事ができたのも大きいですね。同じ声の仕事でも、以前はアニメと外画の仕事ってかなり分かれていたんですけれど、珍しく「自分はどちらも向いてる」って言われていました。今思うと、業界の方や先輩たちにも守られていたんだなぁってすごく思います。そのおかげで、海外で活動したり結婚したりで現場を離れることがあっても、なんとか声優としても生きてこられたんだと思います。
ただ最近はアニメの声優っていっても、私くらいの年齢の女性って、お母さんとかおばさんのキャラくらいであまり枠がないでしょ。昔だったら歳を重ねても、まだまだ若い役を第一線でやれてたんですけど、良くも悪くも業界が変わったし、若い人もどんどん入ってきて声優の人数も増えちゃったから……。歳を重ねても全然劣化してなくて、素晴らしい演技をされる方もいっぱいいらっしゃるけど、多くの方が埋もれちゃってるんですよね。
―― たしかに本当に競争の激しい世界ですよね。
岡本 そんな時にマネージャーの「ドラゴン」が「麻弥さん、一緒にやりましょうよ」って言ってくれたんです。彼が年上の役者を売りたいっていう変わった人で、「このまま埋もれてちゃ、もったいないから打って出ましょう」って持ってきてくれたのが、今回のCDの企画なんです。