「ストロボ・エッジ」「アオハライド」に続く「咲坂伊緒 青春三部作」の最終章「思い、思われ、ふり、ふられ」が、アニメーション&実写のW映画化で集大成を飾っている。
偶然出会った、全くタイプの違う4人の高校生。からみ合ったりすれ違ったり、4人4様の“思い”を瑞々しく描いたアニメーション映画「思い、思われ、ふり、ふられ」(以下、「ふりふら」)。
アキバ総研では、メインキャスト4名にリレーインタビューを敢行! 第3回は市原由奈役の鈴木毬花さんにインタビュー! ストーリーの魅力や由奈を演じるうえで意識したこと、お気に入りのシーンなどをうかがいました。
また、映画公開を記念してメインキャストを務める島﨑信長さん、斉藤壮馬さん、潘めぐみさん、鈴木毬花さんの寄せ書きサイン色紙が当たるプレゼントキャンペーンを実施。
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—— 由奈役に決まったときの率直な気持ちを教えてください。
鈴木 咲坂先生の作品が大好きで、「ふりふら」も読んでいたので、すごくうれしかったです。でもそれ以上に「私でいいのかな」という不安もありました。うれしい気持ちと不安と実感がわかない感じが入り混じっていて、アフレコのときもその気持ちは続いていました。
—— どのあたりでその気持ちから解放されましたか?
鈴木 緊張は最後まで続いていました。でも、キャストの方たちがすごく温かかったので、ちょっとずつですが緊張がほぐれて、不安な気持ちも徐々に薄れていった感じでした。
—— ストーリーにはどんな印象を持っていましたか?
鈴木 由奈と朱里(あかり)という性格が正反対のWヒロインが主人公で、いろいろな人が共感できるストーリーだなと思いながら読んでいました。私はすごく由奈に共感しながら読んでいましたが、それと同じくらい朱里に共感している人もいるんだろうなと思っています。
—— 由奈のどんなところに共感しましたか?
鈴木 自分に自信がなくて引っ込み思案なところが、まず似ているなと思いました。由奈が朱里の恋愛に対して「それでいいの?」ってなるモノローグとか、「すごくわかる!」と思いながら読んでいました。
—— 自分の学生時代の恋愛や、恋愛への考え方と重なったりしましたか?
鈴木 重なりました。私は自分からは絶対に「好き」と言えないタイプで。由奈が最初の頃に言った「私なんかが告白しても意味がない」というセリフに、すごく共感しました。自分も同じように考えるタイプだったので。
—— 由奈は頼りになる存在に成長して行きます。そういう部分に憧れはありますか?
鈴木 すごく憧れます。由奈を見ながら「自分も変わりたい」と思いました。頼りになる存在に成長した由奈は強い子だなと感じます。
—— 由奈を演じるうえで、監督や咲坂先生からのリクエストはありましたか?
鈴木 咲坂先生とは、キャラについてというよりも作品全体のお話をしました。監督からは「地声が由奈っぽいから、そのままでいいよ」と言われました。緊張で声が上がってしまったり、高くなってしまったり。自分がイメージして作っていった声はちょっと高めだったので、地声のままでいいというのは予想していませんでした。由奈はやさしい子でひとつひとつの言葉にすごく温かみがこもっている感じがしたので、それが伝わるように言葉を言えたらいいなと思いながら演じていました。
—— 地声が由奈っぽいと言われたときは、どう感じましたか?
鈴木 これが由奈っぽいのか、と思いました。すごくうれしかったけれど、由奈っぽいって言われた途端に、地声の出し方がわからなくなっちゃったりもしました(笑)。
—— 演じるときに難しいと感じた部分を教えてください。
鈴木 とても緊張していたので、アフレコが始まるまでいろいろなことを考えていました。「このときの由奈はこう思っている」「このとき由奈はこう考えている」みたいな感じで。でも、実際にアフレコが始まってマイクの前に立ったら、緊張で頭がいっぱいいっぱいになってしまって、考えたことが全部飛んじゃいました。緊張はなかなかとけるものではないので、すごく苦労したし、どうしようかなとすごく悩みました。
—— 由奈と朱里のように、理央と和臣(かずおみ)もタイプの違う2人ですよね。鈴木さんが高校1年生だったら、どちらに恋をしそうですか?
鈴木 女子にあまりぐいぐい声をかけられるタイプじゃない人が好きなので、和臣かな。
—— 映画の中の和臣はいかがでしたか?
鈴木 急にキュンキュンするセリフを言ったりするので、やっぱり不思議な魅力のある男の子だなと思いながら観ていました。クライマックスシーンは特にカッコよくてキュンとしちゃいました。
—— キュンとするシーンは、映画と漫画では違いましたか?
鈴木 映画では、理央が由奈の頬に手をあてて「俺こっち」っていうシーンがすごく好きです。収録していても「あーー、カッコいいシーンだな」ってキュンとしました。映画には出てこないのですが、漫画では、和臣と朱里のお家デートのシーンが大好きです。お互いがすごくかわいいし、2人の体格差もバランスがすごくよくて、かわいすぎてキュンキュンしました。
—— 実写版での由奈の演技は、気になりますか?
鈴木 気になります。私もこのセリフ言ったというシーンがあったので、じっくり観ました。私とはセリフの言い方も違うし、アニメの由奈の方が、声が高めだと思いました。福本莉子さんの由奈は、落ち着いているという印象を受けました。
—— 映画のキャッチコピーに「好きだから私をもっとがんばってみたい」とありますが、鈴木さんは好きだからがんばる派ですか?
鈴木 好きでも「私なんか」って思うタイプなので、心に秘めておくだけの恋になっちゃいます。自分から積極的にはいけないので、身を引いちゃうと思います。
—— 今、がんばっていること、がんばりたいことを教えてください。
鈴木 運動です。体を絞りたいと思っています。地元にいる頃は、田んぼの周りを走ったりして運動していました。東京に来てからは運動もあまりしなくなって。自粛期間中に体重も増えちゃったので、ちょっとがんばりたいなと思います。
—— 運動は得意なのですか?
鈴木 得意なほうです。今は、長距離を走りたいです。ジョギングを始めようかなと思っています。1~2年くらい前までは、いくらでも走れるというくらい走っていたので、ちょっと練習すれば、すぐに運動できる体に戻るかなとは思っています。
—— 漫画を読むとき、作品選びの基準はありますか?
鈴木 表紙で決めます。咲坂先生の絵がすごく好きで。「ストロボ・エッジ」を見つけたときにひと目惚れして、ずっと追っています。
—— 咲坂作品の好きなところを教えてください。
鈴木 「ストロボ・エッジ」は、蓮くんがすごい好きだったので、とにかく蓮くんを見るために読んでいました(笑)。「アオハライド」はアニメも観ていました。ライバルの男の子が好きだったので、こっちとくっついてほしいな、なんて思いながら観ていました。漫画は感情移入しながら読むタイプなんです。「ふりふら」は自分に似たキャラクターの由奈に感情移入して、やたら泣きながら読んでいました。
—— 今回は好きな作品で共感できるキャラクターを演じましたが、今後挑戦したいみたい役はありますか?
鈴木 今回は自分に似ている役でしたが、次は自分とかけ離れた全然違う役を演じてみたいと思っています。キャピキャピしたキャラクターとか、おもしろそうだと思いました。
—— オーディションでは満場一致で由奈役をゲットしたとのことですが、声優になりたいと思ったきっかけを教えてください。
鈴木 「うた☆プリ(うたの☆プリンスさまっ)」が大好きで、つらいときにとても元気づけてもらいました。自分もこういう作品に関わって、誰かを元気にしたいと思ったのがきっかけです。
—— 歌には興味はありますか?
鈴木 得意ではないのですが、実力がともなえば挑戦したいと思っています。
—— 鈴木さんの控えめな感じは、本当に由奈っぽいですね。では最後に、作品の見どころ、おすすめポイントをお願いいたします。
鈴木 映像もとてもきれいだし、そこに音楽も加わってすごく感動的な作品になっています。由奈が理央を探して学校を駆け回るシーンは、ふわーーーってなって、キュンキュンして、心からいいなって思いました。由奈みたいに頑張らなきゃって勇気をもらいました。困難に立ち向かう勇気を、少しでも受け取ってもらえたらうれしく思います。
(取材・文/タナカシノブ)
【作品情報】
■アニメーション映画「思い、思われ、ふり、ふられ」
公開日:9月18日(金)公開
原作:咲坂伊緒「思い、思われ、ふり、ふられ」(集英社マーガレットコミックス刊)
監督:黒柳トシマサ(「舟を編む」)
脚本:吉田恵里香
キャスト:島﨑信長 斉藤壮馬 潘めぐみ 鈴木毬花 井上喜久子 田中秀幸 久川綾 井上和彦 堀江瞬 佐倉綾音
主題歌:BUMP OF CHIKEN「Gravity」(TOY’S FACTORY)
アニメーション制作:A-1 Pictures
映画公式サイト:#
<ストーリー>
全員片思い ー あの子が好きな君を、好きでいてもいい?-
偶然出会った、全くタイプの違う【朱里】と【由奈】、朱里の義理の弟の【理央】と由奈の幼馴染の【和臣】は、同じマンションに住み、同じ学校に通う高校1年生。夢見がちで恋愛に消極的な由奈は、理央に憧れるが、自分に自信がなく一歩踏み出せずにいる。理央はかつて朱里に想いを寄せていたが、親同士の再婚により、気持ちを告げられないまま、想いを胸のうちに抱えていた。また、恋愛に対して現実的な朱里は、率直でどこかつかみどころない和臣のことが気になり出し、割り切れない初めての感情に戸惑う。そして和臣は、ある“秘密”を目撃し、葛藤を抱えることになり…。それぞれの思いは複雑に絡み合い、相手を思えば思うほどすれ違って−。
© 2020 アニメ映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会 © 咲坂伊緒/集英社