TVアニメ「甲鉄城のカバネリ」オープニングテーマ「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」のリリースにともない、開催されているEGOISTのライブツアー。5月に『EGOIST Greeting Tour 2016:side-A 「UNVEIL of KABANERI」』を成功させ、6月には引き続き、『EGOIST Greeting Tour 2016:side-B 「UNVEILed of KABANERI」』が、東京・大阪で開催されている。今回は、6月18日Zepp Tokyoでのライブの模様を、詳細にレポート!
ryo (supercell)がプロデュースを手がける架空のアーティスト、EGOIST。もともとはTVアニメ「ギルティクラウン」に登場したアーティストで、ライブでは、2次元のキャラクターである楪いのりと、実際にボーカルを務めるchellyがモーションキャプチャーによって連動。ステージのスクリーンの後ろで歌うchellyと同じ動きをするいのりの姿が映し出されるという形態が取られている。観客は、いのりのアクションとともに、chellyの生の歌声とMCを味わえるのが、大きな特徴だ。
この日のライブは、ファーストアルバムのタイトル曲「Extra terrestrial Biological Entities」からスタート。そこから、「好きと言われた日」と、まずは軽快なリズムの楽曲を続け、3曲目のスローな「Door」で、いったん会場の空気を落ち着かせる。序盤3曲は、どれも女性的なやわらかさを持つ楽曲だ。
「みなさん、こんばんは、EGOISTのchellyです」と最初の挨拶から、ファーストシングルの「Departures ~あなたにおくるアイの歌~」へ。6曲目の「カナデナル」では、いのりの背後に大きな月が浮かび、それがやがて真っ赤に染まっていく、ドラマチックな映像が映し出された。会場を染めるペンライトも、それに合わせて青から赤へと色替え。観客も演出の一端を担った。そして、「Fallen」「リローデッド」とヘビーな2曲が続き、真っ赤なペンライトが激しく振られることに。
5月4日に、同じくZepp Tokyoで行われた今回のライブツアーの初日公演では、Aimerをゲストに迎えて、「甲鉄城のカバネリ」エンディングテーマ「ninelie」などを一緒に歌ったchelly。今回は、ファンクラブラジオ「僕の考えた名前のないchelly」の公開録音を、この場でしたいと言う。
「今回はさらにスペシャルなゲストをお呼びしています。『甲鉄城のカバネリ』主人公・生駒役、畠中祐さん、そしてヒロイン・無名役、千本木彩花さんです」
このサプライズに、場内からは大歓声が。そして、EGOISTのツアーTシャツを着た声優陣2人がステージに現れた。
「『甲鉄城のカバネリ』の声優が決まった時は、どんな気持ちだったのでしょうか?」、「それぞれのキャラクターについて、どう思われますか?」、「アフレコ現場の雰囲気は?」、「印象に残っているシーンは?」というchellyの質問に、楽しいトークで応じていく2人。
次のコーナーは、生アフレコ。chellyが選んだ生駒のシーン、無名のシーン、生駒&無名のシーンを、2人がステージ上で実際に演じてみせた。しかも、アニメサイドの協力を得て、実際のアニメ映像付きという豪華さ。ステージ上での生アフレコは初体験ということで、緊張を隠せなかった2人だが、もちろん演技はばっちり。目の前で繰り広げられた生駒の絶叫や、無名の可憐なセリフに、観客は息を飲んだ。
「もうひとつお願いがありまして、オープニング『KABANERI OF THE IRON FORTRESS』のTV edit冒頭の、生駒のかっこいいセリフ。あれを生でできないかと思いまして」と、chelly。生駒だけでなく無名も加わってのスペシャルな、「どちらでもない。俺たちはカバネリだ!」というセリフに乗せて、「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」を歌い上げた。
歌い終わると、畠中と千本木が再びステージに。畠中が、最初の「貴様、人かカバネか?」というセリフを、chellyみずからが演じたことを披露。その迫真の演技は、声優2人から「すごいですよね」と絶賛を受けた。大きな拍手に送られて、ゲスト2人は退場。「僕チェリ」の公開収録は、盛り上がりに盛り上がって終わった。
そこからライブは後半戦。「It’s All About You」、「手遅れ」、「elbadaernU」、「1.4.2」とアップテンポな曲が続き、観客との息の合ったコール&レスポンスが。短いMCを挿んで、「名前のない怪物」、「The Everlasting Guilty Crown」というEGOISTの代表曲2曲へ。ここでライブは絶頂に達し、バラードの「All Alone With You」で、ライブ本編は終わりとなった。
いのりがツアーTシャツに衣装チェンジしてのアンコールは、オシャレなポップソング「LoveStruck」からスタート。プレゼント抽選コーナーを挿み、「雨、キミを連れて」、「Lovely Icecream Princess Sweetie」、「キミソラキセキ」とたっぷり3曲を歌い上げた。
声優陣の登場というサプライズもあったが、やっぱり一番印象に残ったのは、chellyといのりの独特な存在感。2人とも、情熱は歌だけに込めるというタイプで、MCのテンションは実にフラット。落ち着いた声で「まだまだ盛り上がれますか?」と観客を煽り、それに会場が大歓声で応える光景を見ていると、EGOISTという架空の存在を、この場の全員が大切に思い、ライブという現実の場にそれを出現させているように感じた。
面白かったのは、chellyが水を飲むシーンで、もちろん、その時にはスクリーンのいのりの手にもボトルが。水を飲むというのはバーチャルには必要がないことで、やっぱりEGOISTは“LIVE”なのだなと思わされた。
最後の曲「キミソラキセキ」を歌う前に、chellyがライブの終了を惜しむ観客をなだめるように言った「また会えますよ」という言葉が印象的。こんな気負わないやさしさが、彼女の本質なのかもしれない。
(取材・文/鈴木隆詩)
EGOIST Greeting Tour 2016 : side-B “UNVEILed of KABANERI”2016年6月18日 Zepp Tokyo
〈セットリスト〉
01. Extra terrestrial Biological Entities
02. 好きと言われた日
03. Door
04. Departures ~あなたにおくるアイの歌~
05. Ghost of a smile
06. カナデナル
07. Fallen
08. リローデッド
ファンクラブラジオ「僕の考えた名前のないChelly」公開収録/ゲスト:畠中佑(生駒役)・千本木彩花(無名役)
09. KABANERI OF THE IRON FORTRESS
10. It’s All About You
11. 手遅れ
12. elbadaernU
13. 1.4.2
14. 名前のない怪物
15. The Everlasting Guilty Crown
16. All Alone With You
17. LoveStruck
18. 雨、キミを連れて
19. Lovely Icecream Princess Sweetie
20. キミソラキセキ
EGOIST プロフィール
TVアニメ「ギルティクラウン」から生まれた架空のアーティスト。ryo (supercell)がプロデュースを手がけ、2000人を越える応募者の中から選ばれた歌姫chelly がボーカルを担当。「ギルティクラウン」の放送終了後に作品世界を飛び出し、TVアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」や、劇場公開作品「屍者の帝国」、「虐殺器官」、「ハーモニー」の主題歌を務める。最新シングルは、TVアニメ「甲鉄城のカバネリ」OP「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」(Sony Music Records)。