9月17日公開のアニメ映画「聲の形」より、完成披露上映会舞台挨拶のオフィシャルレポートが到着した。
「聲(こえ)の形」は、大今良時さんが2013~2014年に週刊少年マガジン(講談社)で連載していたマンガを原作とした劇場アニメ。聴覚障害者へのいじめをテーマにした原作は、手塚治虫文化賞新生賞など数々の賞を受賞し話題を呼んだ。監督は「けいおん!」「たまこラブストーリー」の山田尚子さん、脚本は「ガールズ&パンツァー」の吉田玲子さん、制作は京都アニメーション。
8月24日(水)に東京・丸の内ピカデリーで完成披露上映会が開催され、舞台挨拶に西宮硝子役の早見沙織さん、主人公・石田将也の少年時代を演じる松岡茉優さんと山田監督が登壇した。以下、イベントレポート。
MCの呼びかけにより、ヒロイン西宮硝子役の早見沙織、小学生時代の石田将也役の松岡茉優、山田尚子監督が登壇した。早見は「今日観ていただけることが本当にうれしいです、最後まで楽しんでいってください、よろしくお願いいたします」、松岡は「私は小学生時代の将也を演じました。完成した映画が本当にすばらしくて……これから観る皆さんどうぞ楽しんでください」、山田監督は「ものすごく緊張しています。よろしくお願いします」とそれぞれ一言挨拶。MCが登壇前に交わされた、それぞれのあだ名がはやみん(早見)、まっつん(松岡)、なおべえ(山田監督)だったというエピソードに触れるとこれからそう呼ぶことを3人は宣言。リラックスした様子で舞台挨拶にのぞんだ。それぞれが演じたキャラクターについて尋ねると、 「アフレコ現場や私の心意気としては、山田……なおべえ(笑)とお話をした際に(硝子は)伝えたいけどなかなか伝えられない、もがいてもがいて一生懸命生きている女の子でした。聖人君子というよりは一日一日を懸命に生きている、そういう気持ちでした(早見)」、「小学生時代の将也はいじめっこで、なんでだろうって思っていたんですが、将也とずっと向き合うと純粋で無垢で、彼が大好きになりました。この大好きな将也をこれから皆さんに観てもらうことができると思うと楽しみです(松岡)」、そして山田監督は「初めて原作を読んだ時から人の心に寄り添う、心のコアな部分に対して肯定的であろうとする、うまくいかないけどなんとか人と繋がろうとすることが描かれている作品だと思いました。『人と人』として対等に向き合うことを大事に描いていきたいと思って作りました」と本作への思いを語った。
共演した印象的なシーンとして、早見、松岡は同じシーンをあげる。「心に刺さるシーンが沢山あったのですが、小学生の硝子と将也が本当の意味でぶつかり合うシーンがあるんです。全然言葉になっていないんだけど伝わっている。それはこの作品の核になっているんじゃないかなと思います(早見)」、「そのシーンの収録の時は、わーっと感情的になりすぎて、声がでなくなってしまったんです(笑)(松岡)」とアフレコ時を振り返った。山田監督は「そのシーンは、将也は聴こうとしているし、硝子は伝えようとしている、お互いに向き合う大事なシーンだったので、そうお二人に思っていただけたなら良かったです。発する声を通してそれが伝わるすごいシーンになりました」。
そして、会場に来れなかった高校生の将也を演じた入野自由からのビデオメッセージでは「今回、映画『聲の形』で表現したいものはこれなんだっていうものがこのフィルムには詰まっていると思います。“聲の形”愛を存分に会場の皆さんに僕の分までぶつけてきてください!」という激励を受け松岡が収録中に入野と会い、その後に臨んだクライマックスシーンでは変化があったそうだ。山田は「松岡将也と入野将也がひとりになった。奇跡的な出会いをしているなと思うほどすごかったんです」と振り返った。続いて、主題歌を担当したaikoからの手紙が代読されると、「すごいねー!!」と3人は声を揃え、山田監督は「主題歌のイントロがピアノの練習曲みたいな感じで小学生から高校生まで、その過程をずっとみていてくれるような感じがしてすごくいいんです」と絶賛。
「ふんわりしたやさしい絵柄とやさしい音楽に包まれる映画ですが、内容は鋭利なところも描いています。自分が封印していたものがこじ開けられるような気持ちになることもあるかもしれませんが、今日この時間だけはそういうものを開放して、この作品と自分をぶつけあってほしいと思います(早見)」 、「いよいよみなさんの元にこの作品が届くのがすごくうれしいです。わたしはこの映画をみて、過去を振り返ることも出来たし、ポジティブにもなれました。明日を生きることがすごく楽しみになります。皆さんにも優しくて温かくて、幸せな気持ちになってほしいです(松岡)」 、「明日、もう一歩前に進むことができる、そんなちょっとした希望の兆しを灯せる作品になるといいなと思います(山田監督)」と締めくくった。