2016年8月10日に、ニューシングル「blaze」をリリースしたKalafina。TVアニメ「アルスラーン戦記 風塵乱舞」のエンディングテーマであるこの曲は、主人公アルスラーンの立ち止まらない思いを描いた、力強く壮大な楽曲だ。そして、9月には神戸・東京でのアリーナライブ「Kalafina Arena LIVE 2016」を開催。大型の会場で、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか? ライブに向けて、気合十分の3人に話を聞いた!
「blaze」は、Hikaruのリードボーカルありきの曲です
──新曲「blaze」は、前シリーズの「One Light」に引き続き、TVアニメ「アルスラーン戦記 風塵乱舞」のエンディングテーマですね。
Keiko はい。「One Light」から1年、また「アルスラーン戦記」に戻ってくることができました。「blaze」は、「One Light」と通じる世界観やメッセージがありつつ、ただひたすら走り続けるという、力強さを持った曲です。歌詞もボーカルもサウンドも、潔いものになっていると思います。
Hikaru 私たちの歌も、緩急をつけるのではなく、ずっと全力を出し続けるという感じでした。一瞬たりとも休めない、同じテンションで歌い続けないといけないというのは、とても難しいことなんです。でも、それをやるからこそ、伝わる思いがあると信じて歌いました。
Wakana 「blaze」の歌詞は、聴くたび、歌うたびに印象が変わっていって、今のKalafinaに重ねられる部分がたくさんあることに気付きました。 私たちは常に走り続けていたいという気持ちでいて、歌い続けることを目標にしています。 だからこそ、ずっと胸のなかで灯し続ける炎という表現に、とても感化されました。
Keiko 「blaze」は全体的にHikaruがリードを取っていて、曲を担ってくれました。Hikaru特有のストレートさが、「アルスラーン戦記」という作品にも、「blaze」という曲にもいい作用をもたらしていて。レコーディングは、まずHikaruからだったので、私とWakanaは、Hikaruのどう歌いたいかという気持ちに寄せて、Hikaruを感じながら歌入れをしました。
Hikaru プロデューサーの梶浦(由記)さんからも、ここはこう歌ってという細かい指示はなくて、梶浦さんと同じ目線で曲を感じることができたのかなと思って、うれしかったです。歌詞の1つひとつに情景を思い浮かべながら、素直な気持ちで歌いました。
──「One Light」をレコーディングした時とは違い、アニメの「アルスラーン戦記」を2クール見てから歌ったというのも、大きかったのではないでしょうか?
Hikaru そうですね。「アルスラーン戦記」は大好きになってしまって、原作の小説もずっと先まで読ませていただいたので、「風塵乱舞」はこんなストーリーになるというのが想像できて、歌詞と作品のストーリーを重ね合わせやすかったです。
──アルスラーンは前シリーズの序盤から比べると精神的にかなり成長して、しかし、さらなる困難が待ち受けているのが「風塵乱舞」ですね。
Hikaru そうですね。前シリーズは周囲に助けられながら、王の器になっていく話で、みんながいるからこそ自分は強くなれる、光になれるというのが、「One Light」でした。アルスラーンの心情を突き詰めていくというよりは、アルスラーンと彼を取り巻く人たちを、広い視野で描いているという印象の曲だったんです。それに比べて「blaze」は、国を離れて戦いながら自分自身を見つめ直し、毅然と歩き続けていく、アルスラーンの内面と向かい合った曲だと感じて。自分自身の中の炎が、歌詞とサウンドのテーマになっていると思いました。
──タイトルの「blaze」とは、激しく燃えている、心の炎というイメージなんですね。
Hikaru はい。心に炎を灯して、走り続けていくという、とてもシリアスな楽曲です。
Keiko HikaruがAメロを歌った後を受けて、Bメロでは一瞬、Wakanaがメインになるんです。ここは、少しやわらかいイメージになって、ボーカルを引き継ぐことで、うまく場面転換できたと思います。そして、サビではまたHikaruに戻って、心のともしびを消すことなく歩んでいくというメッセージ性を、強く打ち出しています。
Wakana 私は気持ち的には前へ進みたいのに、どこか少し引っ張られるような気持ち、そんな雰囲気を表現しました。そして、そこから抗うようにまた力を入れる…そんな気持ちで歌いました。
──そして、Keikoさんの低音が、お2人をしっかり支えていて。
Keiko ありがとうございます。「blaze」での私の役目は、勢いづけですね。Hikaruのボーカルを下からあおるイメージで歌いました。自由度が高いパートですし、メインと同じテンションで歌うとちょっとパワーが足りないので、これでもかという感じで、思いっきり歌いました。梶浦さんも、「かっこいい! もっとやって」と言ってくださったので、迷いなく歌うことができました。
──「blaze」は最後に、それぞれが1節ずつメインを取り、ボーカルを繋いで終わっていきます。この終わり方がまた、かっこよくて。
Keiko 「blaze」でもっとも希望が感じられるのは、造語のコーラスのパートなんですけど、今回、造語のコーラスは私たち以外の方に歌っていただいていて。私たち3人のボーカルで希望が見えている箇所は、このラストの部分なんです。曲の間、ずっと走り続けてきた主人公が、フーッと長く息を吐き出して、立ち止まりはしないけれど、自分の未来に光が当たっているのを感じるという終わり方で、レコーディングの時、梶浦さんも「この曲のボーカルの唯一の希望の部分だから」とおっしゃっていました。
──アウトロを引っ張り過ぎず、曲がスッと終わっていくのにも、潔さを感じました。