アキバ総研をご覧の皆さま、いかがお過ごしでしょうか。ゲーム買いすぎちゃう系ライターの百壁ネロでございます。突然ですが皆さま、今年の夏は何かホラーゲームをプレイしましたか? ゲーム界の夏の風物詩と言えばやはりホラーゲームですが、今回はそんな残暑にピッタリの作品、「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」をご紹介したいと思います。
なお、本作はPS5版、PS4版、Xbox版などが発売されていますが、今回はPS4版でレビューをしています。
楽しいサマーキャンプに迫り来る恐怖の影……。大作ホラー映画さながらの手に汗を握るストーリー
「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」は、映画のようなスリリングなストーリーを体験できるホラーアドベンチャーゲームです。
筆者はファーストインプレッションで、本作のタイトルやキービジュアルなどの雰囲気から、80年代あたりの同名のホラー映画をゲーム化した作品なのかな……と思ってしまいましたが、本作は完全オリジナルの作品。タイトルや見た目のみならず、ストーリーの構成や登場人物のキャラクター性など、そこかしこにギュギュッと「ホラー映画らしさ」が詰め込まれているのが本作の特徴となっています。
そんなホラー映画感漂う「クアリー」ですが、なんといっても最初に目を引くのは、実写のような美麗グラフィック。本作には最新のフェイシャルキャプチャー技術と映画さながらのライティング技術が用いられており、さらにハリウッドで活躍する数々の名優たちがキャラクターの演技を務めているため、初見の印象は完全に実写映画です。筆者はPS4版をプレイしましたが、正直、PS4でここまで高水準の映像が楽しめるとは思っておらず、いい意味で意表を突かれました。PS5ではさらなるハイクオリティな体験を期待できるのではないかと思います。
「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」は、その名の通り、サマーキャンプを舞台にした作品です。この「サマーキャンプ」という言葉、日本ではあまりなじみのないものですが、これは夏休みを利用して子供たちを対象にスポーツやアクティビティなどを行う、長期間の体験学習のこと。このサマーキャンプには、子供たちをサポートする役割を担う「キャンプカウンセラー」や「キャンプリーダー」というボランティア指導員がいるのですが、本作「クアリー」の主人公である若者たちも皆、「ハケット採石場」で行われるサマーキャンプのキャンプカウンセラーです。ちなみに、タイトルにある「クアリー」というのは、採石場のことを指す英語です。
この「サマーキャンプ」という催しは何を隠そう、プロム(卒業パーティー)と並ぶ、海外のホラー映画における頻出シチュエーション。有名なところでいえば、あのホッケーマスクの殺人鬼・ジェイソンを生み出した伝説のホラー映画「13日の金曜日」が、サマーキャンプを舞台にした作品だったりします。というわけでさっそく、そんなホラーの王道ロケーションであるサマーキャンプで繰り広げられる「クアリー」のストーリーをご紹介していきましょう。
物語の舞台となるのは、ニューヨーク州北部の人里離れた森の中にあるハケット採石場。湖を有する美しい自然に囲まれたこのハケット採石場では定期的にサマーキャンプが行われていますが、本作のプロローグが始まるのはサマーキャンプ開催の前日である6月25日。ハケット採石場に1日早く向かうことにしたキャンプカウンセラーのローラとマックスが、森の中で道に迷ってしまうところから物語が始まります。
真っ暗な森の夜、自分たちの車以外には誰もいない道、そしてスマホは圏外という、今にも何かが起きそうなシチュエーション……。ちなみに、雰囲気は80年代ホラー映画テイストの本作ですが、スマホが登場していることからわかるように、舞台となる時代は現代となっています。
すると突然、ローラとマックスの車の前に“何か”が飛び出します。あわてて避けようとして森の中に車を突っ込んでしまい、立ち往生する2人。そこになにやら不気味で怪しげな保安官が現れ、事情を話す2人に対し、「ハケット採石場には行くな」と威圧的に告げます。ローラとマックスは、ホラー映画のお約束といわんばかりにその忠告を無視してハケット採石場へ向かうのですが……そこで恐ろしい悲劇に出会ってしまうのです。
と、ここまでがプロローグとなっており、物語の本編が始まるのはサマーキャンプに参加していた子供たちがハケット採石場から帰っていった、8月22日。プロローグから2か月ほどがたったこの日、キャンプカウンセラーを務めていた7人の若者たちも、無事サマーキャンプを終えたことにひと息つきつつ、談笑しながら帰り支度をしています。しかし、もっと仲間との時間を過ごしたいと考えたある若者が、わざと車を故障させ、帰宅ができない状況を作り上げてしまいます。
もうひと晩みんなで過ごせると浮足立つキャンプカウンセラーの若者たちでしたが、ハケット採石場のオーナーであるクリス・ハケット氏はなにやら慌てた様子で、「今夜は絶対にロッジの外に出るな」と言い放ち、ひとり、自分の車で去ってしまいます。こうして、不穏な雰囲気の中、7人の若者たちの悪夢のような一夜が幕を開けるのでした……。
何かを隠しているような雰囲気の不気味な大人たち、真っ赤な液体にまみれた謎のハンターたち、そして7人の若者たちに迫りくる恐怖の“何か”、さらにチャプターとチャプターの間に現れてプレイヤーに語りかけてくる謎の老婆と、これでもかとばかりにホラー要素が詰め込まれている本作のストーリー。
ネタバレを防ぐために具体的な内容についてはここでは記載しませんが、物語の序盤は主人公である若者たちそれぞれの性格や関係性を知りつつ正体不明の“何か”の接近にハラハラし、中盤以降は“何か”との攻防を中心に大人たちやハンターたちの思惑も加わってさらにスリリングな展開へ、そして終盤では物語に散りばめられた数々の謎が1本の線となっていくミステリーの解決編のような驚きの展開が楽しめる構成となっています。総じて、大作映画を鑑賞したような充実感を味わえるストーリーになっていると言えるでしょう。
と、本作について、ここまで「映画的」という特徴を繰り返してきましたが、しかし、忘れてはならないのは、本作はあくまでも「ゲーム」であるという点。実は本作はマルチエンディングが採用されており、プレイヤーの選択によって物語が分岐していくシステムとなっているのです。
主人公である若者たちが悪夢の一夜を生き抜けるのか、それとも命を落としてしまうのか、すべてはプレイヤーの選択次第。直感のままに選択してどういう結末になるかを見守るか、全員生存エンドを目指してみるか、はたまたもしかしたら全員生存より難しいかもしれない(?)全員死亡エンドを目指してみるか……。
全10チャプター構成となっており、プレイするだけでもボリュームの感じられる本作ですが、さまざまなエンディングを見るべく繰り返しのプレイも楽しめるというのは、本作の大きな魅力だと言えるでしょう。
まるで映画の中に入ったみたい!? 高い没入感が楽しめるユニークなゲームシステムの数々
本作は、大きく分けて「ムービーパート」と「探索パート」の2つで構成されていますが、物語を分岐させる選択肢は、さまざまな場面で登場します。どんなに小さな選択でも少なからず物語に影響を及ぼすため、できるかぎりじっくり慎重に選びたいところですが、なかには時間制限付きの選択もあるので要注意。迫りくる危機の中、とっさの判断を迫られるゲーム中の主人公たちとシンクロするような感覚が体験できます。
選んだ選択肢によって今後の展開の変化が確定した場合には、画面上に「分岐確定」という文字が現れます。ノイズとともに表示されるこの演出によって、プレイヤーは「自分が選んだ選択肢は正しかったんだろうか……?」という底知れない不安を感じること請け合い。もう後戻りはできないという、スリリングな感情がプレイヤーに与えられます。
ちなみに、確定した分岐によって物語がどういう流れになったかについては、メニュー画面中の「分岐」の項目からいつでも見直すことが可能。余談ですが、この画面で見られるVHSのジャケット風のイラストがとてもハイクオリティ。ひと昔前のレンタルビデオ店でホラーコーナーに並んでいてもまったく違和感のないデザインとなっており、製作者の「ホラー映画あるある」へのこだわりっぷりが垣間見えます。
ムービーパートでは、選択肢以外に、QTEが挿入されることがあります。
QTEとは「Quick Time Event(クイックタイムイベント)」の略で、制限時間内に画面上に表示される指示通りにコントローラーを入力するというミニゲーム的なイベント。落ちそうになったスマホや鍵をキャッチする」といった日常動作的なものから、“何か”に追われている最中に障害物を避けるという成否がダイレクトに生死に関わりそうなものまであり、プレイヤーにほどよく緊張感を与えてくれます。
ムービーをのんびり鑑賞していると唐突にQTEが始まるなんてこともよくあるので、ムービー中とは言え間違ってもコントローラーを手放さないようにしましょう。
ちなみにこのQTEは、ゲームによっては失敗が即ゲームオーバーにつながることもあり、好き嫌いが分かれやすいシステムなのですが、本作ではオプションでQTEの制限時間を延長したり、自動化することが可能なので、アクションが苦手な方でも安心してプレイを楽しめます。なお、腕に自信があるプレイヤーは、逆に「タイムリミット短縮」を設定して難易度と緊張感をアップさせることもできますよ!
そのほかにも、1人称視点で銃を構えて対象を狙って射撃する(もしくは撃たないことを選択する)場面や、追ってくるモノから隠れて息を止めてやり過ごす場面など、プレイヤーがコントローラーを操作してアクションを起こす必要がある局面が多数存在します。選択肢やQTEに、これらのミニゲーム的なシーンが加わることによって、まるで映画の登場人物になったような、没入感の高いホラー体験が味わえる仕組みになっています。
「探索パート」は、キャラクターを直接操作してフィールド内を探索するパート。
自由に歩き回ってアイテムを探し、ほかのキャラクターに話しかけることが可能です。なかにはピンチを切り抜けるために必要なアイテムもあるため、隅々までくまなく探索したいところ。
さらに、物語に隠された真実をひも解くための「手がかり」や「証拠」が見つかることもあります。これらはゲームの攻略には直接関わってこないものの、ストーリーをより深く知ることができるので、本作を100%楽しみたいなら忘れずに集めていきたいところです。
さらに、探索中には「タロットカード」を発見することもあります。
これはほかのアイテムとは異なり、ゲームを進めるうえでのヒントを見ることができる、いわゆるお助けアイテム的なもの。チャプターとチャプターの間で登場する謎の老婆が、集めたタロットカードに応じたヒントを語ってくれるほか、見つけたタロットから1枚を選ぶことで、次のチャプターで起こり得るシーンの断片を少しだけ見せてくれる仕組みになっています。
タロットカードはほかのアイテムとは違い、パッと見でわかるような場所には隠されていないため、獲得し損なわないためには隅から隅までじっくりと歩き回ってみることが重要。ヒント機能だけではなくコレクション要素としての側面もあるので、ゲーマー魂に火がつく方もいるかもしれません。
ココがスゴい!「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」の筆者的推しポイント3選
それではここからは、筆者の独断と偏見でチョイスした本作の推しポイントをご紹介していきましょう。
1.「マルチプレイ」「ムービーモード」など、アドベンチャーゲームの常識を覆す画期的なシステム
ホラーアドベンチャーゲームというと、ひとりでじっくり黙々と遊ぶというイメージが強いですが、なんと本作には、アドベンチャーゲームとしては画期的すぎる「マルチプレイ」の機能が実装されています。
各プレイヤーがそれぞれ違うキャラクターを担当して行動を決定する、パーティータイプのオフライン協力プレイのほか、最大7人のフレンドを招待して一緒に視聴できる招待制のオンラインマルチモードも搭載。ホストがプレイしている間にフレンドはプレイを視聴し、重要な決断の際には全員が投票して多数決で選択肢を決定する仕組みとなっています。オンラインで協力してアドベンチャーゲームをプレイするというこのシステムは、かなり斬新。「クアリー」を持っているフレンドがいるなら、アドベンチャーゲームの新しい楽しみ方として、一度体験してみる価値があるのではないかと思います。
もうひとつ、画期的なシステムとして「ムービーモード」があげられます。これはその名の通り、選択肢やQTE、探索などの「プレイヤーが操作する要素」をすべて廃し、映画を鑑賞するように楽しめるモード。「全員が生存」「全員が死亡」「ディレクターズチェア」の3種類から好きなものを選ぶことができます。(追加コンテンツの購入で「ゴアフェスト」も選択可能)
特にユニークなのは「ディレクターズチェア」で、物語に登場する9人の若者たちそれぞれの性格を個別に決定することが可能となります。「プレッシャーがかかると巧妙になる」「探索中は用心深くなる」など、いくつかの項目を設定することで異なる展開を楽しめるので、さまざまな組み合わせを試して何度も鑑賞してみたくなるおもしろさがあります。
2.個性豊かで“濃い”9人のキャンプカウンセラーたち
ミステリアスでスリリングな物語は本作の魅力ですが、筆者的には、そんな物語を彩る9人のキャンプカウンセラーこそが大きな推しポイント。本作は場面ごとに操作するキャラクターが変わっていく複数主人公タイプのシステムとなっているため、9人のカウンセラーは全員がメインキャラクターであり、モブキャラやチョイ役は存在しません。(もちろん、選択によって早々に退場してしまうことはありえますが……)
行動的なローラとお調子者のマックスという対照的な性格で恋人同士の2人を始め、キャンプ場でラジオ放送を担当するユーモアとジョークを欠かさない青年ディランそしてカウンセラーたちのリーダー的存在ながら自分の殻に閉じこもりがちな青年ライアンほか、9人の若者たちは、個性豊かな“濃い”キャラクターとして作り上げられています。
洋画を観ていて、登場人物の誰が誰だかわからなくなってしまったという経験をしたことがある方もいるかと思いますが、本作はプレイアブルキャラだけで9人いるにもかかわらず、混乱するといったことがありません。むしろ混乱するどころか、チャプター1をクリアする頃には自分の推しキャラができている方も少なくないのではないかと思います。
3. 自分の好みに合わせて細かくカスタマイズ可能な字幕設定
アドベンチャーに限らずどんなジャンルのゲームでもそうですが、どれだけゲームの内容がよくても、画面表示や操作まわりなどを自分好みの設定にカスタマイズできなければ、ストレスを感じてしまい、ゲームに集中できなくなってしまいます。オプションで詳細な設定ができるという点は、地味ながらも重要なポイントなわけですが、本作は画面表示、音声、コントローラーなど、さまざまな項目において細かな設定が可能となっています。
その中でも特に筆者が注目したのは、字幕の設定。本作は日本語吹き替え音声に対応しているため、字幕なしでもプレイ可能ですが、声がうまく聞き取れなかった場合や音を出して遊べない状況を考慮して字幕を表示させておきたい方もいるかと思います。本作の字幕設定は、オン・オフの切り替えや文字サイズ調整はもちろんのこと、字幕に背景を付けて見やすくする設定や、字幕の先頭に発言しているキャラクター名を入れる設定、発言しているキャラクターごとに文字を色分けする設定などが可能。まさに至れり尽くせりですが、これらの設定がゲーム中いつでも変更できるというのもうれしいポイント。キャラクターの名前が覚えられないときはキャラ名表示をオンにしておいて、慣れてきたらオフにする、といったことも可能となっています。
「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」は、まさに“プレイできるホラー映画”だ!
というわけで、「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」をご紹介しました。
実写と見間違うほどの美麗なグラフィック、王道でありながら新しさも感じられるストーリー、選択次第で結末が変わるスリリングなゲームシステムと、数々の魅力的な要素が組み合わさることで、ハイクオリティなホラー体験がたっぷり味わえる作品となっている「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」。各コンソールで体験版が配信されていますので、ホラーゲーム好きの方はもちろん、ホラー映画やホラー小説が好きな方も試しにプレイしてみてください。
- タイトル情報
- 「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」(2K)
- ジャンル:ティーンホラー
- 発売日: 2022年6月10日
- 価格:
- 通常版:7,700円 PS4/XBox One/PC(Steam)
- 通常版:8,800円 PS5/XBox Series X|S
- デラックス エディション:8,800円 PC(Steam)
- デラックス エディション:9,900円 PS5/PS4/XBox One/XBox Series X|S
- 公式サイト:#
- 筆者:百壁ネロ
- ゲーム買いすぎちゃう系フリーライター。現在積みゲー300本以上。小説家でもあります。著作は「ゆびさき怪談 一四〇字の怖い話」(PHP研究所)、「ごあけん アンレイテッド・エディション」(講談社)など。
- Twitter:#
- Twitch:#
- about.me:#
PS4版「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」を抽選で1名様にプレゼント!
<賞品>
■PS4版「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」
<応募要項>
・応募期間:2022年8月27日(土)~2022年9月3日(土)23:59
・当選人数:1名様
・当選発表:賞品の発送をもって発表に代えさせていただきます
・賞品発送:順次発送予定
・応募方法:以下の専用応募フォームにて受付
<注意事項>
・応募には会員登録(無料)が必要です。
・応募はひとり1回に限らせていただきます。
・抽選結果・発送状況に関するお問い合わせには応じられません。
・当選された賞品もしくは権利を第三者に譲渡・転売することを禁じます。
・カカクコムグループ社員、および関係者は参加できません。
・賞品の発送は国内に限らせていただきます。
・梱包には細心の注意を払いますが、万が一運送中の事故により破損等した場合でも、返品・交換等は受け付けられませんので、あらかじめご了承ください。
・下記の場合は、当選を無効とさせていただきますので、ご注意ください。
同一住所または同一世帯で複数回ご当選されている場合
不正なアカウント(同一人物の複数アカウントなど)を利用して応募した場合
ご当選者の住所、転居先不明・長期不在などにより、賞品をお届けできない場合
ご登録いただいたご連絡先・お届け先情報の不備により、賞品がお届けできない場合
賞品お届け先ご連絡締切日までに、ご連絡いただけなかった場合
ご応募に関して不正な行為があった場合