世界初のTCG(トレーディングカードゲーム)である「マジック:ザ・ギャザリング」が世に出てから約30年。数多くのタイトルが世に登場し、今もなお新作が発表され世界中で遊ばれ続けているTCGですが、子供の頃にちょっとだけ遊んだだけとか、実は一度も触ったことがないという方も多いのではないでしょうか?
そこでこの連載では人気のTCGを発売しているメーカーさんに突撃取材し、TCG初心者が今から始めても楽しめるゲームの魅力や、開発チームやスタッフさんにお聞きしたTCG業界のお話を体験レポート形式でお届けします。
第2回となる今回は、日本国内だけでなく世界的にも有名な週刊少年ジャンプのマンガ作品「ONE PIECE」をモチーフにした「ONE PIECEカードゲーム」をピックアップ。バンダイから、2022年7月8日にリリースされたばかりの最新タイトルです。
今回、開発チームの方から実際の公式で実施しているティーチングイベントと同じ形式で遊び方の講習を受けつつ、スタートデッキを使って実際に遊んでみて「ONE PIECEカードゲーム」の魅力を体験してきました。
記事後半では、TCG開発チームの今村拓也さんに「ONE PIECEカードゲーム」の開発秘話から今後の展開、TCG業界を盛り上げていくためのアイデアや、これからTCGを始めたい方へのメッセージをうかがってきました!
取材してきた人
ラビカ
新規TCGプレイヤーを増やすという使命を受けて、TCG界からやってきたデッキケースの妖精。新規プレイヤーが増えないととんでもないことになるため、今日もTCGの魅力を世界に広めるお手伝いをしている。
この体のままだとカードゲームをプレイできないので、取材中は生アバターの手を使ってプレイする。
原作再現度の高いゲームシステムに大興奮!
こんにちはー、ONE PIECEのTCGで遊びに来たよー!
バンダイ・今村拓也さん(以下、今村) こんにちは、ラビカちゃん。株式会社バンダイ カード事業部、TCG開発チームの今村拓也です。
バンダイ・小川詩乃さん(以下、小川) 同じく、TCG開発チームの小川詩乃です。
あ、お姉さん見たことある! 「ONE PIECEカードゲーム」のYouTubeに出てるよね?
小川 ラビカちゃん、よくチェックしてるねー。
開発チームの小川さんも出演されている公式動画はこちら!
今村 今回ラビカちゃんに遊んでいただく「ONE PIECEカードゲーム」が、こちらです。
「ONE PIECEカードゲーム」とは
世界的にも圧倒的な人気となっている週刊少年ジャンプのマンガ作品「ONE PIECE」の連載25周年を記念して、2022年にバンダイから発売された新規TCGタイトル。作品に登場するさまざまな「キャラクターカード」や「イベントカード」、そして原作マンガの特徴でもあり、ゲーム内でもコストの代わりやキャラクターの強化にも用いる「ドン!!カード」などを駆使して対戦相手を攻撃し、ライフが0になった相手リーダーを攻撃したプレイヤーが勝利となる。デッキのカード以外の準備は必要ないシンプルさながら、「ドン!!カード」を用いた幅広い戦術や、伏せられたライフカードによる逆転要素などが対戦を盛り上げてくれる、遊びやすさと骨太な戦略性を兼ね備えたタイトルだ。
ていねいにゲームルールを解説してくれる今村さん
今村 ここからは、私が実際のカードを使ってティーチングしながら遊び方の説明をしていきますね。今回の取材では、ルフィがリーダーの『スタートデッキ「麦わらの一味」』と、カイドウがリーダーの『スタートデッキ「百獣海賊団」』という2つのスターターデッキを使って進めていきます。
海賊団とか海軍みたいなチームごとにデッキが分かれてるんだー。じゃあ、ラビカはルフィを使うね!
小川 それじゃあ、私はカイドウを動かして説明しますけど……。ラビカちゃん、その手でプレイできるの?
大丈夫よ。ラビカ、TCGやる時は生アバター使うから。
今村・小川 (生アバター……?)
手前に写っているのはラビカが取材用に使っている生アバターの手です
今村 ……気を取り直して。「ONE PIECEカードゲーム」には全部で5種類のカードがありまして、デッキの軸になるのがルフィ、カイドウのリーダーカードです。このリーダーカードと同じ色を持つ50枚のデッキと、コストやカード強化に使うドン!!カード10枚の計61枚で組んだデッキを使って遊びます。
ドン!!カードっておもしろいね。「ONE PIECE」原作の効果音がモチーフなのね。!
今村 リーダーカードはデッキの指針になるカードで、みずからアタックしたり効果を使用したりしてゲームの軸を担います。
そして、ライフの代わりにデッキからリーダーカードのライフ分のカードを伏せておきます。リーダーがダメージを受けると伏せたライフのカードを手札に加えます。ライフが0になった状態で攻撃を受けると負けになります。また、デッキが0枚になっても負けです。
なるほどー。ゲーム開始時点で、デッキから任意の枚数をライフ用に割いた状態から始まるんだね。ダメージを受けたら手札に戻るっていうのもおもしろいし、ここが逆転要素になりそう!
今村 それ以外にも、コストを支払って場に出すことでリーダーと一緒に戦うことのできるキャラクターカードと、コストを支払ってカードの効果を発動できるイベントカード、場に1枚だけ配置可能でさまざまなサポート効果が得られるステージカードがあります。
バトルの時は、アタックしているカードがアタックを受けているカードのパワー以上の場合、キャラクターカードが相手であればKO、リーダーカードが相手であれば、相手のライフを1減らすことができます。
このあたりは、一般的なカードゲームと共通している要素が多いから理解しやすいね。
今村 ポイントは、さっきもお見せしたドン!!カードです。毎ターン2枚ずつ自動的に増えていくドン!!カードですが、これはキャラクターカードやイベントカードをプレイする際のコストの代わりになるだけではなく、リーダーカードやキャラクターカードがアタックする際にパワーを追加させることができます。最大数は10枚ですが、アクティブ状態のドン!!カードであれば何枚でも追加パワーとして乗せられるので、ここぞという時のバトルに使うといいですね。
ここまでがカードの説明になり、ここからは実際の流れに沿ってチュートリアルを進めていければと思いますが……。その前に「ONE PIECEカードゲーム」の大きな特徴をお伝えしたいと思います。
特徴?
今村 「ONE PIECEカードゲーム」では、メインフェイズにアタックもできればキャラクターカードも出せて、その順番にも特に指定はないというところです。可能な限り、好きな順番でプレイできます。
それはわかりやすくていいねー! あんまりTCG慣れしてないプレイヤーさんだと、順番がわからなくなってこんがらがっちゃうこともあるものね。
今村 さて、ここからは実際にプレイしながら説明していきましょう。まずはお互いにリーダーカードを置いた後、じゃんけんで先攻後攻を決めます。そして手札をデッキから5枚引きます。
小川 この時、手札の内容が気に入らなければ1度だけ手札を引き直すことができます。ただし、1枚や2枚ではなく、5枚いっぺんに交換しなければいけません。
高コストのカードばっかりだったら大変だものねー。
今村 そして、ライフをリーダーカードに記載されている分だけ配置したら先攻からゲームスタートです。ターンの進め方は、前のターンでレストになったカードをアクティブにする「リフレッシュフェイズ」、デッキから1枚手札に加える「ドローフェイズ」、ドン!!デッキからドン!!カードを2枚追加する「ドン!!フェイズ」、カードをプレイする「メインフェイズ」、ターンの交代を行う処理をする「エンドフェイズ」、という5つのフェイズをお互いに繰り返していきます。
小川 ただし、1ターン目は先攻のプレイヤーにはドローフェイズがなく、またドン!!フェイズに補充できるドン!!カードも最初は1枚だけです。また、先攻後攻ともに1ターン目はリーダーカードによるアタックはできません。
じゃないと、先攻が有利になりすぎちゃうからね。
今村 そしてメインフェイズです。コストを払ってキャラクターカードを出すことができますが、カード効果に「速攻」があるキャラクターでない限り、場に出たターンはキャラクターカードが攻撃することはできません。
へー! ほかには、どんな特殊なカード効果があるの?
小川 リーダーに代わってキャラクターがアタックを肩代わりできる「ブロッカー」や、相手のアタックに対して発動する「カウンター」、リーダーに2ダメージ与えられる「ダブルアタック」などがあります。それ以外にも、カードに書かれている固有の効果はたくさんありますよ。
今村 あとは、自分のターンが回ってきたら、ドン!!カードをやりくりしながらキャラクターカードを召喚したり、相手プレイヤーにアタックしたりしながら勝利を目指します。リーダーによってデッキの特性や戦略も異なるので、相手の動きを見ながらカードの効果を使ったり、攻める時はドン!!カードをしっかりとアタックに乗せておいて相手に妨害されないようにしたりするのがバトルの肝になります。
TCGとしてはシンプルだけど、ドン!!カードのリソース管理がすごく重要そうだね。うーん、早く遊んでみたい!
今村 それじゃあ、チュートリアルはここまでにして実際にプレイしてみましょうか。ここからは自由対戦ということで、私、今村がお相手しますね。
ラビカの実力を思い知るといいよ……。それじゃあ、引き続きラビカはルフィの麦わら海賊団デッキを使うね!
今村 麦わら海賊団デッキは、速攻持ちがいるスピードの速いデッキですね。では私はカイドウの百獣海賊団デッキで。こちらはドン!!カードを使った強力なカード効果のあるデッキになっています。
~20分後、今村ターン~
今村 はい、それではキャラクターカードのカイドウにドン!!カードを乗せてパワーが11000になりました。リーダーにアタックしますが、なにかカウンターのカードを出しますか?
……だ、出せません。ライフで受けます……。
今村 では、リーダーのルフィよりパワーが強いのでダメージが通ります。ラビカちゃんはライフがゼロの状態でダメージを受けたので、敗北になります。
キー、くやしいー! でもおもしろかったー! 思ったよりもゲームスピードが速くて爽快感があるのね。あと、カードの絵も原作そのままのものもあればTCG書き下ろしのものもあるから見てて飽きないし、カードの名前とか効果が原作そのまんまだったりするから技名とか思わず叫びたくなっちゃう! これ、「ONE PIECE」ファンだったらすっごくうれしい要素だね。
今村 「ONE PIECE」ファンの方はもちろんですが、一般のTCGファンの方でも満足いただけるようなシンプルかつ奥の深い楽しみ方ができると思います。
次ページでは、今村拓也さんにONE PIECEカードゲーム の商品開発について聞いてみたよ!